未だに1977・1978年版とともに「幻の存在」である
1976年版日本語カタログですが、表紙デザインが特異で、且つ内容が少年二人のストーリィ仕立てということはなんとなく記憶に残っています。
peeronでは「日本語版以外」なら古いカタログも多くが閲覧可能。
http://www.peeron.com/catalogs/ 問題の1976年版カタログは2種類ありました。

こちらは表紙デザインから分かるよう、
ファミリー向け展開。中身はいつもどおりの「ディプロ」「基本セット」からの掲載です。peeronに上がっていないものも含め、
bricklink見る限りでは各国版あったもよう。但し、日本語版は存在を確認されていませんし、管理人も見た記憶がありません。
(見た、という方おりましたらお知らせください)

そうそう、これです。
自分が覚えている、1976年
日本版カタログはこちら。この表紙デザインの方、忘れはしません!
以下、言語がなんとか理解でき、扱い商品も日本に近かったイギリス版をお手本に
「1976年版日本語カタログ」強引に思い出して見ることにしましょう。
http://www.peeron.com/catalogs/1976/medium/?id=113 表紙ですが、表題は「The LEGO(R) experts guide to 1976(or how to became a champion builder).」と。訳しゃちょっと気恥ずかしい
「レゴエキスパートガイド1976(または、チャンピオンビルダーになる方法)」。この恥ずかしいタイトルはどんな訳だったかしら? Expertは「ベテラン」としていたような気がするのですが。
強烈なグラフィックデザインのセンスは表紙にもある「#396」に近くもあり。それくらい#396というかホビーセットには力入れようとしてたんでしょう。
「7歳のトムと9歳のジャック。彼らは可愛い良きレゴビルダー。彼らと一緒に新製品を眺めてみましょう」みたいなことが書いてあります。日本語版でもトムとジャックという名前は同じだったような気がするのですが。ちなみにオランダ版だと「ハンスとウィム」になってます。ローカライズに節操ありません(苦笑)。
「All the NEW's」は
「新製品がいっぱい!」という表記でした。この年に関しては内容に偽りなしです。
http://www.peeron.com/catalogs/1976/medium/2/?id=113 2頁目。いきなり
「上級基本セット」の紹介。
それだけエキスパート向け
「上級基本セット」はこの年の目玉商品であり、それをアピールするがためのこのカタログ「レゴエキスパートガイド1976」であったのでしょう。コンセプトが一貫しています。
「上級基本セット」はタイヤや窓、ミニフィグ(旧ミニフィグ)がレゴランド系のセットやホビーセット(エキスパートビルダー)と共通しているのも特徴。他のラインナップに比べて基本セットが見劣りする・古臭く見える……ということがありませんでした。
ちなみに#910は近所の子が持っており、よく一緒に遊んだものでした。対象年齢7歳位上とか書かれていますが、当時友人5歳自分6歳だったような気がします。
手にはいりゃ、また遊んでみたいセットです。
また、以前も記しましたがこうしたコンセプトのセットは現代にも欲しいもの。
大人のレゴ再入門に使える基本セットが皆無ですからね。
http://www.peeron.com/catalogs/1976/medium/3/?id=113 3頁。
レゴランドの車。
「友達にプレゼントしよう!」というコピーが面白い。自分でお小遣いを或る程度使える層を意識しているわけです。この辺は小二病のプライドをくすぐっています(笑)。
余談ですが、自分が小学生の頃は友人の誕生日に持ってくプレゼントは数百円のプラモデルの小箱が定番でした。子供の行動圏内にプラモ屋ありましたけど、玩具屋なかったですね。
ラインナップ自体は日本のも差異なかったような気がします。ただ、#696のバスストップは非掲載だったような。
http://www.peeron.com/catalogs/1976/medium/4/?id=113 4頁。
「トム&ジャック建設(株)」
いきなり飛ばしてます。表紙にも載ってる目玉の新製品は#387。英文ですが「晴れた日には道路を建設したりします」とかあります。ええと外で実際の砂とかつかって遊べますってことで良いのでしょうか。楽しそうですけど、痛みそうとか、細かい部品なくしそうとかママにダメ出しされそう?
#384のロンドンバスはレイアウト上の効果狙って
意図的に製品写真ではなく、イラストにしているのでしょうね。このカタログでは、この種のイラストが効果的に使われています。
http://www.peeron.com/catalogs/1976/medium/5/?id=113 5頁。
#387の
組み換えモデルがイラストで提示されています。なんでも造れるアイディアセットであると。
#386の救急ヘリは旧ミニフィグ入りで、どちらかと言うとレゴランドカテゴリかも。これも組み換えモデルが押し出されています。今でいうならクリエイター的?
