リアルを詰め。
そして、それ以上に、技術的な中身も詰まった作品です。

ディズニーリゾートラインは、2001年開通の、浦安近郊のモノレール路線です。
システムとしては日本跨座式で、車輛などは日立製。
運営やメンテが京成系の会社なのは言わずもがな。
車輛の大胆なデザイン。側窓のミッキー形は鮮烈ですね。
前頭部の流線型は……東京モノレールの初代車輛300形を彷彿させ、レトロヒューチャーな良さ味があります。モノレールのなんたるかをわかってる感。
車輛は初代の10形が置き換えに入っており、現在は10形と100形の併用状態の模様。

如何にもな、テーマパークっぽい雰囲気の演出が似合います。

べこねん様の作品は、6両編成を4連で再現したもの。
モノレールとしては珍しい7幅です。
車体とレールの間の隙間がリアルですね。
外見の流麗さ。ミッキー形の窓。
波状の塗装の再現。そしてドアの凹みも再現。
汎ゆる部分に、妥協がありません……。

中身を、見て参りましょう。
4両編成で、
「動力車+電池車+付随車+付随車」の構成です。
走行はPU。ただしライト点灯は9V併用です。電気系はすべて純正品の改造無しなので、それも難度を高めておりましょうか。

1両目。動力車です。
他の方の設計とは違う。独自性が見て取れますね。
PU-Mモータで駆動し、チェーンで落とし込む。
ベベルギアで方向変え、ベベルギアの平ギア代用で(!)駆動輪に伝えるものです。ここは7幅ゆえの余裕?を上手く使っています。
ガイドローラーは、既存の……ひだか氏辺りと共通します。
(ここはひだか氏の開発が偉大ですね)

2両目。
電池車です。PUハブ、上下逆に収めています。というより、車体の大部分が上下逆組のようです。
ドアの凹みのため、車内にも余裕がありません。箱根細工的精密さ。

3両目の付随車。ここにも電池があります。1980年代の006P用純正で9V端子タイプ。
これはライト用の電源で、前後に供給されます。
変換ケーブル介して、PF用LEDを点灯します。
PUのライトの供給が良くないのと、PUに延長ケーンブルが純正にないので、9V併用せざるを得ないようですね。
ブラケットで、7幅車内に4幅分の機器を納める空間を造ってるのがわかります。

4両目の付随車(後尾車)。
この車はライトのみです。
4両編成で、動力車は1両のみ。
ゆえに、通常の勾配等のない軌道の走行が前提になるようです。
比較の意味で。ひだか氏のが急勾配前提で、動力車比率はより高めだったりしますよね。模型としての方向性の違いです。

動力車の稼働の様子。
チェーンを使っていますが、喧しいということはありません。割と静謐です。

車体は、複雑なライン表現。前頭部の流線型と連結器周りの精細感。
また、丸型のルーバーを再現した足回りが鮮烈であります。
ドア窓も、楕円形なのですね

屋上の空調機器。ブラケット使って1.5プレート厚というのはすごいコダワリでしょう。1プレ厚では薄すぎ、2プレ厚では分厚いですから……。

さて、ここからはべこねん様の、制作中の様子から。
最初の試作品です。流線型形状の詰め。
斜めかつ角度の付いた表現に唸らされたものでした。

最初期の動力系の検討。
完成版とは明らかに違う機構です。

動力の仕様が固まった頃の画像ですね。チェーンを使っています。

動力車の内部。
車内がほぼすべて上下逆に組まれているのがわかります。
PU-Mモーターと駆動タイヤのクリアランスはギリギリであることもわかります。

軌道桁。
リアル重視で、灰色(新濃灰)のものを新造です。
車体長さの関係で、カーブ半径はあまり小さくできないようです。そのため、円周軌道は将来課題とのことでした。
センサー入れて、PUの自動往復運転もあり得るのかもしれません。
(尤も、実物は環状路線での運行でありますが)

ドア! プレート単位で調整されたドアは、全部で8ユニット分に及びます。車体の塗り分けもありますから大変な部分です。

連結部。Technicリンクでの連結。

3号車の内部。強度確保は苦心されたようです。

4号車(後尾車)。こちらは乗務員扉が付くという形状違いの再現あり。
乗務員扉も、また凝った組み方です。

両先頭車の比較。
なお、以上制作記はこちらから。
https://twitter.com/bekonen7/status/1490832084469837825
動画上げ忘れ🙌
— べこねん (@bekonen7) May 7, 2022
いずれレイアウトを走らせた動画撮りたいですね… pic.twitter.com/FxVRk3Wg2D
走行動画です。