その殆どは英国系の大人しい形状のものでしたが(400形など。英国以外に独・米のメーカーでも大量に生産。国産化も)、2形式の例外が有りました。
参考:400形。拙作
アメリカ スケネクタディの900形は日本鉄道。
そして山陽鉄道の950形はボールドウィン製。
いずれも「濃縮されたアメロコ!」の強烈さ。
特に950は1524mmの大動輪を持つ高速タンク機関車。1895年に10両が入ってきました。用途は兵庫〜姫路間の短距離列車用。
さしずめ、蒸機の新快速ですよ?

キャブと炭庫の離れた形状も軽快なものであったことでしょう。
ただし、この種のアメリカ製機関車はえてして長生きできないのでした。
大正の末、1910年代には城東線(今の環状線)で使われてたとか。1931-1935年には廃車されてしまいました。
一時的にテンダ機(5050)に改造されたもの、また、キャブと炭庫を繋げた一般的なタンク機形状になったものもあります。廃車時期的に、また最後まで旅客列車用でしたから空気制動化もされてたのでしょう。

yamatai様の作品は2020年9月の完成です。
(その前にも仮完成の姿を見せてもらったりしておりますが)
先ず、魔改造などなしで自走する1B1タンクとしての価値が大きいですね。
PUハブを動輪の上に収め、キャブ内にPU-Mモータでの駆動です。
その上で、この軽快なスタイル。可愛らしさ。
可愛いけど「締まってる」んですよねぇ。
アメロコらしい小道具は言うまでもないのですが、サイドタンクの形状が見事です。カマボコ使って形状ととのえ、裾は動輪を少し覆うバランス。それゆえ、品格と重みも顕れてるように思うのです。

サイドビュウ。小さめのキャブ。ここにモータ縦置き。
タンク機はキャブ下の処理が難しいのですが、破綻が有りません。
無論、原形の炭庫が独立した姿です。
足回りはフランジレスダミーの先輪、フランジレス動輪 フランジ動輪 フランジ従輪。此処ばかりはやや不安です。
拙作の400形でも1B1タンクの重量配分はやや難儀しましたけれども。

内部。PUハブの側面にケーブル這わせています。7幅故に出来る手法です。
(6幅でもタンク部のみ7幅という形状は有りとは思いますが)
タンクで隠される缶胴はハブ上の装飾ですが、違和感ないですね。
3つ並んだドーム群が良い感じですよ。

キャブ内。モータ抑え。

足回り。ダミーの先輪は頑張って回転機構が組み込まれています。第一動輪からゴムベルト駆動とは。
ただ、この特異な足回りは性能上では命取りになってしまったようです。
でも、何らかの再起のきっかけはありそうにも思えるのです……。

バックビュウ。格好いい。
タンク機ですからこっちを前に走る姿も様にならないといけませんよね。

貨車(これもyamatai様の作品)との合わせ。良い雰囲気です。
足回りの不調で、その後は余り出てこないと聞きますが。
しかし、捨てがたい名機であるのですよ。
山陽鉄道風の客車連れて、再起する日を楽しみにしております。

他 仮完成時の姿です。

同じくアメロコ 6400形と並んで。長距離用も短距離用もともに大動輪の高速機!

仮完成時の姿。この地点では足回りは
フランジ先輪・フランジレス動輪・フランジ動輪・ダミー従輪
でありました。後部への重量の集中が問題だったと伺っています。
1B1の足回りとしては寧ろセオリー通りではあるのですが。

この当時の足回り。上の最終稿とは違うのが分かりますね。

しまった姿は、このときから魅力的でした。