右側は船シリーズ。2種とも新製品です。
お風呂ではなく、
実際に海で遊ぶというシチュエーションは魅力的に過ぎます(パーツ無くすの怖いけど)。今はカタログでこうした演出はできなくなってしまったのでしょうね。
英文意訳すりゃ
「トムとジャックの二人は、海に行くときはレゴを忘れることはありません」。子供心にも「無理あり過ぎだろ!」と思ったものでした(笑)。
http://www.peeron.com/catalogs/1976/medium/6/?id=113 6頁。
「トムとジャック チャンピオンビルダーになる」
このカタログのインパクトは、言葉遣いの大仰さにあるような気がします。
英文の「これらのモデルを自分だけで作ってみよう」というのは良いですね。建物系のビルドは「親に手伝ってもらった」が割と多かった気がします。それに対する「挑戦」でしょう。
http://www.peeron.com/catalogs/1976/medium/7/?id=113 7頁。レゴランド建物系続き。
1976年のラインナップだと、
旧ミニフィグ入り製品が多数派になっていきます。
新製品#370の「警察本部」は傑作でした(やはり友人所有)。デザインの方向性が後世の街シリーズやCityの警察署セットの源流となっています。その意味で歴史的意義が大きい。
その一方で、ラインナップから定番の
「普通の家」が姿を消したのはやや残念なこと。1978年に街シリーズが始まるまで空白となります。
http://www.peeron.com/catalogs/1976/medium/8/?id=113 8頁。汽車シリーズ。
「レゴ汽車セットだけが、電動列車を自分で作り上げることができます」。レゴトレインの本質。
子供の時は、この写真のレイアウトでさえ「たくさんの直線とポイント、クロスレール。いいなー」と指咥えて見ていたものでしたが……今見るとシンプルですね。ちなみにこの写真の配線は9VだとショートするのでNGです(ギャップ切りまくればなんとかなりますが)。
写っているのは#182 4.5Vの急行列車セット、あと新製品の#183ディーゼル機関車セット。但し後者はこのカタログに掲載されていません。
http://www.peeron.com/catalogs/1976/medium/9/?id=113 9頁。汽車シリーズ続き。
掲載ラインナップは当時の日本での扱いとほぼ共通です。この時代イギリスも4.5Vのみの扱いでした。
ただ、日本では#147冷蔵車ではなく、#137客車の方がカタログ掲載。また、#183のディーゼル機関車セットも掲載されていました。
http://www.peeron.com/catalogs/1976/medium/10/?id=113 10頁。刷新されたモーターセット。
一見これまでの製品と変わらない外見ですが、
1976年のものからテクニック軸の出力が1軸追加されています。この頁もイラストが効果的に。
3種類の車輪を使えますよ! と。
また、上の写真は多彩なモーターの使用例。バッテリーカーなしで汽車を走らせる提案もあります。信号機での停止や、バーでの方向転換を考慮しなければこれでも良いんですよね。
http://www.peeron.com/catalogs/1976/medium/11/?id=113 11頁。パーツ。
特筆すべきことはないのですが、アイディアブックがこの年から新版になっています(#222)。
http://www.peeron.com/catalogs/1976/medium/12/?id=113 12頁。
「ジェリーは、トムとジャックに本物のレゴエキスパートワークを見せてくれました」 ホビーセットと言われるカテゴリの頁。お兄さんの嗜む上級者向けセット、という感じが凄くよく伝わってきます。
http://www.peeron.com/catalogs/1976/medium/13/?id=113 13頁。
最終的には
部屋に飾るものだ、と云ってるところもオトナ志向です。
#396 Thartcher Perkinsはこの年の目玉新製品。大きなイラストはインパクトあり。
ただ、子供心に「コレいらない」とか生意気なこと考えてましたが。システムに乗ってないディスプレイトレインモデルへの抵抗は既にあったんですよ。
対してノートンモーターサイクル、ハーレーダビッドソンは出来の良いモデルで何時かは欲しいなとか思ってました。ですが、バイクのホビーセットも後が続きませんでしたね。出来よくても、バイクは需要限られるのかしら。テクニックになってからは定番ですけれど。
蛇足ですが。
トムのお兄さんの名前がジェリーって……。親は(もとい、このカタログ作った奴は!)何考えてるんでしょう(笑)。チーズつまみ食いした兄を、弟が追っかけ回してるのかいな?
http://www.peeron.com/catalogs/1976/medium/14/?id=113 14頁。
「トムとジャックは、弟や妹、友達にレゴをプレゼントしたい」
チャンピオンビルダーは弟や妹にもレゴをプレゼントしなければいけません。というか、低年齢向け商品・女児向け商品を載せるための無理を感じます(笑)。
ホームメーカーは日本では扱っていなかった家具単品が掲載。
http://www.peeron.com/catalogs/1976/medium/15/?id=113 15頁。
イギリス版ではスペアパーツ注文頁。
ここが日本ではどういう扱いになっていたかが思い出せません。順当に考えれば、14頁の低年齢向け品で水増ししてた可能性が高そうですが。
http://www.peeron.com/catalogs/1976/medium/16/?id=113 16頁。
裏表紙。
イギリス版ではキャンペーンに使われています。日本語版ではやはり不明。
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さて。
1976年は表紙でも謳われるよう新製品が多く、やはりレゴが
1970年代的なものから1980年代的なものへと代わってく時代を感じるのです。
しかし、その多くは「旧ミニフィグ」「ホビーセット」「青レール」のように、後世の「ミニフィグ」「テクニック」「灰レール」と
急激な変化で歴史に埋もれていくのですが。
大変革のちょっと手前。革命の前夜。
ただ、管理人にとっては幼時に親しみ、そして
憧れた、一番思い出深いレゴたちでもあります。
カタログそのものはやはりインパクトのあるもの。
それまでのカタログはほぼ例外なく
「効能書き」「デュプロ」「基本セット」……最後の方に「汽車」や「モーター」という、頁が進むごとに対象年齢上がってく台割でしたが、このカタログはその原則さえ壊してました。
今にして思えば、よくぞこの型破りなカタログの日本語版を作ったものです。同年には「普通の」カタログも有りましたのに……。関係者の英断に感謝。
それにしても。
この時代にはレゴのエキスパートとかチャンピオンビルダーって言葉は実感も、また実像も無かったでしょうね(例外がレゴ社の社員か?)。
今の、社外にさえエキスパートやビルダー、そして
「チャンピオン」が居る世界。アマチュアの枠に絞っても大人のベテランレゴファンが当たり前になってるなんて想像もできない時代でした。
幼時の自分も、まさか自分が30余年後にレゴやってるなんて思わなかったのですよ!