
欧州各国も電化時代の1965年に導入されたフランス国鉄のTEEは、それまでのディーゼル列車に変わる4電源式の電気機関車牽引。
パリ〜ブリュッセル〜アムステルダムの路線ですが、ここは需要が大きくTEE街道の一つでもありました。特定の列車名(エトワール・デュ・ノール/ブラバン/イル・ド・フランス等)で語られないのは寧ろ頻発路線の誇りでもあったのでしょう。ここはTEEが1日1本の田舎道じゃないぞ、と。
ステンレス外装が華やかなCC40100形は初めてフランス固有の伯`前面(所謂ゲンコツ顔)を採用した形式でもあります。とはいえ後の量産形式とは形状がことなり、創始者ならではのプライド感じさせるのです。同型機がベルギー国鉄にも居り、色違いで相互に使われてた由。
客車はステンレス製の所謂TEE-INOXが合わせて導入されました。
ステンレス客車そのものはフランス国鉄ではスタンダードでしたが、TEE用は他国……具体的には西ドイツのTEE用気動車や客車に負けない豪華さであったのです。同じTEEでも気動車時代はフランス車は一段見劣りするものであったのでその挽回。コンパートメントと一般座席の混成でした。食堂車は設けず、ケータリングでの対応だったようです。
1970-80年代を駆け抜けたCC40100とTEE-INOXですが、1995年のTGV開業で引退しました。
(また、欧州全域でみても最後のTEEでもありました)
この間ですが、1980年代に半数以上の1等車が2等車に格下げされています。列車番号はTEEのままでありましたが。
銀色の車体に赤のラインは、今のTHALYSに引き継がれています……。
それにしても。
今の(というかTGV以降の)SNCFが詰め込みエコノミーな方向に退化してしまってるのが極めて残念です。1等でももはや豪華なものでは無くなってしまってますから。


K.martworks様のCC40100は2度目のチャレンジだそうです。最初が2015年でしたね。
今回は足回りを強化して、ディテールも大幅に強化です。
あらゆる省略と妥協を排除したモデリングはため息の漏れるもの。
1番ゲージの鉄道模型であり、またミュージアムモデルの域でもあります。
電気機関車故にパーツや構造上の制約も受けず、プロポーションも完璧です。台車が小さく車体裾が下がった姿はロングスカートにピンヒール。エレガント! 台車のディテールも注目です。8幅大型モデルと申しますが、8幅に収まっているのが寧ろ信じ難いですね。
(とはいえ、関山の個人的な立場としては。
自分も8幅に転向……ではなくて、6幅に何処までこのテイスト移入できるかと考えてしまうのですよ! 素直じゃないですから私は)

前頭部より。
複雑な立体構造。直線と曲線の交錯する造形。
ダミーの連環連結器廻りにはジャンパ栓も。
細密であるばかりではなく、レゴらしさ……が残っているバランス感覚。

4電源機(交直両用機)ならではのパンタグラフ、屋根上も見逃せません。前面もそうですが、ディテールはややオーバースケール気味なのが還って細密感に繋がっています。このモデルが、冷たいスケールモデルではなく、レゴ的なディフォルメモデルの文脈も保っていることがわかるのですね。


客車は4両制作されたようです。
構体が同じの1等客車4両と、右下に見える電源荷物車。
側窓は4x5の建築用を横に使う大胆さ。このスケールならではです。窓枠の質感が出るので羨望ですね。
屋根のカーブ美しく。グリル部分も省略なし。
床下に繋がるステンレス部分。ロングスカートのエレガントは機関車と共通します。
自作シールでのレタリングは品よく最低限ですね。
製品にありえる範囲の自作シール、正しい方向でありましょう。

客車は車端部の処理が美しい。
欧州の客車は車端部に補強などで割と複雑な形状しているのですが。それを省略なし。屋根肩部分の扇形タイルにはくらくらさせられます。
ゴムホロ処理も理想的なもの。

こちらは製作者撮影の画像より。連結部と客扉と方向幕廻りです。

同じく。CC40100の前頭。
細かい色差しが効いているのが分かります。

同じく。台車。台車枠の精細さと、XLモータ取り付けのパワー感。
実物も台車上に大きなモータを1基据え付けた2モータ機でありますよね。
TEE エトワール・デュ・ノール、橋を渡る。 pic.twitter.com/tlDpBSD1SI
— KMartworks (@KMartworks) 2019年6月8日
JBFでの、走行の模様です。
自作動力はxlモータ2個。重厚に、しずしずと走ります。模型的にはこれで正解でありましょう。
欧州系の機関車は汎用に使われるもので、CC40100も例外ではありませんでした。
また、TEE-INOX客車は「ミストラル」にそのまま見立てることも出来ます。他の機関車に牽かせる楽しみも。
今後がさらに楽しみなモデルなのです!
<追記:ご反応、及び関連ツイートです>
実のところ、これ、挑戦は三度目。
— KMartworks (@KMartworks) 2019年6月24日
初出は2010年。
当時は「よく出来た!」と思っていたけど、今見るとレベルが低い。もっとも当時のパーツは、現在に比べ細かい要求に答えられるパーツが少なかったため、やれることが限られていたのは事実。とはいえ、それを勘案してもまあ志の低い仕事で恥ずかしい。 pic.twitter.com/Xp8PKSWvdy
二度目、2015年JBF。
— KMartworks (@KMartworks) 2019年6月24日
2010年版を大改造して再登場。
2019年版の原型になった。
トレインモーター2基搭載。ダミーの車輪を用い、3軸にしているが、軸間が狭いため足まわりが窮屈な印象を受ける。今見ると床下機器の出来がよくない。 pic.twitter.com/ALGIckMXH0
ちなみに2015年版は、単機だとよく走るが連結するとダメだった。原因は、Technicの大型バッテリーボックスを車体中央に置いたため。台車にきちんと重さが載っていなかったため、車輪の空転が起きていた。ある程度の死重は必要と学んだ。
— KMartworks (@KMartworks) 2019年6月24日
三度目、2019年版。
— KMartworks (@KMartworks) 2019年6月24日
2015年版に比べ、全長を4ポッチほど長くして、ようやくバランスが整った。観察が足りていなかったなと思う。
トレインモーターからXLモーターの自作動力に換装。台車、床下機器、全てやり直して、ようやくリアルな姿になった。ここまで来るのに9年もかかってしまった。 pic.twitter.com/DgWZYc0ywL