http://www.brickshelf.com/cgi-bin/gallery.cgi?f=574346
ユナイテッド・エアクラフト・ターボトレインは、文字通り航空機メーカーの造った電気式ガスタービン列車です。

航空機メーカーの造った鉄道車両はあらゆる部分が大胆で斬新なもの。十八番なモノコック・軽量構造・エアロダイナミクス・そしてガスタービン!
それに1軸連接と車体傾斜という最新技術盛り込み、アメリカやカナダの鉄道事業者に売り込みをかけたのでした。
日本でも特許申請を行ってたという話があり……。ひょっとして日本もマーケットになっていたのでしょうか?(国私鉄とも外来技術を避ける傾向にあったので、売り込んだところで無理だったとは思いますが。尤もキハ391との類似性は気になりますけども)
1968年より、アメリカはニューヘブン鉄道のボストン〜ニューヨーク。カナダはカナダ国鉄のモントリオール〜トロントで運用を開始します。
ただし……
アメリカではニューヘブン鉄道の破綻からペン・セントラル更にはアムトラックに運行は引き継がれたものの、1976年には引退。実働僅か8年。
アムトラックではガスタービン列車そのものは運行継続したものの、より平凡なフランス製のものになってしまいました。
カナダでは様々なトラブルで1973年まで営業運転開始がずれ込み。
ただし、その後も頑張って?運行を続けて引退は1982年です。実働のべ10年?
そんなわけで、ターボトレイン。お世辞にも成功作ではありません。
(ただし、Train-Xやエアロトレインよりは営業運転された期間は長いのですけども)
残念ながら、保存車両もないようです。
アメリカ・カナダ共に黒歴史なのでしょうか。

さて。
enquete-art様はこれまでに、アメリカのストリームライナーを手がけてこられました。この流れで、この題材が来るのは当然と言えましょう!
題材はカナダ仕様で、運行がカナダ国鉄からVIA(カナダの鉄道旅客部門)に移行した1976年-1982年の姿です。黄色が大胆なカラースキーム。
実物は3-9両程度の編成を組んでいましたから3連で適度な感じですね。なお、エンジンは編成によって構成を変えることが出来たそうです。

先頭車。思いっきり低重心を実現しています。
「VIA」のロゴが凄い。タイルを傾けはめ込んで表現しています。
運転台の後部は前面展望も楽しめるハイデッキの客室。
その真下は機関室だったそうです。眺望と騒音はバーターだったのでしょうね。
(今の目で見ると、展望楽しめてジェットの爆音を楽しめるなんて夢のようですが……)
この作品では車体裾の丸みが印象的ですね。丸みが生きる題材です。
台車は動力仕込むとホイルベースが長くなってしまうのはやや残念ですが、この題材では他に動力台車の入れるところがありませんよね。車輪が露出した形状は実物どおりです。

前頭の鮮烈な印象。航空機というよりは寧ろ潜水艦的な?
黄色なのでYellow Submarine???
実物の前頭部は真ん中で割れる貫通路です。583系よりもアイディアとしては早かったもの。なお、殆ど営業では使われなかったのも583系に共通します。

1軸の連接部です。
タルゴを模倣した1軸連接車は成功例はとても少ないですが、8-10年も現役に耐えたターボトレインは寧ろ頑張った部類でしょうか?


カーブ通過。連接部にホロ設けつつ、きちっと曲がります。

先に黒歴史? とか記しました。それでも、自分が子供の頃の世界の特急列車……的な絵本や図鑑項目では、カナダの代表はターボトレインだったのです。
子供心には格好良いとは思いませんでしたが(寧ろ不気味)、然し今になってみると大胆なフォルムは憧れ掻き立てます。また、エンジン上の展望客室や貫通型など、デザイン自体のスジは悪くないと……。
実物はうまく行かなかったこの列車ですけども、enquete-art様の作品の活躍はこれからですね。また、日本のレゴトレイン界隈全体の流れとして、アメリカ形の旅客列車、増えてほしいものです。