正直なところ、「いろいろ、考えさせられる」品でした。
(まぁ、そのために購入した面もあります……)
無論、実売で12000円ちょっとという価格分での満足はあります。
PowerFunctionユニット類の単価と3両分のトレインパーツでむしろ元は取れてる優秀な製品でしょう。
また、対象年齢のお子さんへのプレゼントにも喜ばれると思います。
(自分が6歳の時に貰ってたら、絶対に狂喜乱舞してたでしょう!)
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組立は極めて平易です。あらゆる、躓きそうなステップがありません。
その一方で、「大型部品」は件の前頭部のみ。他は極めて真面目です。6x4の屋根を大味というのはちょっと酷でしょうね。あれは9V時代にも使われてた部品ですし。
気になったのは微妙なコストダウン感。
ミニフィグ以外、すべてプリントではなくステッカーです。運転台の制御パネル(2x2 45度スロープ)までステッカーなのは驚きました。まぁ大型前頭部はステッカーのほうが使いまわし面で有難いのですが。
コストダウンというと台車。
非動力先頭車の後部台車ですが、昔なら黒のミニフィグヘッド使って台車枠表現してたところが1x6ブロックで済まされてる。シンプルな作りにちょっと驚きました。
(#7938のようなダミー動力台車ではありません)
車体組んでる感じは……昨今のモジュール・規格化されたリアルな鉄道車両か? 「走るンです」とまで申しませんが、今のJR東日本辺りの流儀で高速特急車造ったらこんな雰囲気になるのかなぁ……という印象です。
車内も普通の座席のみで特別な設備など無いのも、やはりJRの今どき特急か?
問題の前頭部ですが……やっぱり違和感が拭いきれず。
まず、台車・台枠に対して垂れ下がりすぎ。高速でもなんでも電車の前頭部はこんなに下がっていません。運転台はどんなに低くても台枠の上にあります。
そしてフロントオーバーハングが長すぎ。違和感。
あと、下面巻き込みの流線形下部の処理が変。鉄道車両の場合、流線形の裾はスカート状に末広がりにするのがセオリーです(スカート=排障器)。まぁ例外もかなりあり……ICE1やICE2は下面巻き込み形なのですが。でもICE3以降は巻き込み形+末広がりのスカートです。
参考:Wikipedia(ICE)
但し、この問題はステッカー貼れば多少緩和されると予想されます。
(というか、ステッカー貼らない地点でレビュウはちょっとアンフェアという自覚はあります)
いいところもあります。
クリーンな感じの側面は今時の優等・高速列車。
特に中間車。癖がなく、極めてすっきり。
最小限の部品構成でリアルにかっこ良く。ここは成功していましょう。
それから、45度スロープの屋根は意外と電車の屋根肩として自然に見えるもの。
前頭部は斜め上からみるとシャープさが際立ちます。デザインの方向性は間違ってないのです。たぶん。
運転台廻り。垂れた位置にある運転台はやはり違和感。コントロールパネルもステッカー。
なお、PowerFunction規格のLEDライトを通す準備工事があります。インストには特に記載はないので、「気がついたら、各自工夫のこと」という方針の模様の模様。
なにより、一番の美点はその「価格」。
いくら良い品でも、普及できないコストでは無意味。コストダウン感を感じると申しましたが、基本セットが低価格であるのはとても大事なことです。
往年の12Vの旅客列車セット歴代であったり、或いは9Vメトロライナー辺りに感じる豪華さは「普通に……買ってもらえないよな」的な雲の上感。列車で言うなら全車1等車のTEE。
でも、#60051はもっと身近な、誰でも利用できる高速列車。
だからこそ、問題点を孕みつつも売れて欲しいと願うのです。
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点数評価はあまりしませんが、しいて言えば10点満点で7点でしょうか。6点はちょっと酷。
架空のSF的列車に逃げず、世界のどこにもありそうな高速列車・特急列車の最大公約数的造形にはなっています。難点はあるものの、最初に購入するセットとして悪いデザインではありません。
しかし、組み換えとか考えてない造形・構成はかなりマイナス。
その意味で、先代#7938は個人的には9.99点でした(歴代トレインセットじゃ最高評点ですよ。4.5Vとか12Vも含めて)。
なお、飽くまで「レゴ」ですから、セット内の部品でも、或いはセット外の部品を加えての「改善」は平易です。次はそのへんを記事にしてみたいと。
敢えて「未だ買える 未だ間に合う!」こっちを貼っておきます。持ってない方、急がれたほうが……。