一つは保健車と云われる事業用車。これは僻地に於いて国鉄職員や家族の健康診断の為に巡回するものでした。古い客車の改造ながらレントゲン設備も備えています。1949年ころから十数両が用意され(主に北海道に配備)、代替わりも経て1986年の分割民営化で姿を消しました。
もうひとつがこれも戦後。1946年ころから講和条約締結まで存在した連合軍専用客車に医療設備を持つものがやはり十数両存在。
用途は2つあり、一つは日本の(良からぬ)衛生状態に対して、研究や治療を行うためのもの。感染症対策に機動力を発揮する動く防疫研究所です。
もう一つは朝鮮戦争の傷病兵の為のもの。いずれも「赤十字」を描いた姿でした。病院列車として狭義のものはこの2例になります。
(なお連合軍のこうした客車を参考に、前述の保健車が整備された可能性はあります)
なお、類例するもので病客車(1-3等 イヘ・ロへ・ハヘ)が戦前に存在しました。
1等や2等の病客車は何らかの特殊な用途に使われたのでしょう。ちょっと想像できないのですが。自動車の用途で言う「寝台車」的な使われ方した可能性があります。
3等病客車は戦時中に多数が改造され、これは傷病兵輸送に用いられています。やはり軍用にあたるため赤十字表記がありました。

たるご様の作品はそうした歴史とは無縁に?制作された自由形です。
設定は現代設定でありましょうね。50系客車の改造か、或いは50系ベースの事業用車という風情です。この側面の小さな窓は北海道向のオハ51か、はたまた現金輸送車マニ30形(これも50系ベース)を彷彿させます。
デッキのステップ処理が薄くて綺麗。yamatai式?
台車は強化された台車枠が印象的です。
白い車体は言うまでもなく、医療のイメージです。
屋上はすっきりタイルとカーブスロープの仕上げです。
ただ、車両の性格上、空調装置は載っていたほうが良いかもしれません。

見せ所は寧ろ車内でしょう。インテリアで魅せる作品です。


医療機器などの表現が細かいですね。
流石に緊急医療に対応した、鉄道版の高機能救急車としての性格が読み取れます。
(健康診断を行うための保健車という性格ではないですね。あちらはあちらでレントゲン機器が備わっていたりで大掛かりな設備が)


反対のサイドには窓がありません。この種の車両は窓無しも様になるものです。
さて、「赤十字」の表記があります。
状況によってはこの車は軍用車として、前線に赴くことも想定されているのでしょうか。
レゴ的には、ミリタリー作品とのコラボが似合いそうです。
軍用列車にさらっと連結されていても、白い姿は気高く目立つはずです。
国際法は、守りましょうね?
(余談ですが、欧州の病院客車では屋根に大きく赤十字描いたものさえありました。理由は言わずもがな……です)