https://www.promobricks.de/lego-9v-30-jahre-4558-metroliner-review/114271/
プロモブリックさんの、4558メトロライナー(1991年 9V)のレビュウなのですが、9Vトレインの開発史についてさらっと言及されています。
メトロライナーに至るまでの、プロトタイプ。

<上記より画像引用>

<上記より画像引用>
この二つのプロトタイプ画像は以前も知られていたものですね。
上ですが34ポッチ全長も検討されていたことで有名です。

<上記より画像引用>
レゴ社の開発室らしい。
ありとあらゆる検討が行われていたことが分かります。
オーストリアのタイプを製品化した1991年のクロコダイルエンジンが、最初はスイスのCe6/8であったことは興味深いですね。この題材は後日別の形で二度製品化されているのはご存知のとおりです。それだけレゴ社にとっては特別な題材なのでしょうか。
9V当時の「黄駅」は、後日販売された「赤駅」もテストされていたのが興味深いです。

<上記より画像引用>
世界中の列車を検討課題にしたようです。残念ながら日本はありませんが。
左上から観てまいりましょう。
最上段はラージスケールのテスト?
2段目 左から
ドイツの蒸機と客車列車。これがもっと早く欲しかったよ……。なんで没にしたの。
メトロライナーの色違いI
前面大味部品ですが、展望車中心の構成?
3段目 左から
この地点で1992年発売のレイルロードクラブカーが想定されてたのです。機関車はよりアムトラックらしく。
客車はイギリスっぽいのですが、機関車はアメリカ?
赤いメトロライナー、貨物用。後世の「駄目列車黄色」の原形でしょうか?
4段目 左から
全長34ポッチと思しき客車。
東欧っぽい客車列車(スゥエーデンかも?)
X2000(スゥエーデン国鉄)アレンジのメトロライナー
5段目 左から
白黒緑メトロライナー
DBのICE風メトロライナー
モノトーンのメトロライナー
6段目 左から
デンマーク国鉄風の客車列車。客車は中央部のみ1等?
何処か欧州風電機+客車 赤
何処か欧州風電機+客車 白
何処か欧州風電機+客車 白
7段目 左から
ドイツ国鉄風客車列車 電機は111風?
ドイツ国鉄風客車列車 電機は120風?
オランダ国鉄ダブルデッカー+電機
8段目(最下段)
貨車のいろいろ。
こうしてみると、やはり欧州……ドイツへのこだわりが未だ残っていたことが窺えます。一方であの駄目列車黄色・駄目列車青のような方向性も試行され、玩具と鉄道模型のはざまに立たされるレゴトレイン開発の苦悩は伝わってくるようにも思うのでした。
(尤も、日本の子供はリアルな鉄道車両のディフォルメモデル[ルビ:プラレール]が玩具の基準ですから、如何にもな「子供だまし玩具」なデザインはノーサンキューで有りましょうねぇ。メルクリンの如何にもな玩具玩具した入門モデルも成功してるとは聞いてないので、何処かニーズとの齟齬はあるような?)

<上記より画像引用>
同じ棚の、別時期(もっと企画が固まってきた頃)でしょうか。最上段には製品の箱が並んでいますから。
左半分はメトロライナーの色違い。
TGV、オランダ国鉄 オーストリオア国鉄 フランス国鉄(グランコンフォート) イギリス国鉄(HST) ルフトハンザエアポートエクスプレス、スイスTEEの格下後塗装……。
(左下の窓まわり青は新幹線?)
右は電気機関車の各種です。
凸型のディーゼル機関車の単品も検討されていたのかな? とか思わせます。クロコダイルへの執着は凄いですよね。

