そして、平成に蘇った1両は令和の今も走り続ける。
自分も含めて皆様手掛ける人気題材にして。
しかし……。地味に難度の高い題材で有り続けます。
古典機がメインになっていたyamatai氏ですが、氏ににしては近代的題材……ということなのでしょうか。遂に8620も手掛けてこられました。

3月半ばの某日。撮影。
キャブとランボードで7幅というスケール。
如何にも氏らしいのは、大正時代の姿。原型で制作されていることでしょう。空気制動関係の装備のないスッキリした姿。特にランボードが綺麗な直線です。
8620では難しく、皆がこだわるランボードの低さですが、ギリギリ迄さげるというよりは無理なく程よく、全体のバランスで低く見せるアプローチ。

斜め上からだと、より魅力も伝わりましょう。ランボードが厚めなぶん、スプラッシャが程よく控えめに見えるのですね。
前端部の処理も理想的なものです。
全体に色気を抑えつつ。
しかし大正のカマ。エンドビームの色差しに各部の真鍮磨き出し部分が良いアクセントに。ポッチ出しもミニマムです。
8620が古典機か制式機か? 難しい問題ですが、作品化に当たって、最大限に前者よりのアプローチ取っています。

前方より。缶胴とキャブ幅のバランスが秀逸ですね。
台枠端部は1x2カーブスロープによる表現です。

鱒寿司氏作と並んで。
あちらは昭和の姿。空気制動・デフレクタ。それぞれに良さが。

同じく。一番奥は拙作の8700。これは別記事に……。

楽しき、ひととき。
8620はやはり人気者です。

さて。
制作中の様子も見てまいりましょう。
缶胴の完成。「ハシゴ」の表現がわかりますよね。

8260を難しくしている部分。1軸の先輪です。
ランボードに当たらないよう、背を低くくし、取付部のアームも長くしてアタック角を低減している由。

色が揃わないので、まずはモノクロでお披露目。
この地点で、すごい作品という印象は鮮烈に。

こだわりという、台枠の「抜け」感。
スプラッシャと缶胴の間も、無論抜けています。

台枠前端部。カーブスロープの使い方がわかります。

サイドビュウ。キャブのサイズもまた適切に。
全長はやや余裕保たせているので伸びやかな感じがします。そのために先輪とシリンダと第一動輪の距離が適切です。

色をととのえてから。キャブ周り。
「乙の字」ラインは無理なく逆カーブスロープ処理。

ハシゴやパイピング。
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さて。
3月末の某日某所。
初の走行お披露目でした。

バランスの良さ。際立ちます。

並ぶのは拙作の8850。これも別記事に。

カマでいっぱいの情景。

古典客車の、列車引いて。大正の姿には似合います。
古典客車は拙作。2020年10月作。

拙作の8620(手前)と。
追いつこうとして追いつけぬ、ライバルで有り続けます。
しかし。妥協や慢心を抑えてくださる作品の存在、なんて嬉しいことでしょうか。