昨日の「エンパイア・ビルダー」の続きになります。牽引してる電気機関車W-1形。

アメリカの北部で大陸横断しているグレートノーザン鉄道の電化区間(交流11000V 25hz)はカスケード山脈を超える117km。約2千キロに及ぶ路線全長からすると僅かな区間です。もっとも山岳区間の先行電化は日米ともに珍しくはなかったのですね。
(仙山線や板谷峠の先行電化のような感じ)
ここには箱型デッキ付きの大型電機が活躍していました(日本のEF51を大きくしたようなのが)が、1947年に戦後の輸送力強化用に導入されたのが2両の流線型電気機関車 W-1形でした。
全長は31mに及び、重量は330トン!(EF58の3両分です)
車軸配置は全軸駆動のB+D+D+B。先輪従輪の部分もモーターです。
製造はGE。当時のディーゼル機関車の前頭に似たドッグノーズを持ちます。
ただし、微妙な寸法や造形はディーゼル機関車とは違います。ディーゼル機関車のほうが腰が低く、電機は足回りがゴツい分(モーターがでかい)腰高になりますからね。
そう。アメリカの鉄道は戦後は急速にディーゼル機関車の時代に。
ささやかな電化区間もトンネルの排煙対策と経済性でディーゼル化したほうが良いとわかると、あっけなく電化廃止です。1956年のこと。
他に転用できるとこともなく、巨人機たちは全て廃車されてしまったのです。
(同じく交流電化だった北東回廊で使うには、デカすぎたんでしょうか)
新造してわずか9年のW-1も同じく。
1両はメーカー買い戻しの上、ユニオンパシフィック鉄道で別用途に転用されるのですが……それはまた別の話にしましょう。転用のしかたにしても、また試みの顛末しても、決して明るい話ではないのですが。

アメリカ版。「或る機関車」。
それでも「エンパイア・ビルダー」は、絶対この幸薄な大柄娘に牽かせようと決めてました。
前頭部はよくあるディーゼル機関車のようなドッグノーズですが、先に触れたよう印象は結構異なります。腰が高いのでより軽快にそして力強く!
それでも、ドッグノーズ系作る良いトレーニングになりました。この種の機関車作るのが楽しく?なりそうです。
前面窓は無難に45度スロープ。
前部台車とスカート部分は手抜きな「スノウプラウ付バッファ」ですが、意外と似合ってるのでこのままでも良いかなぁと。

サイドビュウ。全長48ポッチ。レール3本分です。
20mの車両を32ポッチで作るスケールにはちょうど合致します。というより、足回りから車体寸法が決まるようなものですね。
トレインモータx2と、車輪8個を並べると必然的に、です。
動力台車は前後端に寄せています。
車体はサイドのルーバーが斜めに切れ上がっているところ再現しました。同じ角度で運転台の後部窓にもつながってるんですよね。美しいデザインです。
GREAT Northanの金文字表現も。
同社のシンボルの白牛のマークは、それっぽいタイルで代用できました。

足回り。前後B+Dごとに作り、センターピンは台車の合わせ目に持たせています。

濃灰色の2x2がセンターピン。ここに機関車全体の重量がかかるようにして牽引力に配慮。モーターのセンターピンは使っていません。4軸分の車輪は真ん中の2軸が左右スライドするようにしてカーブ通過できます。

センターピン承ける部分。ライムと銀のΦ1プレートが受けてる由です。

台車は左右及び上部で保持して、中の2軸が左右スライド。
動力台車とは2点連絡で柔軟に動きます。

それでも最小通過曲線はR56。標準カーブのR40は断念しました。
実はR56でもギリギリなので、理想はR88です。
この種の機関車が運用できるようになった背景に「R88-R120のラージカーブレール(Me-models乃至TRIX-BRIX)の普及」はありますね。
R40求める9Vも少数派規格になりつつありますし。
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実物は短命に終わった機関車ですが、ウチでは新たな可能性の牽引車になってもらいましょう。
最も大型だったW-1は貨物列車も牽いたでしょうから、貨車はどなたかのお借りするとして、グレートノーザン鉄道のカブースは用意しとこうかなとか思っています。PUトレインモータx2のパワーで曳ける限り曳いてやろうかなと。ただコンテン車よりはボックスカーの時代かもですね。ボックスカーの量産もいつかは課題になりますか?
ともあれ、今後増えるであろうアメリカ型合わせの機会が楽しみであります。
電機に関しちゃグレートノーザン鉄道のお隣? ミルウォーキー鉄道も気になってたりしますし。