<上記より画像引用>
鉄道模型的な志向の検討でしょうか?
ただ、蒸気機関車の動力系は12Vのままです。12Vの延命、はたまた12V的に蒸機のロッドが挿せるトレインモータの9V? とか妄想してしまうのですよね。
2段めの蒸機の精細さに目を奪われます。大きさ的に8幅にもみえなくもなく。
別の可能性、喪われた未来があったのかも?
3段目はディーゼル機関車など。
黄色い小型ディーゼル(KoefII)はレゴ社が本当に工場で使ってた機関車ですね(昔はビルンにも鉄道は来てたのです)。
4段目はディーゼル機関車の色違い検討。
最下段は鉄道模型的方向濃厚な、ラージスケールの客車モデルなど。
ただ、この大きさだと製品というよりは、展示用の一品物的な雰囲気が濃厚な気がするのです。
また、記事から興味深い部分を翻訳、引用します。
(メトロライナーのデザイナー)「1959年にGrindstedで生まれたTorbenPlagborgは、1984年の新聞広告に応えて、モデルデザイナーとしてLEGOに応募しました。1988年2月から、彼は製品ライン設計者として鉄道業界の新しい9Vシステムを担当しました。」
「彼は他の2人のデザイナーによってサポートされていました-すでに12Vシステムを担当していたヨーテボリ出身のスウェーデン人であるClaasRunoJärnrosと、実際に訓練を受けた煉瓦工であり、彼が閉鎖する前にすでに30年間この職業で働いていたBjarne JuhlLarsenですレゴが来ました。1988年以降、3人の設計者が協力して、鉄道業界向けの根本的に新しい9Vシステムを開発しました。」
「開発とプロトタイプ
鉄道での新しい9Vシステムの開発は、すでに述べたように、1988年の初めのゼロ時間に始まりました。すべてを再開発する必要がありました。設計者はこれを行うのに3年かかりました。開発者と設計者が受け取った唯一の仕様は、新しい9V電源システムであり、古い12V車両も新しいトラックで使用でき、以前の磁気結合を保持する必要があります。しかし、なぜ12Vから9Vへの変更が実際に起こったのでしょうか。Plagborgの説明は非常に単純です:ほこり。再生中の接触には常に問題があり、9Vシステムは他のいくつかのLEGOトピックですでに紹介されていたため、この手順は論理的でした。
しかし、新しいモデル(今日私たちが知っているMetroliner 4558)が登場する前に、多数のプロトタイプが作成されました。これらのモデルのうちの2つ(写真)は、どちらかの鉄道ファンにすでに知られている可能性があります。」
(これが1/2枚目の写真のモデルです)
「しかし、それが3番目の灰色のモデルであると今信じているのなら、あなたは間違っています。デザインから完成セットまでの長い道のりはそれほど簡単ではありませんでした。Plagborgは、世界中の急行列車のほぼすべてのカラーバリエーションを試したと報告しています。これは、写真でも印象的に証明されています。もちろん、他のセットも側面にデザインされているので、赤いクロコダイル(4551)のバリエーションをすでに見ることができます。」
「モデルは部分的に遮蔽された部屋で提示されました。ここでは、実際には最も近い従業員と従業員だけがアクセスできました。製品ラインが完成し、モデルが市場に出たとき、プロトタイプは解体され、新しいデザインに使用されました。したがって、特に「家に持ち帰る」ことが厳しく禁止されていたため、今日、地下室で眠っているプロトタイプはもうありません。」
「しかし、なぜ最終セットは、アメリカのアムトラック鉄道旅客会社に非常に似ている独特の赤/白/青のストライプで灰色に変わったのですか?!はい、実際に参照が必要です。12個の新しい9Vセットすべての色に灰色の陰が欠けていました。この目的のために、余分な部品も色が変更されました。また、北米市場を征服し、存在しなかったLEGO鉄道のマーケティングを強化することも目的でした。そこの前に。最終的に生産に至ったデザインの最終決定は、Kjeld Kirk Kristiansen(当時のCEOであり、創設者の孫)だけが行ったのではなく、国際マーケティングの人々と経営陣の取締役が彼をサポートしました。もちろん。」
欧州中を検討課題にして、北米市場にリーチするため、アムトラックカラーになったのは事実だったようです。
なお、1990年代からレゴ社全体のテーマが、欧州よりは北米意識するようになっていたことは意識する必要があるでしょうね。
これが行き着くところになると、あの暗黒時代(1997−2002年頃)になってしまうのですけども。
もっとも北米への意識がスターウォーズやバイオニクルを生み出した功績もまた、大きいのです。
AFOL文化も北米市場あってこそなので、ネガティブに捉えるわけには参りません。此処はまだまだ検討されるべき歴史なのでありましょう。