最高速度記録は「マラード」の203km/h。1938年の記録ですが、この時代は既に電気車や内燃車の時代に入りかけておりました。
故に、その後の蒸気機関車の最高速度記録更新はなく永遠の記録です。
A4は速度記録で華を残し、そして戦線戦後にかけてLNER→BRの急客機として活躍続けます。1966年にあのクラス55 デルティックに置換えられて引退しました。
特記すべきはこの種の流線型機関車としては珍しく、全機が流線型ケージングを纏ったままの引退であったこと。ライバルLMSのコロネーションは流線型と標準型が並行して製造され、また流線型から標準型への改造も少なくなかったですから。
英国の素晴らしさ、動態保存機は6両に及びます。
さて。
世界一有名な機関車ともなれば、国内外のレゴ作品には恵まれています。
然し、そこに2018年の最新解釈でのニューモデルが競作されたのでした。流線型は決して難度の低い形状ではないのですが……。近年のレゴトレイン界隈の英国型ブームも後押しですね?

先ずは鱒寿司様の作品です。JAMでの活躍シーンから参りましょう。

観ての通り、一番ノーマルなブリティッシュグリーンの姿です。
動輪回りの覆いはありませんが、これがない姿も力強くて良いものですね。

腕木信号。妙に似合います。

プルマン急行を曳いて。
はるか向こうにはドーバーの連絡船か?
(そこはSRのカマの仕事だろとか突っ込んじゃいけません)

高速運転・高速回転が似合うます。
動力系はテンダドライブで安定したものでした。

SRの「マーチャントネイビー」との並走です。どちらもプルマン編成。
1960年代まではロンドン近郊で、こんな姿が観られたのでありましょう。

並走。
マーチャントネイビーは関山作。動輪がBBB-XLで、テンダドライブなのが共通します。ただ、関山はBBB-XLはフランジレス-フランジ-フランジレスの変速配置ですが。

もちろん、重連も。

実物はほぼ同じ大きさなのですが、
然し、炭水車のサイズ解釈は好みが割れますね。
もし自分がA4作るならやはり3軸で短めにして、客車とのバランス取り考えてしまいますから。この辺は良し悪しではなくて純粋に好みやスケール解釈の差異です。
背後のDBの電車であったり、「シルバージュビリー」であったり。
やはり気持ち良い、欧州型の世界なのでありました。
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形式写真的な撮影です。
これは9月に、JAM打ち上げの二次会で撮影です。イングリッシュなパブでギネスと紅茶なら良いのですが、イタリアンなカフェでワインとエスプレッソ頂きながらの撮影でした(笑)。
冗談は兎も角、美しい。そして力強い。
サイズの肥大化もありません。BBB-XLの許容するミニマムな全長でもありましょう。英国機は大陸機と違って「大きくない!」のですよ。全体は6幅で、キャブが7幅です。
ロッドはこだわりの灰色。コストは黒よりも高いのですが効果は大きいですよね。
メインロッドのスライドとシリンダ、そして先輪のバランスは上手く纏めておりましょう。ここはレゴでの蒸機ではいつもスペースの取り合いですから。

斜め上より。
煙突回り、鮮烈ですね。流線型の作り方は三角形を上手く絞り、曲面同士の間を埋めています。複雑に見えるA4の形状を、上手く単純化しております。
そして、前照灯組み込み。よくランボード上に仕込んだものです。それも純正品を。

サイドビュウ。炭水車から伸びるケーブルは前照灯用です。

バックビュウ。7幅のキャブに対してテンダは6幅ですが、違和感なく収まっています。テンダのマーキングも嬉しいですね。英国国鉄時代風か?

さて、初見で「?」だったランボードの曲線の作り方。
なんと1x2のポチスロとプレートを弾性曲げしているのみ。A4を難しくしている部分は想像以上のシンプルさだったのでした。でも大正解です。

蛇足かもしれませんが、公開されてたCAD。
完成版との違いもわかりましょう。ランボードの躍動感は完成版の方がはるかに上ですね! ただ、バッファはこちらの大きめ仕様の方が良かった気がします。

キャブインテリアもあります。バルブやメータが如何にもな蒸機らしさ。

ボイラ内部。


機関車はこの角度が一番美しい。
6-7幅に抑え込んでるぎりぎりのサイズ感が、やはり英国機の密度感なのです。
<続>