入線車両を限定しての小さなレイアウト。
あらゆるものを割り切った、いわゆる「パイク」(超小型レイアウト)。
標準以下の小曲線あってこそ成り立つます。
で、大曲線は最悪フレキシ使えば何とかなりますし、「Me-models」の社外品も既に定番化しています。
でも、小曲線に関しては……何とかして自作するほかしかなし! これまで、幾つかのソリューションはありました。
2013年4月19日:
Ryokuchakuma様の小半径カーブレール。急カーブから広がる世界。
ナローカーブレールの内側に1x4のタイルを立てて、走行レールとしたもの。R23相当(通常カーブはR40 ナローカーブはR24)
相当、ガタガタはあった模様です。
魔改造はなく純正のみで構成なのですが。実用には無理あったようです。9V化は絶対に無理でした。
2015年12月03日 小曲線レールも自作してみた
これは関山のアイディア。ナローカーブレールの外側に4.5vレールを強引に増設したもの(R25相当)。魔改造なしは良いんですが、やはり実用性には問題あり。また、ルックスはお世辞にも良くはなかったのです。これも、9V化は無理。当然
あとは超小型車両系の世界観は「ナローゲージ」に割り切ること。
幸いにもレゴのナローレールはR24ですから。これはかなり小さい。然し、信頼性に足る動力車は未だに実現していません。パックモーターがなく自作動力にならざるを得ませんが、レゴの動力系は小さくしようとすればするほど信頼性は下がります……。
それに、他の車両との付随車共用ができないのも辛い。
無論、9V化、なにそれ(苦笑)。
いや、ナローはナローで魅力的なんで諦めたくはないんですけどねぇ。
その意味で、薬師山様の電撃的ソリューションは画期的でした。
ナローカーブ(黒は実は貴重)を芯にするのではなく、通常のカーブレール(余りがち!)を加工するという、思ってもなかった発想です。繰り返しまずが余りがちなカーブレール(PF用も、人によっては9V用も)を加工するという経済性!
まずは 制作過程から。JBF2017での実演です

標準カーブレールの内側、4箇所刻みを入れ、2mmの間隙を作ります。
ニッパーで楽勝。他の工具は不要!
(ただ、ニッパーは割と良質なものが必要かも? 安物はストレス溜まりますよ。薬師山様はタミヤ使ってますね)

加工済。隙間は2mm。
内側のレールを詰め、外側そのままの長さなら理論上は急曲線になるはず。
で、ここからどうやって外側のレールを曲げて、急曲線状態で固着させるかというと……。
なんと、外側のレールと枕木の付け根(計8箇所)にニッパーで刻みを入れるだけ。大事なのは「外側」だけということです。

すると、あらあら魔法のように。
素材の弾性で、切断された部分内側の長さに合わせて、外側レールも自ずから曲がってくれるではありませんか! 無論、接着剤不要。
これは、実演されて正直驚きました。
これなら、いくらでも量産できます。超ローコストに。手間もかからずに。
そして、他の方法ではあり得なかった、「9Vでの可能性」も見えてきます。
小型車両はできれば電源の問題のない9Vで考えたくなるじゃありませんか!
この上にアルミテープ張って通電させるのは現実的ですし、はたまた、9Vのカーブレールを刻み、刻んだとこをハンダでつなぐってことだって……。
(後者本命。駄目なら前者?)

使用例。薬師山様の個人出展より。
真ん中から左2本が原形、右の2本が急曲線改造です。
スペックはR25(但し、見ての通り若干の柔軟性あり!)。ナローカーブレール同様、32x32の基礎板上で90度のカーブが曲がれます。
(通常カーブはR40。90度のカーブに48x48の基礎板のスペースを要します)

R25のわかりやすさ。やはり急なカーブなのです。
ルックスの良さも重要ですね。恰も最初からこの寸法が存在するかのごとく。

さて。薬師山様の小型レイアウト、個人出品の全景です。
オートライユとオットードイッツ風ディーゼルの共演する、地中海な情景。
ドックボーンに段差を設け、凹んだ部分は漁港に。

魚市場?の側線と、積み込む貨車。
お魚が大胆ですよね(笑)。

くびれ部分から、ヴィラの並ぶ方を眺める。

ねこバス然とした、オートライユがとても似合います。
自動車は2CVの他にSMARTも居ますから、設定年代は1990年代〜現在なのでしょうか。でも、南欧の何処かにはこんなところ、ありそう?
ねこバス然とした、オートライユが似合う。


小型レイアウトのお約束。真上から撮影。
左手に魚市場というか、ささやかな積み込みホーム。
右手には瀟洒なヴィラが4棟続きます。

オートライユの走行風景。

ほぼ全景。
スケール感というのは得てして狂ってくるのですが(笑)、同じプランを通常曲線で行うと奥行きに関しては1.5倍の面積が必要になることをお忘れなく(苦笑)。左右方向に関しても同様でしょう。
Lゲージに於ける小型レイアウトの可能性を拓いてくれた作品・出品・アイディアです。小型だからこそできることも、きっと沢山有るはずですから!
(JAMや池袋鉄道模型芸術祭の小型レイアウトやパイクの傑作群がとりとめもなく脳内を……)

最後に。この小型レイアウトの役者たち。
動力車は標準トレインモーター使用。走行性能はばっちり。
受光ユニットはやはり標準PF。但し、電池は単4用ではなく、006P(9V角型)使用です。
小さなディーゼル機関車はやはりオットードイッツな風味ですね。引いてる客車もどこか堀之内軌道っぽい……。いや、この手の軽便軌道だと馬車鉄道時代の客車をそのまま転用することが多く、そんな雰囲気の小型客車なのでした。
蛇足ではありますけど、日本型だと、このシーナリーに銚子電鉄とか似合うかもしれませんね(但し、貨物営業行ってた1970年代以前の)。江ノ電もぎりぎりあり? でもこのR25を曲がりきれない題材はNGですよ!
小さな車両専用! 小さな車両だからこそ引き立つ舞台はとても大事なものでありましょう。
大曲線と本線系長大編成だけがレゴトレイン・Lゲージの味わいってわけではないのですから。
<追記 関連ツイート>
急曲線レールで走行中。於JBF2017 pic.twitter.com/v7HHurCCJW
— 薬師山 (@yakushiyama) 2017年6月10日
JBFのサクラグ個人テーブルで、急曲線レールのデモやります。トレインラグとあわせてお越しください(^ ^) pic.twitter.com/juPYVNfaHl
— 薬師山 (@yakushiyama) 2017年6月9日