さて。製造途中に見事なまでに「ロシア革命」が入っていますね。
帝政末期の機関車であり、そしてソビエト連邦の初期を走った機関車ということになります。

(wikipediaロシア語版より)
スタイルはロシアの機関車によくみられる、アメリカンスタイルとヨーロピアンスタイルの合いの子ですね。これって日本の国産初期の機関車にも通じる特徴でありますから、案外と身近な存在なのかもしれません。
よく見ると、日本人にも馴染みやすいスタイル? 8620形の時代に作られたプレーリー(1C1車軸配置)と思えなくもないのですよ? いや流石にずっと大きいですけど。
デビウ当時は本線用であったのでしょうが、お約束どおり支線に転じてゆき、1960年頃まで多くが現役であったようです。最後の廃車は1972年でした。S.68(С.68)……68号機が1960年からボイラー代用になっていたものが「発見」され、復元されたものと云われています。現在はサンクトペテルブルクの鉄道博物館に所蔵されています。
S形、引退が比較的早期だったため、製造両数の割に保存機が1両しか無いのは惜しまれますね。社会主義の国というのは機関車や鉄道車両はかなり大事に保存する傾向があるのですけども……。それでも1両しか残せなかった。いや1両が奇跡なのでしょう。

ねことり様としては初の蒸気機関車作品です。
何より、この題材選ばれるマニアックさが嬉しいですね。
作品は初回作と思えぬほど、この機関車の特徴的造形やディテールを抑えています。ペルペア火室であったり、缶胴裾のランボードとの間の埋め板部分、割愛されながらもロシア機らしいランボード手すりも印象的です。
鮮やかな緑色は、レゴの標準緑のラチチュードに委ねるのが正解でしょう。赤いエンドビームが映えますし。連環連結器のダミー表現も嬉しい。
動輪は公式大動輪です。
保存機では赤い動輪ですが、黒でも違和感は皆無ですね。
メインロッドサイドロッドは未だ慣れておられないのか簡易的表現ですが、
なお、先輪は固定のダミーですね。安定走行のための割切としてありだと思います。外見上は優れておりますし。
さて。幾つかご意見申しておきましょう。
缶胴とランボードは1プレート上げてしまった方がより速そう、力強そうに見えると思います。キャブの高さとのバランスも良くなりましょうし。動輪とランボードのクリアランスもあと1プレートあると軽快に見えそうです。
煙室扉はこのままでも良いのですが、実物は円錐形(そう、あのバイエルンのS3/6などのように!)ですから、Φ2やΦ3のレーダディッシュを重ねることで表現できそうです。
煙突は細めに。前照灯は大きめに。実物ですが、煙突は品良い細めのものですし、対して前照灯は大きめのが付いてますから。ここらはやはりアメリカの西部開拓の汽車に通じる部分なのでしょうね。ロシアでは西ではなく、東部が開拓の対象であったのですけども。

斜め上より。缶胴はやや古典的なスロープ表現ですがこれも気になりません。全体のバランスが秀逸であるからでしょうね。
炭水車の赤い縁取りがすごく素敵です。

サイドビュウ。美しく、力強い。
ロシアの汽車だからといって田舎臭くはないんですよ。
一方キャブはテンダに及ぶ密閉部があり、ここが如何にもな極寒の地の機関車という雰囲気です。ねことり様は巧く再現されています。
動力はテンダドライブ、PFのようですね。
トレインモータの前後にダミー車輪を設けてボギーのテンダーに見せる方法は正直「やられた!」と思わされるものでした。何らかの台車枠表現があるとなお良くなることでしょう。
ところでランボード、上下逆転の結構凝った組み方ですよね。

シリンダ部分アップ。
メインロッドのスライド動作は初めてだと難しいかもかもしれませんが、一度要領を覚えたら楽しく簡単ですので、いつか期待しております。

さて。付帯して給水塔です。
蒸気機関車には欠かさざるものであり、長大な路線の駅々には欠かさざるものでありました。今の時代も多く残されており、給水塔のウォッチングはシベリア横断の楽しみでもあります(多くはレンガ作りの古典的なものです。今は鉄道施設の給水塔に転じてるんでしょうね)。

古風な鋼製タンクと思しき……?
タイル張りが良い造形です。


内部はこうした構造体を3組合わせることで成立しています。
一体型部品じゃ出せない味なんですよね。強度は落ちるコストが掛かるデメリットを超えるものがありますよ。
そして、良いストラクチャは機関車も引き立てるのです。
はしらせてみた
— ねことり14式 (@keineko_next) May 1, 2020
トレインコントローラーじゃないからこんなもんです pic.twitter.com/6dOUlKBsu3
さて、S形の走行動画です。
ロシア(ソ連)の客車、1950年代以前のクラシックなのも味があるんですよ!https://t.co/GbJAu6a6Ow pic.twitter.com/7B3OJg9Izg
— 関山@浦賀/非干渉・非服従! (@houmeisya) April 18, 2020
あとは合わせる客車でしょうね。やはり古典的なタイプが似合いそうです。このクラスの機関車は貨車曳かせても似合います。
また、ミリタリの世界観に持ってゆき様になるのは言うまでもありません。ぎりぎり旧帝政時代でも、また戦間期からWWIIのソ連軍装備の「一部」として活躍してくれそうなのですよね。
末期設定なら、ディーゼル機関車や電気機関車の横に控えてる姿もありでしょう。活躍、期待されるところです。