
嘗てロサンゼルス近郊に広大な路線網を持っていたPacific Electric……パシフィック電鉄。
最盛期で、路線長は800kmに及んでおりました。比較の意味で、近鉄の2022年現在で508kmです。その1.5倍以上、ちょいと想像が出来ません。
古典的な、併用軌道も多かったものの。
高架区間や地下線、近代化を進める路線もありました。一部には複々線まで。
しかし、第二次大戦の前から路線縮小は始まっていきます。
戦争後は更に整理が進み。
1961年には、すべての路線が廃止されてしまったのでした。
その儚さから、今も伝説として語られています。
車両の多くは、路面電車的な小型のものでした。
しかし、戦時中から戦後にかけて、他社からの中古車購入で大型の鋼製車を増やしたという流れ。
前面丸窓の大型鋼製車。300系・400系が廃止近くまで残りましたので、今のパシフィック電鉄のイメージでは伝わっているようです。
http://www.usrail.jp/et-pe-car.htm
など参照ください。
私感ですが。
路線・車両ともに近代化のタイミングを逃し、そこを自動車社会化に掻っ攫われた感は否めません。
アメリカでも、シカゴ近郊・ニューヨーク近郊は相当な電車網を維持できており、それがオイルショック以降の公共交通の再評価時代まで繋ぐことがでいたのです。でも、パシフィック電鉄にはそれが出来なかったのですね。
さて。
今のロサンゼルス・メトロはすべてを喪ってから再建されたもの。1990年に運行開始。それまで軌道系の公共交通機関の空白時代があったのでした。
地下・高架・併用軌道とバリエーションは豊富なれど、総延長は169kmに留まっています。一応、延伸は進んでいるようですが。

湿っぽい話は抜きにして。
パシフィック電鉄の電車は、以前から制作考えていたものです。というのはTAMOTSU氏の毎年開催される「HOT MINIFIG RIDE」の舞台が、西海岸を意識した街であるから。
そこに似合うのは、当然、西海岸の電車なのですね。
赤とオレンジ。羽根のような装飾。そして、前面の丸窓!
派手とも言えますが、派手なショウカーの並ぶ世界ならば、寧ろ有り難いことであります。

題材に選んだのは、末期まで活躍し動態保存車両もある400系。
1920年頃前に製造されて、1940年代にパシフィック電鉄に譲渡。そして廃止まで活躍した車です。
(余談。blinpというと300系だけを指すのか、或いは類似形状の400系も指すのか? ちょっと不明でした)
車種のバリエーションは多くないのですが、1両を普通車……日本的にはデハ。
もう1両を普通・荷物合造車……日本的にはデハニに仕立てました。

400系。デハ。50両くらいいたとか。
両運転台の電車。22mもある大型車で転換クロスシート装備。日本の大型電車に近いようであり、そうでないところもあり。
客車のデッキに運転台を設けたつくりは、古典アメリカ電車そのまま。大きなステップは無論路面区間対応のもの。
前面の丸窓は鮮烈ですが、これは1920−30年代のアメリカの電車では多く見られたデザイン。
特徴的でもあり、普遍的でもあったスタイルです。

丸窓の表現は幾つかの案がありましたが、ターンテーブル基部の使用で納得できるものになりました。枠は窓桟ということで……。
後退角は少しついているんですが、割愛して窓下の横組スロープで「暗示」表現にしています。
おでこの処理は、いつもの電車表現です。
アンチクライマーはゴツいものを。
ドアの凹みは実物ではそれほどないのですが、古典感を強調するため、あえて1ポッチの凹みにしています。

サイドビュウ。窓なし部分は、禁煙喫煙の仕切りのあった場所だとか。このおかげでレゴ的には強度確保で助かっています。
窓は大きめに。
ドア幅も大きめに取りました。

400系。デハニ。
荷物合造車は4両あり、うち1両は保存されているようです。
客室側はやや大人しいですね。
レゴ的には動力車化前提です。トレインモータは仮装備です。

荷物室側は前面非貫通。故に、丸窓が3つ並んだ壮烈なお顔。
この顔も後退角があるのですが、プレート単位のずらしでの表現に。

サイドビュウ。
デハもそうですが、アメリカ型なのでやや大きめに。全長34ポッチです。
(通常 日本型や欧州型は32ポッチ)

2両の編成で。
3両でも平気で路面を走り。そして稀に大型車の5連まであったとか。

大型車なれど。急カーブのある路線にも入ります。
レゴのR40カーブもこの車両には違和感がありません。

パシフィック電鉄は廃止まで、ポール集電でした。
アメリカでは日本よりも、ポール集電は抵抗なく使われ続けたようです。

こんな風に。
1950年代までのアメリカ車の背景にも使えるのですよ!

電車と自動車の共存ができなかった史実が惜しまれるのですが。
しかし、自分の世界ではこの両者は共存するものであります!