おことわり:
この作品は以後、改良されております。
2020年11月末地点での完成状況に基づき、一度記録にしておりますことご了承ください。
改良版に関しては、別途記事にいたします。

EF55形電気機関車。
伝説的な流線形電気機関車です。1936年に3両のみが製造。戦中戦後も使われましたが1950−60年代に早々と引退。1両のみが保管というか放置……。幸いにも国鉄末期に外観整備から内部機器の修理が行われ、1986年に動態復元。本線復帰を果たしました。
流石に動態での維持は無理があり、2000年代に入ってから二度目の引退。
今は大宮鉄道博物館にあります。
名機かどうかは迷うところでしょう。
そもそも電気機関車での片運転台は世界的に見ても稀。著名な流線形電機のほぼ全ては両運転台(GG-1等)です。もしくはプッシュプル固定編成(極端な話、TGV。あと近鉄の電機で保線編成組んで固定になってる奴がいました)。
そうでなければ碓氷峠のような特殊な運行形態か。
片運転台は電気機関車であることのメリットをかなぐり捨てる形状なのですよね。いや、内燃機関車なら片運転台も寧ろ珍しくないのですが(いわゆるフードユニットのロードスイッチャーは片運転台。超絶多数派!)。それは蒸気機関車のインフラをそのまま使うからです。転車台など。機関車は自走で転車台へ扇形庫へ。
しかし。電気機関車ではそうは参りません。EF55が自走で乗ることの出来る架線張った転車台など何処にもなかったのですよ……。確か浜松には有りましたが、それも戦後の話です。1951−1963年ころか。
つまり、EF55の方向転換……沼津や東京などでは入換用の別の機関車が必要なのでした。不便と言われたわけです。
なお、EF55も初期案では両運転台だったと言われています(1986年ころの鉄道ピクトリアルで想像図見たことあり)。それならもっと使いやすかったかも? とはいえデッキのないツルツルの形状では操車などでは嫌われそうです。
ドイツのE18・E19や、ペンシルバニア鉄道のGG-1など、流線形でもEF58程度には操車の便を考えた形状なのは流石と思うのでした。
流線形電機の流れは潰えたわけではありません。
今も少し残るEF66形は、貨物輸送の近代化アピールのためはたまた新生JR貨物のイメージ作戦のため、デザインに気を配った鋭角的な形状(100代はまろやかな形状)を誇ってたものです。
今なお増備されているEF210も流線形といえば流線形でしょう。欧州でも汎用電機が流線形だったりします。
ほどほどのバランスはあるのでしょうね。きっと。

前置きが長くなりました。
mizuki様の作品です。先ず、皆をあっと言わせた最初期バージョン(1.0としましょう)。2020年の7−8月ころであったでしょうか。
EF55の難度を上げてしまう、前頭部の帯表現をシールにわりきったものです。
流線形形状は程よくシンプライズ化されています。でも、違和感は皆無です。素直にかっこいい! またこの題材を実現した凄みに驚愕させられたものでした。

バックビュウ。簡易運転台のみの後部。こちら側の顔も良いものなんですよね。
足回りは、前部の覆いで隠される先輪2軸をダミーとわりきっています。
そして動力は考慮せず。2−1−3−1と配置することでカーブ通過を平易化しています。なんらかの機関車と重連にするか、荷物車や暖房車などに動力を負担させればよいでしょう。
ソリッドなパーツ使いは、EF55の滑らかさを十分に感じさせてくれるのですよ。

改良バージョンです(2.0と称しましょう)。2020年の9月ころだったでしょうか?
シール張りによる表現をなんとか、排除されようとしたものです。
側面の曲線はディジタルな表現で。
前面のV形はアームとひげで表現。
また、おでこ部分の改良も分かりますね。隙間を少しでも埋められようとした。
ボンネット部分の質感もまた違いますね。
飽くまで個人的な好みとしては、1.0の方が好きでした。
このバージョンはやや鈍重感が否めなかったのです。

ただ、角度によっては「あり」にも思えます。
HOゲージ(16番ゲージ)の鉄道模型でも、メーカーに拠る差異が出やすい題材でありました。同じメーカーでも、ハイグレードな新製品よりも素朴な旧製品の方が印象把握が良かった……なんてことのあった題材なのです。

2.0でのバックビュウです。

さて。
再度の改良です。2020年11月頃だったでしょうか。
これを3.0ということにさせていただきます。
ノーズ(ボンネット)を1ポッチ伸ばして、より伸びやかな印象に。
鈍重さを逃れています。関連してV形の前面帯の付け方も変わっていますね。
合わせて車体裾の切り上げも効果が大きかった。7プレートぶんも垂れていたのがスッパリと5.5プレート分です。
製作者は0.5プレートの隙間がスカートに出来ることを気にされていたようですが、自分の主観としては気になりません。寧ろスリットが軽快さを出しているとも?

カーブの通過試験。実用になることは大事です。よく見ると、先輪は(先台車)は1+1で、片方のみがダミーです。カーブ通過ギリギリ。


3.0での完成。連結器の開口部が大きめの1960年ころの姿。これも実用的で悪くはないと思うのです。
なお、1986年の動態復元以後から今の姿は前方連結器は非常用とわりきって小さい目の開口部に抑えられていますよね。

いっぽう。
3.0で連結器開口部を埋めた姿です。デビュウ当時の公式写真などの姿ですね。

標識円盤つけた姿も似合います。
鈍重さがないので、ディジタルな帯表現も気になりません。

ただ、連結器のカバーはやや重い感じはします。これは実物の写真でも同じくで……。この造形である以上の必然なのでありますが(その意味で、リアルでもあるのです)。
いっそ開口部を2ポッチ幅にした、1986年以降の姿の再現も有りかもしれませんね。
また、戦後のひところカバー残したまま連結器突き出した姿というのもありました。
わずか3両で、活動期間も短かった機関車です。
しかし、奥の深い造形であるのは言うまでも有りません。
その後も改良されたと聞いておりますが(4.0?)、とりあえず、此処で制作記録をまとめさせて頂く次第です。
それにしても……。
列車合わせて、遊んでみたいものです。
1930-40年代の、各等級帯のある特急や急行。
はたまた戦後の1960年代までの列車。
そして、1986年以降の12系や14系など。可能性高い題材でもあるのですよね。