キワモノにさえ見えるスティームトラムですが、グレートイースタン鉄道は後のLNERすなわち英国 4大私鉄の一つ。そして1948年にはイギリス国鉄の車籍を得たのです。
無論軽便機関車ではなくて、自重28トンで標準軌の機関車なのですよ!
1955年までに廃車されてしまい、現存機がないのは大変に惜しまれます。
さて。
路面用の蒸気機関車というのは蒸気動車とともに、世界各地でみられました。無論日本でも。
多くは普通の蒸気機関車や、それに何らかの装備を加えたものでしたが、箱型のものも少なく有りませんでした。アメリカではスチームダミーと言い、箱型の理由は「客車のように見せて、往来の馬を驚かせないため」だったとか。
イギリスでもその種の事情があったのかどうかは定かではありませんが、原作絵本では「併用軌道を走る機関車は、側板とカウキャッチャーを付けねばならぬ」と記されておりますので、必然性はあったのでしょう。箱型なのはやはり、馬への配慮だったのでしょうか。1903年といえば自動車時代に入る直前ではありますけども。
ともあれ、こんな機関車が国鉄車籍に収まったのは愉快です。
(それにしても、あのコンテンツの利益で基金作って、J70の復元1両くらいはできないのでしょうかねぇ? 牧師さんの[息子さんの]好きな機関車であったのですから)

aminoさん様の作品。当然、彼の伴侶、ヘンリエッタも連れて。
箱型故に特徴を出すのが難しいのですが、見事に特徴を再現しきっています。
足回りは8幅にすることですんなり隠しています。流石に側板の下のロッドまでは表現されていないようです(9幅になってしまいますよね?) タイルが実に鉄板感。
対して車体はグリルによる木質感! 番号の「7」も決まってます。アメリカンなものとは明らかに違うカウキャッチャもこの機関車の必然でしょう。角度が良い感じ。
赤いエンドビームの美しさ。
そして、彼の誠実さと落ち着きを感じさせる表情!
トービー(トビー)のキャラクターモデルとして最高ではないでしょうか。
英国型に顔をつけるかどうかは揉める話題(笑)ですが、このクオリティなら「顔」付けてあの絵本の世界に入りたくもなるものですよ!
白いライト。屋上のディテールも見逃せません。

正面より。やはり、いい表情です。
うまく他の機関車にも応用できると良いのですが。

サイドビュウ。

屋上の紐が堪りません。ベルを鳴らすのです?
排気管?の斜めも印象的です。

バックビュウ。両運転台だと思しき機関車ですが、こちら側には顔は有りません。
4枚開きの開口部があるのですね。ここは絵本でも描写されておりました。

良き伴侶のヘンリエッタ。素敵な老婦人であられるのでしょう。
車体色はダークオレンジ? 独特の中間色が良い雰囲気を出しています。あの世界は実に色彩豊かであるのですよね。絵本も、特撮人形劇も。

おまけです。制作過程。第一報。
背景にたまたまaminoさん氏のモジュールビルが入り込んでるんですが、この雰囲気の良さよ。R24で軌道作ってモジュールの周りをくるくる回らせたらどんだけ楽しいことでありましょうか?

第二報。造形は固まりつつ。窓の裏表が違います。
顔なしバージョンも想定されていた模様。これはこれで有りですね。開口部が貫通扉的な機能美です。

表情の初期検討? 良い感じなのですがやや幼い?
(尤もこの顔は、他のキャラクターに援用できそうです)
決定稿での眉毛、成功してますね。
もとより絵本での人気者です。
この作品も、皆に愛される作品になってくれることでありましょう……!
それにしてもスティームトラム。
真面目に1両作りたくなってきましたですよ。都市交通的に、あるいは港湾倉庫などの入換機に……意外と便利に使えちゃいそうなのです。
足回り覆った機関車ならロッドとか割愛できますし(10幅とかでリアル目指すなら話は別ですが)、スティームダミーならば客車形状で足回りロッドの楽しさが……。