二面性を持った作品であるからです。
無論、どちらもプラス方向に飛び抜けちゃった方の2面性なのですよ。
でもまず、戦時型電機のモデリングとして話に入りましょう。
国鉄EF13形は戦時中の1944年から戦後1946年ころに製造された貨物用電気機関車。戦時設計ゆえの無駄を省くための凸型でしたが、これはファン的には大変魅力的なものに見えたものです。
鉄道図鑑などで「資材節約のためにこんな形になってしまった……」云々の記述に違和感を覚えたのは私だけではありますまい。ベタな言い方ですが、和製クロコダイルとしての魅力があったのですよ。いや素直にカッコいいぞ!
(……戦時型運用させられた当事者の労苦はさておき)
特に、上越線に投入され国境越えする姿はさぞかし様になってたと思うのです(一度だけ写真見たことありますが、カッコいいんだこれが)。
あぁ西のBe6/8、東のEF13と言わんばかりに! いやアメリカのバイポーラも見逃せませんけども。
まぁ、1950年代なかば、EF58の車体を更新した際に余る旧車体を使ってEF13も無事?箱型ボディに換装されてしまった由です。残念ながら、和製クロコダイルの活躍は戦後の混乱期のみに終わってしまったのでした。
完璧に余談ですが、凸型の合理性はディーゼル機関車に引き継がれ、DD51辺り、実のところEF13の遺伝子は何処かで貰っちゃったのかもしれないですよね。あと、1950年代のフランスの交流電機でも凸型のものがやたら多用されておりました。
凸は、カッコいいのですよ?


プロトタイプは製造当時のようですね。
前デッキ周りがミニマムな装備だった時代です。それゆえにプリミティブな魅力が。
ボンネット形状、微妙に前傾して絞り込まれた形状なのが嬉しいです。EF13をレゴで作る際は此処が難しいのです。
色は黒へのアレンジですが、デビウ当時の印象的には、限りなく黒に近い茶色であったことでしょうからこの解釈は正解に思えます。茶色で作ると凸型末期(1950年代なかば)の感じでありましょうね。
ダークブラウンで作ることは今のとこ、考えたくないですよね(笑)。

ミニマムな装備が却って清々しい。
板張りで手すりもなく、手ブレーキハンドルのみだった前デッキ。
一つだけの標識灯。
前面窓は横組で4枚窓。

サイドビュウ。足回りは「1C+C1」を「1BA AB1」にアレンジですが、此処は巧いと思います。
車体とボンネットの寸法バランスも絶妙でありましょう。
ボンネットは長すぎでも短すぎでもEF13らしさは無いですからね。
側面はタイル横張りという特異な表現ですが、これは理由あってのこと。然し、ディテ-ル表現としてプラスにもなってるのですね。戦時型らしい粗さを感じさせてくれますから。

ジョージレモン様の過去作とも、当然世界観合致するのです。
米国系のテンホイラーと。本線貨物のEF13と、入換で支援する古典機という趣ですね。

旧型気動車。キハ42000と。
戦後の気動車の復活は意外と早かったのですね。酷い石炭不足に対して、ヤミの石油は入手することができ、高いヤミ価格も気動車元来の経済性でペイできたらしい……のです。合わせて、電化も石炭不足から寧ろ推進されたのでした。
つまり、凸型EF13と世界観合うんですよ。

モハ42と並び。流石に警戒色入ってローカル線落ちした旧型国電とEF13凸の時代は離れますが。而して違和感皆無です。
EF13。1-2両くらいは交換用のEF58旧車体が足りなくなって(笑)、凸型のママ残ったって設定あっても楽しそうではありますね。
さぞかし人気ものになったことでしょう(尤も乗務員からは嫌われそうですが)。

実に、素敵なコレクションです。
さて、このEF13の秘密については後編へ。