
フランス国鉄 BB9200形電気機関車。
1957年から1964年にかけて製造された直流電気機関車。戦後近代型としては第2世代です。日本で言えばEF60等の時代ですが。
それまでがCC7100形で車軸配置C-C。これでも十分近代的だったのですが、それを覆す斬新なもの。
性能は3900KWに達し、最高速は200km級!
スタイルの美しさも。
伝統の丸窓さえ廃した、前面窓からサイドグリルまで直線を前後で通してしまったスタイル。しかし、前面窓の締めにアーチを配する優雅さ。
旅客用が最後の方にはほぼ貨物用となり2010年ころまでは各地で活躍していたようです。
ただ、フランス国鉄で頂けないのは更新するたびに醜く、装飾類がどんどん喪われてしまうことで。そこばかりは残念ですね。現存の保存機では綺麗に復元されているようですが。

薬師山様の作品。美しかった原型……というよりは、少しづつ装飾が落とされていった1970年代の姿でありましょう。無論、その時代もまだ魅力的なのですよ。
フランスらしい中間色の表現にはダークターコイズ! 今までの不可能が可能になった嬉しさ。
窓端の処理には1x4アーチです。屋根角に当たる部分は角ばっていますけども、この写真見る限り「全く気にならない」造形です。
そして、スキのない、美しさ。
銀帯の表現は前面で新型の1x3アーチと1x2カーブスロープの合わせです。
ライト周りの装飾も。車体側面の円形の出っ張りまでタイルでの表現。
前面はやや平板な印象はあります。スッキリとした美しさと、より強い後退角や曲面の表現は矛盾もしますので、ここは前者を優先させた割り切りでしょう。
台枠部分は合理的なトレインプレートです。足回りの裾をちょいと下げられるのは欧州系の機関車には有難いことなのですよね。
さて。昔の写真を観ますとBB9200では端梁と車体の間。薬師山作品では1x6のタイルを使ってる場所に銀か白の色差しが有るようです。ここのタイルを灰色に差し替えたら印象は若干変わってくるのではないかと思ったのですが、如何でしょうか?

屋根上もすっきりタイル。機器の少ない屋上はシンプル。
それだけに金色の汽笛が目立つます。

拙作の、CC40100(1963-1997年)と並んで。
ほぼ同じ時代のSNCFの電機並びです。

BB9200に合わせて作ってこられたのがコラーユ客車。

前から1等車・2等バー合造車・2等車・2等車・2等車。合計5両。
フランスの中距離用……急行・普通用の客車ですが、1970年代のデビウ時には鮮やかなカラーが話題になったものです。ドアのオレンジや、等級帯の黄色や緑をもデザインに取り込んだ合理性。

薬師山様の造形は丁寧なものです。
屋根の丸みと車端部の丸みの「分離」には唸らされます。
屋根の丸み表現は45度スロープ上のカーブスロープという無難なものですが、一番美しい。
車端部丸みはより大きな径のカーブブロックで、車体の平板さを逃れています。
そして。各種のステッカー類。
機関車のSNCFは1960年代以前のもの。客車のロゴは1970−80年代のもので、時代考証もバッチリです。

ひっそりと、魅せ所。貫通扉もオレンジなのですね。広幅の両開き貫通扉とホロ。
そして、結構目立つ存在の「桟板」なのです。

コラーユ。CC40100が間合い運用?で曳いても似合うのです。
おそらく2D2 9100辺りの旧型電機でも絵になるんじゃないか? 特急用(TEE等)の派手さは有りませんが、フランスの何処にでも居てどの機関車が曳いても様になるってメリットは大きそうです。
ちょっと自前でも、所有してみたくなりますね。