メリットは少なく有りません。
モーターと車輪の位置関係が自由になる。
ベルトの滑りがクラッチを兼ねるので、過負荷による機械的破壊が無い。

(2021年現在の製作中のある題材より。とりあえず、2020年に思いついたゴムベルトして動力で作ってみた由……)
一方でデメリットです。
滑るので、伝達効率にムラがある。
滑るので、フルパワーが出せない。
滑るので、僅かな機械抵抗で動かなくなる。力押しが聞かない。
組み込みや組立がギアより面倒くさい。
ベルトが外れやすい。掛け直しに手間がかかる。
……。
ギアドライブでも、小型蒸気機関車用や電車用の縦置きモータは問題なく稼働を続けています。
あの安定感を、そしてパワーを内燃機関車等に使う横置きモータでも求めてみたくなったのでした。
で。
レゴ社のテクニックギアの規格は微妙に不便なんです。
テクニックの規格上、ポッチ方向(横方向)の動力伝達は便利なのですが、ブロック方向(プレート方向)すなわち縦方向への動力伝達があんまり考慮されていない。
思えば2019年。内燃機関車用の動力伝達システムがこの問題に泣かされました。
Mモータをトレイン軸穴車輪とベストな(ミニマムな)上下方向のクリアランスで配置しようとすると、絶妙にギアが合わない! って問題です。
一時期はベベルギア使って縦方向のシャフトでの伝達にしていたのですが、それでもストレスは大きく。
ゆえに、ゴムベルトに切り替えたのでした。
さて。
レゴ社の部品の規格には時々「バグ」があります。
そのシリーズの初期にリリースされる、微妙に規格から外れた部品というやつです。

4143という、14歯のベベルギア。
1980年ですからテクニックの黎明期ですね。レアパーツかと思いきや、2002年まで供給はされたのでそれなりに市場在庫はあります(有り難い!)
これが縦方向の動力伝達に使えるかと思って試してみました。

ビンゴ!
8歯ピニオン・12歯ダブルベベル・そして件の14歯ベベル。Mモータと軸穴トレイン車輪のベストポジションで、バッチリ噛み合います。

車体に実装すればこんなに面倒なことも要らないのでしょうけど、汎用性あるムーブメントとしての実証のため(笑)、ギア承け部分はモーターのペグ穴に刺して固定。
強度は十分です。

真横から。この小型さなら、内燃機関車はもちろん、小型蒸機にも使えます。
ある程度廻してみましたが、ゴムベルトの不安定さが嘘のよう……。

裏面。2軸の動力伝達はいつもどおりのやり方です。
過入力は避けて、やさしく使うことが前提の強度確保です。
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そして。このシステムの応用バージョンです。
車種によって車輪の位置や、ギア承けとギアの位置を変えたいこともあるので、その対策版。

ギア側正面。ユーモラス?
先のバージョンに対して、ギアを上下で逆にしています。歯数比・回転数とか変わっちゃいますけど気にしない(笑)。
1点接続は動力が絡むものでは避けるべきなので、なんとか2点接続を維持。

さらに言えば。より、小さくです。
ホイルベースは1ポッチ更に詰められますので、無理もかなっちゃう?

裏面。まぁ、いつもどおりですが。

ギア枠は片面ポッチブロックでモータのペグに固定します。

ゴムベルトレスの新ナロー動力装置、色々展開してみたいですね。
現状ゴムベルト駆動の木曽森林鉄道酒井5噸機や、Rhb Ge6/6ミニクロコ(2020年7月) の改装は行いたいですし。
無論、製作中の新題材にもこのシステムで……。