
京王電鉄の事業用車はすべて2007年以降の新造車両です。
私鉄のこの種の事業用車は、以前は老朽車の改造で賄うのがセオリーでしたけど、近年は試験車など中心に新造も少なくないですね。
尤も、保線用機材は大手私鉄やJR各社は新車購入が普通ですから、その流れを受けているのかもしれません。新車ならメンテも平易でしょうし。

デヤ900形。デヤ901及びデヤ902号は2015年製造の電動貨車(牽引車)。
言うまでもなく9000系の同型車。前面は真っ黄色で、如何にも事業用車という感じがしますよね。なお、9000系の2連口はないので、その意味でも独自性はあります。
作品は4ドアを3ドアにアレンジで再現です。
ドアの凹みの表現が嬉しい。平板な印象を防ぐためか、側窓上には影表現があります。
前面は四角い部品だけで、微妙な丸みが再現できておりましょう。
貫通扉まわりは横組と順組が混じった複雑な組み方です。
スカート部は5幅で、なかなか締まった印象になっています。電車の前面スカートは多くの場合は車体よりも引き込んだところにありますよね?
アンテナは埋込み式。ルックス良いですよね。
屋根もツルツルで、今どきの電車らしい印象です。

側面より。全長は36ポッチです。電車が長く見える寸法です。
注目したいのは車両端の帯表現。実車のグラデが美しく、モザイクとして表現されています。ここは作品の見せ所でありましょう!

おまけ。制作初期の姿です。今の京王電車の帯の色、ブライトピンクでは違和感あると組なおしされたとか。赤のほうが、絶対に良いです。

サヤ900形。サヤ912号。
これも2015年に新造されたものです。先代のチキ290形も1985年の新造車でしたがその置き換えです。
完全なフラットカー。私鉄貨車の新造が2015年というのはやはり驚かされます。
柵の内側は資材輸送に使われるようです。但しチキ290形にあったクレーンなどの備え付けは(今のところ)ありません。その意味で、ちょっと用途にミステリアスな感はありますね。

灰色の車体に黄色の柵が良いアクセントです。
柵しかない車体ですが、車端部の処理が凝ってます。
余談ですが、サヤ(付随事業用車)という車種は国私鉄ともにクセモノが多く、どれをとっても趣味的に興味深い存在ですね。

クヤ900形。911号。2007年製造の総合高速検測車。
架線・電気と軌道の両方の検測を営業電車の速度で行うことが出来ます。国鉄でいうところの「架線試験車(クモヤ193など)」と「軌道試験車(マヤ34等)」の2in1ですね。検測機器の小型化の恩恵を受けておりましょう。
なお「Dynamic Analytical eXpress」の愛称と表記がされていて、安全運行のアピールを行ってる?由。
床は剛性維持のため二重床。そのため窓や扉の位置が高いです。両運転台の制御車ですが、運転台は飽く迄構内用であり残念ながら先頭に出ることはありません。両側とも「片目」の素敵な顔なのですが……。
台車は軌道検測用の機器を備えた、ちょっと特異なものです。
5udon様の作品は特異な姿を再現しきっています。ため息漏れそう。

前面(妻面)は横組みですが、帯表現もあるのでえらく精密感が。片目の顔も嬉しい。

圧巻といえるのは「DAX」ロゴの表現です。ステッカーで良いという見識こそありましょうが、やはりモザイク表現のパワーは魅力です。そして、美しい。地色に斜めも入ったやや面倒くさいものでありますけど、無理のない表現です。
グラデは赤と青、それぞれ薄い色を組み合わせの表現。これは広範に使える技法でありましょう。
なお、軌道検測用の枠の付いた台車も再現されています。灰色の枠が良い感じで目立ちますよね。
検測用のパンタは折りたたまれた状態での再現です。

4両編成。検測時は必ずこの4連を組むそうです。ラインのグラデが魅力的です。

デヤ-クヤ-サヤ……。今日も安全を守って!
この作品は2月3日より公開の「ボクらのブリック」にて展示されます。沿線の調布ですから、人気者になってくれること願っております。
(2月17-18/3月10-11日の運転会でも、優先的に運行予定です!)
【おまけ】
銀座線、小改修されています。
オーバーハング詰めて、車体全長を修正。
前面には連結器やジャンパ栓。完璧といえる姿に。こちらも調布にやってきます♪

手前が改修後。奥が改修前となります。オーバーハングで1ポッチ全長弄るだけで大きく印象は変わるものですね。

浅草駅にて。あの1x1四角錐は連結器にぴったり!
900形は調布のイベントに向けて作成しました。
地元の京王電鉄ではありますが、事業車なので、見にくる人々にどれだけアピールできるか未知数ですね...
銀座線もイベント向けに少しだけ手を入れました。
1ヶ月半の長い期間の展示ですが、よろしくお願いいたします。
意外と事業用車は人気者ですから。ドクターイエローのごとく……?
好評であること願っています。あとルビー氏のデワ600も途中参加の話を聞いてるので楽しみですね。