https://ameblo.jp/ainchan2019/entry-12751374948.html

2000形。1982年の暮にデビュウしたこの車両は歴史の転換点。
京浜急行は、それまでも600形IIという2扉クロスシート車は擁していたものの、「厄介者」という扱いで、休日やデータイムに運用から外してしまう始末。積極的にクロスシート車を使っていこうという姿勢とはいい難く。
しかし、2000形を導入してからの京浜急行は変わってゆきます。
沿線の魅力を高めるがための、前向きな運用投入。朝夕ラッシュ時はもちろん、その真価を見せるデータイムや休日も。
この流れで試みられたのが、1993年の600形IIIで、3ドア全クロスシートという意欲作。
1998年に2000形を早くも置換しようとしたのが今のフラッグシップ、2100形となります。
さて。2100形以降。
600IIIの試みは流石に無理がありましたし、また2000形も一線を退いて3扉化されます。でも、そこで全ロングシートのツマンナイ電車にはしないのですね。
600III、2000、何れも車端部にはクロスシートを残す座席配置に。併せて1000形の1999年以降の増備車もその仕様になっています。
ステンレスの銀1000という逆行こそあったものの。2019年新造車からはまた車端クロスを復活させ、新しい魅力の電鉄を造り続ける。
……惜しむらくは、この思想が同業他社に伝播しないことでしょうか。

尤も、3扉改造後の2000形は運用には入れ難い車だったようです。前面非貫通のため泉岳寺に入ることができず、本線の快特・特急筋とは相性が悪い。
変換点は2005年のエアポート急行の設定。羽田空港−横浜ー新逗子(現 逗子・葉山)を結ぶ系統は車両の制約もなく、2000形の主な活躍の場となったのでした。
(関山も、2013−2016年の井土ヶ谷在住時代は、エアポート急行の2000形は「一番よく乗る電車」であったんですよね)
前置き長くなりましたが、アイン様の作品。エアポート急行時代の3扉2000形を見事に再現しています。ファンとして、悔しいほどに!
敢えて2扉時代であるとか。また3扉でも復元塗装で最後まで残った2011Fではなく、通常塗装の2000形という題材も良い意味での渋さ。

前頭部の造形は「額縁」を意識せず、平面であっさりと。
でも、これが正解に思えます。あっさりは美に繋がるんですよ。それゆえに、スロープで隙間埋めしてるのもポイントです。
屋根のつながり、
また前面下部の逆テーパ部分への繋ぎも自然なのですよね。アンチクライマーもタイル1枚のシンプルさ。
スカートのない昔の電車のスタイルですが、連結器廻りやジャンパ廻りも巧く処理しています。軽快さに繋がってるのですね。
側面はドア増設の特徴的な窓配置よりも寧ろ平板な方向なのですが、こても成功してます。順組の窓は寧ろ京急らしい明朗さ。
地味なところで、真鍮色の車番表示が良いアクセントです。
古き伝統ある電気鉄道……の趣を醸し出す。
方向幕は白と青。エアポート急行であります。

先頭車。全体に安心感を感じさせる作りです。
これがどれだけセンスの要ることか! 引き算のモデルなのかも知れません。ドアは凹ませていないのですが、パーツを分ける心使いが効いています。

中間車。パンタ付。
2丁パンタの中間車。いいものです。床下も凝ってますね。電車の機器がまだコンパクトになる前の時代ですから。
全長は26ポッチ。18m車の解釈として心地よいサイズです。

中間車。パンタなし。
京急の場合、屋根肩を何色にするか実は難しいんですよ。幕板と屋根の境が微妙ですから。アイン様の解釈は張上屋根にしてしまってます。
また、京急一般色の帯の太さも1プレート分。
全体として赤の比率が凄く高いのですが、違和感は絶無なのですよね。
絶妙な選択で、絶妙なバランスです。

屋根上はプレート仕上げで、寧ろ昨今流行りの完全ツルツルではないのですが、この題材では寧ろレゴらしさのアクセントに。
他がフラッシュサーフェス化されているがゆえの、ここもバランスなのかもですね。

北総7000形と。品川方では、また空港線では見られた並びです。
作品はどちらも名解釈。

北総7000形に京急2000形。
思えば1980年代の明るくなっていく世相を象徴するような車でありましたね。
今は個性よりも規格の時代に……? ただ、1号線(都営浅草線)に絡んでくる電車に関しては快適性でハズしてはこない。そんな安心感が都営5300形や5500形も含めて感じられるのでした。京成の車も独自の良さ、ありますし。
ここは面白い路線であり続けるのでしょう。
それにしても。
自分も2000形、リメイクしたくなりました。
2扉時代か、はたまた2011Fか……。
(2016年の試作品。ここから進んでいなかったりするのです)