※記事は2021年7月7日に記しておりますが、制作発表時期に合わせて、2020年11月1日の投稿扱いとしております。

関西鉄道(今の関西本線他)は形式に名称付ける習慣があり、この機関車は「電光」と書いて「いなずま」と。
鈴鹿山脈越えのために導入した強力機。1C車軸配置で牽引力を優先したもの。特徴的なキャブ周り。
1898年 英 ダブス製で12両に至る。
出来の良さそうな機関車であり。また、ダブスのCテンダなら使い勝手も良さそうなものですが、旅客でも貨物でも入換でも。
しかし、早期にキャブの特徴は失われてしまい、また1933年までに廃車されてしまいました。
ところで、「電光」の臙脂色の姿は油絵で知られています。
明治の機関車が色鮮かなものであったのは、そのほかにも錦絵や、幾つかの記述やら絵葉書などでも知られるところ。
創業時(京浜開業時)の機関車たちが華やかなのは確定として。
明治中期以降でも10形や5270形の緑、6200(6270?)の一部が濃青であったようです。
……とはいえ、国有化以後は黒に、端梁赤差しの姿になってゆくのですが。

作品もまた鮮烈な、臙脂色です。
金の色差しが美しい。
トロピカルタイプと言われるキャブとテンダが繋がったような造りが日本では唯一のものでした。テンダ機でありつつサイドタンクもあるのも珍しい形状です。
yamatai様の作品は、魅力を伝えてくれてるのですね。
7幅でやや大きめゆえ、プロポーションが犠牲にならず。また、伸びやかな感じも伝わってきます。
キャブとテンダに及ぶステップも繊細です。

動輪とスライド周り。

動輪はBBBミドルです。軸距を開ける元来の使い方?ですが、7850クラスだと実物も軸間開いてるので正解なのです。
英国機らしく、ランボードはギリギリまで下げられています。

その秘密。ランボードに穴開けてフランジが貫通してる由。ただ、ここはスプラッシャで隠れる部分ですが。
ポッチだしを控えた平滑な仕上げもyamatai様らしい所です。明治の汽車の良き時代の姿では大事なことなのでしょう。

この伸びやかなムード。優雅さに繋がるのです。

キャブ内。パイプやメーター類の表現。
キャブ側面をタイル表面にしているのも注目です。薄さが細密感につながりますから。

キャブとテンダの繋ぎ部分。繋がる屋根も。

カーブでも破綻しません。

7幅車体に対して、主台枠を3幅で作る流儀です。
これでちょっとした狭軌感が生まれるのですよね。7幅のメリットでしょう。
先輪と端梁は一体化され、実用的な運用が可能です。先輪の取り付け位置も理想的なもの。

バックビュウ。テンダの裾まで臙脂に染まります。テンダドライブで有りつつ、ギリギリまで背は下げられています。

1軸+2軸ボギーの足回り。それらしく見えてますね。

拙作の、GWR 「シティ」級(3700形)と。

並べてみると、世界観が繋がってみるのですよね。
それほどに、明治の日本の鉄道は英国流儀。そこに米国流が混ざり、更に新しい世界を造り、独自性が生まれていったあの時代。

ともあれ、レゴ的には色鮮やかな機関車がふえてゆく? 第一歩なのでありました!
以後同じくyamatai様の「早風」級 (6500)やら、拙作のD9(6200)原形とかが作られる流れになるのです。