Flickrより。
CrispyBassist様の作品です。
いきなり長めの解説ですが……。
日本では初期の電気鉄道整備において、国鉄・私鉄共に欧米技術を大いに取り入れましたが、特にアメリカへの傾斜が大きかった。これは東芝−GE、三菱電機−WHという提携関係の存在も大きかったと思われます。
(この種の関係では、東洋電機−EE、富士電機−ジーメンス も知られます)
ですので、1920年代の電気車といえば電機も電車も、その
多くが本場アメリカの「縮小版」だったのでした。
その後、1930年代に英米独の良いとこどりで国産化推進。日本での独自発達があったり、戦後は戦後でアメリカからの技術(PCCカー由来)が再び入ってきて、再度国産化完了……。というのが日本の電気車発達史です。
(交流電気車になると完全国産しちゃってますし、チョッパやVVVFも完全国産。この辺はまた別の話)
そんなわけで、外国型に興味のない人にとって
アメリカの電気機関車や電車というのは割と「入り口」になりやすい筈なのです。
しかし。
アメリカにおいては、「実務」でも「趣味」でも
電気鉄道は特殊な鉄道扱い。 本線の長距離電化は
北東回廊のみ(ワシントン〜ニューヨーク。後にボストンまで延長)!
(かの流線型電機GG-1が大活躍し、今はAcelaがぶっ飛ばしてるのもこの区間)
かつては大陸横断鉄道のロッキー山脈・カスケード山脈超える部分での本線電化もあったものの、ディーゼル機関車の発達で1950−70年代に
電化を廃止してしまう始末。 中距離の電車網(所謂インターアーバン。日本で言う私鉄電車)は
1950年代までに殆どが廃業。 大都市近郊での
通勤電車(国電に相当? 但し民間または何らかの公社運営)は存在しますが、電車での運行はニューヨーク近郊とシカゴ近郊のみ。多くの通勤列車はディーゼル機関車牽引の客車列車(30分に1本程度の運転回数のあるところまでそんな感じです)。
流石に地下鉄や路面電車(LRT)は電車です。これは増えつつありますが、車輌を国産できずに川崎やらジーメンスが作ってるのが現実。
そんなわけで、アメリカの鉄道は殆どが非電化で、かつ貨物輸送専業。
1930−50年代の最盛期を前提にしても
「電化されてるのは東海道本線と、あとは上越線や信越本線、中央本線の山岳地帯のみ。他は私鉄電車程度」っていう、日本で言うところの1956年位の状況を前提としなければなりません。
電気鉄道も旅客輸送も一般的ではない……。
そうなってしまうと、
趣味界もどうしても「ディーゼル機関車」「蒸気機関車」「貨物列車」中心の盛り上がりになってしまうようで、日本や欧州とは大きな
温度差を感じます。
そういえば。
手許に「写真で楽しむ世界の鉄道 アメリカ(1)(2)」という1960年代の鉄道写真集があるんですが、その著者が日本国有鉄道の「客車の専門家」「電気車の専門家」であったがため、恐ろしく旅客輸送と電気運転に注視したというか偏重した、いい意味で偏った資料になってました(笑)。アメリカの鉄道の全体像を捉えるのには不適ですけども。でも、日本の鉄道ファンのアメリカの鉄道入門にはこれで良いのかも知れません。
古本で見つけたらお勧め……。自分もヤフオクで入手してます。
それから。
「豊かな森林の間を複線電化で、数分に1本の割で貨物列車が行き交う大幹線(旅客列車は20本以上)。沿線には大都市が続く」
「乾いた砂漠を単線非電化。貨物列車も1時間に1本もない。旅客列車は1日1往復のみ、始発から終点まで街といえるのはわずか」
さて、どちらが貧しき共産主義国、どちらが豊かなる資本主義の旗手国なんでしょうか……(笑)。
閑話休題。
そんなわけで鉄道趣味の末席たる
レゴトレインの世界でも、アメリカ形の作品の多くは「蒸機」「ディーゼル機関車」です。「電車」はたまに見かけますが、「電機」は殆ど見かけません。あっても定番のGG-1程度です。
前置きがえらく長くなってしまいましたが、それだけにCrispyBassist様のこの作品をFlickrで見つけたときは嬉しかった。
ニューヘブン鉄道(
wiki:日本語/1968年に会社は解散。路線はAmtrakに移行)のEP-3形。1931年製造の電気機関車。日本のEF51・EF52・EF53という旧型電機と全く同じスタイル。車軸配置も日本の旧型電機と同じ「2C+C2」。むろん、技術的にも先輩格。
とにかく、この上なく
日本人好みのするアメリカの電機! 同社のニューヨーク〜ボストンの路線は件の北東回廊を構成する一部であるため、今も電気運転を維持。ただ、貨物輸送はディーゼル機関車に置き換えられて久しい。
Amtrak以外の旅客輸送(公営)はニューヨーク直通の「電車」が担っています。
EP-3の実物写真こちら
(transpress nzより)。日本のEF53(EF59)との共通点、多く見いだせることでしょう!
1950年代までは上の写真のように、濃緑1色に黄色のラインという趣味の良さだったのですが、1960年代には派手なCIカラーに変更されてしまった由。その後廃車。
このモデルは後者の仕様ですが、旧型機に派手な塗り分けもそれほど悪くありませんね。
モデルは8幅の大型モデル。動輪は標準大動輪を使っています。動力はPFか?
全ライトの点灯に、キャブインテリア付き。この両者が作品に温かみさえ与えていましょう。
アメリカ形だからとか、8幅だからとか云って見逃すには勿体ないモデルなのでした。
……あと、自分も何時かは手を付けてみたい、それこそ同じ線路走ってたペンシィのGG-1辺りも一緒に! と思わされるのです。まぁ日本型と欧州型で作りたいものが一巡してからの課題かもしれませんが。