そして、2021年のBricktrainAwardsの、ディーゼル機関車部門のグローバルウィナーに輝いたのでした。
「国鉄DD51形ディーゼル機関車
スノープラウに旋回窓の、寒冷地A形モデルにしてみました。一応、設定としては、秋田機関区所属DD51-671号機。昭和44年、日立製作所製造。当時、まだ非電化区間だった奥羽本線で『日本海』や『あけぼの』などの列車を牽引していました」
https://twitter.com/KMartworks/status/1366045824069689344
とのことです。
DD51自体は解説は不要な機関車でありますが、1962年の試作から1978年の製造終了。
無煙化の旗手でありましたが、しかし電化の進展や客車列車や貨物列車の削減と不遇な時代に突入。それでも2021年春までは現役であり続けました。
作品は、その最も華やかだった1970年代の想定なのでしょう。
羽越本線の非電化時代……「日本海」のヘッドマークが象徴しておりますね。

概念を変えるモデルです。
サイズは8幅超えの約9幅。
引き算抜きのディテールの盛り方。
しかし、リアルという文脈というよりは、印象派……ディフォルメモデルの文脈でもありましょうか? 作者なりの解釈と見立てが濃厚に含まれ、プロトタイプの魅力を引き出さんとしているのが伝わってくるのです。
(もし、リアルティを追求されているのなら、この評は大変に申し訳のない話ですが……)
ボンネットであったり、キャブであったり。丸みの強調はキャラクター性をもたせています。
ディテールにオーバースケールもありますが、それは無論イラスト的な誇張として効いています。
つまり。この大型モデルは身近な6幅作品と同じ世界のものでも有り、見て学べる要素も大きいと?
足回りは黒や灰色ではなく茶色……鉄粉のかかった色での再現です。ウエザリングという概念のほぼ無かった世界ですが、これは効いています。
鮮やかに、そして重々しく。

もっとも重量感のあるアングルより。
全てのパーツに存在感があります。
ボンネットのヒンジの表現に、別ベクトルでヒンジを使ってしまっているのはなるほどという感じですし、ボンネット裾の張り出し部分の網に2x2窓と窓格子を使うのには驚かされます。
台車の立体感はまた感嘆させられるところです。

サイドビュウはリアルの追求です。
別の世界の模型に見えるのですが、しかしよく見ると見慣れた部品で構成されている驚きなのですね。

別サイド。ディテール表現が違います。

キャブ周り。
引き算抜きで、いかに破綻なくまとめるかの答えなのでしょうか。
床下。中間台車の表現。そしてバンドも表現した燃料タンクが印象的です。
遅くなりましたが。優勝、おめでとうございます。
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同じ文脈での、名鉄510形電車です
「名鉄モ510形(1967年簡易急行色ver.)
1926年(大正15年)、日本車輌製造により新製。名鉄の前身の一つである美濃電気鉄道に納入された。
半円筒形の正面形状、側面の丸窓が特徴的な半鋼製4軸ボギー車で、名鉄美濃町線、谷汲線、揖斐線などで活躍した。」とのこと。
https://twitter.com/KMartworks/status/1366516316253790209
510形が急行車として整備された(転換クロスシート装備とツートンカラー)のは1967年ころのこと。簡易急行色時代は概ね1971−1979年ころのことです。その後赤一色になったりもしましたが、1988年から路線廃止による引退までは元来の急行色で活躍しています。
こちらは、車体幅7幅です。
第一印象……もっと大きなモデルと思ったのですが、なんと7幅に抑えています。
実写の細面の印象が伝わってきますし、細密感と密度感も感じられるのですね。
特徴的な5枚窓はパネルで少しづつ角度つけながら・。
丸窓はカーフェンダー浅型の横組です。
側窓は2段上昇窓、うまく再現しています。
雨樋とシルヘッダーは割愛で、ウインドヘッダーのみの表現なのはやはり「印象」なのでしょうか。保護棒は嬉しい表現です。
足回りは灰色です。実物の整備されたての状態のごとく。台車の精緻さも伝わってきます。
これもまた、学ぶべき作品と言えるのでしょう。
別のスケール、別の世界観であったとしても……。