
三軸貨車。
貨車研究の大御所にして、その全容を記した著書で「異形の魔物を召喚し終わった」などと書かれるような代物。
ゲテモノにして、なかなか魅力的です。
極初期のタンク車。
昭和初期から戦時中の、輸送力を確保するための無蓋車(石炭搭載用)。
蒸機テンダを再利用した水運車。
あとは試験車や試作車の類。こんなところでしょう。
明治の末に登場。戦時中から戦後すぐがピーク。そして走行性能に劣ることが理由で1968年の10月。いわゆるヨン・サン・トウで大量に除籍。残った車も1974年ころまでに退役しています。
それでも、いやそれ故に魅力的題材!

ア1530形2代。
こちらに福田孝行氏による詳しい解説があります。
http://t-fukuda.xsrv.jp/M44tanker/a1530-2.htm
1908年製造のア1530形二軸タンク車を、1925年に「3両をバラして、その資材で2両分にする」という奇策で三軸タンク車に改造したというもの。1928年の形式称号改正でタ500形に改称。1961年迄に全車廃車。積荷は石油類(除揮発油)。
観てのとおり極めて原初的な形状のタンク車です。タンク体の固定が横木方式。妻面の柱と横木、そして斜めのバーで固定するというもの。この手の古典タンク車は概ね戦前で廃車になってるはずですが、極稀に1960年代まで生き延びたものもあったのです。

さくりん様のモデル。よくぞこんなマニアックな題材を! といったところで。三軸のタンク車でももっと現代的なものもありますからね(笑)。でも、古典貨車のカッコよさは十分に表現できてるんじゃないでしょうか。横木や固定バー! リベット打ちっぽい雰囲気のタンク体。象徴的とも言えるドームにハンドル。ハシゴも精細感。

きになる三軸の足回りは中間軸のスライド式です。1x4の溝ありブロック(#2653)を使いこなしています。

こんな感じに嵌ってます。
これでカーブも滑らかに通過できるはず。
(ただ、余計なこと申せば固定軸距はもう1ポッチづつ詰められたほうがベターには思いますが)

製作中バージョン。中間軸スライドを軸穴車輪で行おうとしていたものです。この手も有りなんですよね。
この貨車、古典蒸機の現役時代に合わせたくなるのは言うまでもありません。
しかし1961年廃車ってことは、タ500形としての末期だとEF15やED60辺りに牽かれててもおかしくない。組み合わせの可能性高いですね。
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もうひとつ、ワサ1形。(事実上)最後の三軸貨車となったもの。
ワム80000形式の三軸版。積載効率の最適化を図ったらこの形になったとか言われますが2両の試作のみ。
1970年代には身延線で運用されてたとか言います。1986年廃車ですが、沼津に置かれていたため人目にはつく存在でした。

さくりん様の作品は、先のワム80000を改造されたものです。
3x4のコンテナ積んだ妻面表現や、丸太ブロック使った車体。ドア部分はタイル凹凸でワム80000らしく。屋根はリブ省略になりましたが、これくらいあっさりさせてもよいのかもしれません。車体がリブだらけですからね既に。
ただ、ワサ1なら車体は2ポッチほど延長されたほうが良いかもしれません。

気になる裏側。車輪スライドの様子です。
また、フットブレーキなどの表現が印象的です。
繰り返しますが前後の固定ホイールベースは1ポッチづつ縮小できますかも。これでカーブの走行抵抗減らせるはずです。オーバーハングが伸びてしまいますが、二軸貨車、実物も意外とオーバーハングは長めですし。
件の「異形の魔物」とか、あとがきにある本ですよ。
なんと、まだ新刊買えます! 濃ゆくてお薦め。下巻の表紙が件のワサ1形ですね。
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おまけで恐縮ですが、欧州系の二軸ホッパ車です。
日本だと殆ど存在しなかった近代的な二軸ホッパ車はエキゾチックな魅力あります。尤も「石炭車」という二軸ホッパ車は日本でも多々居り、石炭以外の鉱石など他用途にも使われておりましたが。



製品ベースのアレンジだそうですが、積み下ろしで遊べるのは面白いですね。
貨車には日本では白は使わない(すぐに汚れるため……)のですが、石灰石という逆に貨車を白く汚してしまう積荷がありまして……(笑)、石灰石用の私有または私鉄のホッパ車として有りかな? とか思うスタイルです。
あと、アレンジなら黒に黄色帯とかも良いかもしれませんね。ガチリアル系?