
もちろん動力の考慮はないダミーですが、この精細感。そして好ましい造形。
新しい文脈の作品でもありましょう!
さて。
実車の解説です。いや、よくぞこんなドマイナーな題材を拾ってきたものと驚かせるんですよ。
北沢産業網干鉄道は姫路市の網干からの5kmほどの貨物専業私鉄。
戦時中に開業するもお約束どおり1984年の国鉄貨物縮小で休止→廃止となったもの。
廃止時で二両のディーゼル機関車を使っておりました。何れも10トン程度の極小のもの。DB2は平凡な貨車移動機だったんですが(日本輸送機 1961年)、DB1の方は1956年 帝国車輛製の珍品でした。
帝国車輛についても説明要りますね?
元は梅鉢鉄工所で大阪の堺に1890年創業。1941年に帝国車輛工業と改称。鳳に移転。その後も大手車輛メーカーの一つとして発展するも、1968年に東急車輛に吸収されてしまいました。
で、ディーゼル機関車に関しては、それほど両数を造っていないのです。
幸いにも、DB1・DB2ともに保存されています。
DB1はおそらく現存唯一の帝国車輛製ディーゼル機関車でしょうし、DB2も平凡に見えて現存数は多くはありません。

大事なことですから繰り返しますけど。
よくぞよくぞこんなドマイナーな題材を拾ってきたものと(笑)。
低くてスマートなボンネット。大きく垂れ下がったステップ。
丁寧な手すりに、横組みのグリル。
トレインファンの文脈だと、なんか見落としたり割愛しちゃったりしそうな部分が造られているのですよね。それが作品の美しさと独自性になっているんですよ。

真正面から。
ゼブラ塗りと、解放テコが鮮烈です。この機関車に見合った精密な貨車とか考えてしまいたくなるのですよね。

貨車はなくとも、駅ジオラマはあります。
この廃れかけた無人駅の味。凄いです。

ここにあの機関車おいたら、凄く似合いそうなんですよ。
遊佐未森「夏草の線路」を口ずさみたくもなります。
廃な情景もまた、新しい風であります。
今後も楽しみにしております。