
いよいよ2020年3月までの営業となってしまった、現「宝塚ホテル」。
この場所は幼い頃からの思い出の詰まった場所の一つ。
宝塚に祖父他の親族が居た関係で、しばしここのレストランなど「よそ行きのお出かけ」な場所になっていたのでした。宿泊の機会は皆無でしたが、今はなきプールとか、新館最上階のバンケットルームとかも記憶に残るのです。
製菓部のお菓子はよく祖母から頂きましたっけ……。
いろいろ。思い出。
そのころから、本館のクラシックな姿と、そのアプローチ部分の妙な「派手やかさ」は気になっておりました。
ベルサイユ的というか、ぶっちゃけヅカの舞台のような!
また、電鉄経営のホテルの老舗として、阪急電車のファンとして気になるようにも。
あるいは「阪神間モダニズム」の聖地としても。
ずっと時を隔てて。
作品として制作したのは2017年6月です。JBF合わせ。32x48のモジュールビルサイズに合うようにかなりアレンジ加えて再構成しています。
以後、手頃なサイズということもあり各地へ持ち歩きしています。
東京・名古屋・富山・横浜・伊豆高原・そして神戸へは毎年と。
今回(2019年12月)の尼崎に持ってきたのも、或る狙いがありました。

オフ会の翌日 12月16日 月曜日。今津乗り換え、茶色の電車乗って宝塚へ。

懐かしき、場所へ。
此処のアプローチも何度か改装が入ってしまい、昔よりも(此処で言う昔というのは今津線に920形とか居た頃の、昔)本館が目立たなく、遠くなってしまいましたが。
左手に、メインの入口があります。

しかし。幼時には壮麗豪華、に思えたロビー周りも、今見ると小さくそして古びて見えるのが切ない。
それだけ日本も豊かになってしまい、昔の豪華さが通じなくなってしまったということでもあるのでしょう。それは素直に喜ぶべきことであります。
今回の移転改築も、致し方無いと思わなくもありません。

有名な作品。砂糖菓子製の1形電車ですね。

もう一つ。砂糖菓子製の宝塚ホテル本館です。
この「模型」、拙作の製作にかなり役立てせた頂いたものです。なにせ図面的資料が皆無でしたから。無論、この模型にしてもかなりのアレンジが入っておりますが、しかし美化する方向ですから汲み取るべきでありましょう、と。
壁面の立体感の強調は、この模型を意識しています。

本館の入口部分。今はたんなる通路ですが。
内部は……まぁ、昔の日本旅館ですね。改築増築で迷路化していますよ。

階段を反対側から。古きシャトウ、というと大げさかしら。
なおこの階段があるゆえ、本館はバリアフリー化されていません。大荷物持って宿泊の方は要注意です。

如何にも、なベルサイユ趣味な廊下です。
何を大げさな、って感じではありますけど、でも当時の理想というか憧れが見えるのですよね。
それは1970年代までは魔法を保っておりましたよ!

中庭へ。特に施錠もなく。
でも入ってよいのか、一瞬ドキッとはします。後述ですが既に「客」ではあったので堂々としてりゃ良いんですけど。
また何らかの催しなども平日では無縁ですので、静謐な空間です。
「ここは、行ける!」
と判断しました。
そして。いよいよ!
例によって若干の破損あり、頑張って直します。5分ほどで直りましたが。

ついに、夢が叶いました。実物との合わせ撮影です。

建物の向きは実物と合わせております。
ちょうど都合よくガーデンテーブルがあり、そこの上での撮影です。

向きを90度違えて。より、ドラマチックに。

中庭のムード。
左側のアーチは増築部ですね。原型なのは右手の方です。

どこで撮ろうか。凄く迷ったのですが。
この中庭と、そこがほぼ無人であったことには助けられました。
あと、今思えばホテルの方には気がつかれてたと思うのですが、黙認してくださったことにも感謝します。

奥の庇は建築当時の原型のようですね。拙作では省略しちゃってますが。

さて。
時間は前後します。以上館内写真の撮影前ですが一応食事を。ランチビュフェやってましたので(残念ながら新館の方ですが)頂いてきました。
まぁ、あれほどの撮影させてもらっての撮影料としては申し訳無い感じですが。元来なら宿泊すべきであったのでしょうが。
ここでたっぷりお昼食べてから、横須賀に帰投です。

さようなら。

こちらの新館側も、惜しまれずにひっそりと消えてゆきます。
昭和30年代的なモダニズム、残る場所でありましたよ。