※:例えば函館のハイカラ號は復元車体ではありますけども、冬以外は定期運用に入っています(運賃も他の電車と同じ)。一方で阪堺の161形は夏季は運用から外れます(冷房無いので)。この他にも例外は有り得そうですが……。
その中の166号車が、映画「オリエント急行殺人事件」の広告電車となり、見事にワゴンリも思わせる装いになったのでした。

https://response.jp/article/2017/11/09/302298.html
[上記画像は、レスポンス様の記事より]
一般にイメージされるところの鋼製ワゴンリ客車は1920-30年代の製造ですので、同じ時代に産まれた路面電車に「コスプレ」させても似合ないわけがありません。
しかし。
古くからの阪堺電車のファンであれば、オリエント急行塗色を別の意味で「懐かしい!」とも思われることでしょう。
阪堺の広告電車は立石電機の雲電車が有名でしたが、1980年代後半−90年ころにはタマノイ酢のオリエント急行を模した塗装の広告電車がそれなりの両数・期間で存在してたそうなのです。
http://caw99100.exblog.jp/21875663/
こちらに詳しく、良い写真があります。
時期や車両によって、幾つかのパターンも在ったそうで。何れも旧型車両に似合う、上品なものでありました。
つまり、この企画広告を考えた方というのは相当な電車マニアさんですね! 嘗てのタマノイ酢の広告電車の「復刻版」でもあるのですから。現役でクラシックな車両を求めたらたまたま阪堺の161形があった……ってことじゃないような気がします。
そうした背景を想像していると、制作欲が湧き上がってきたのでした。
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阪堺の161形電車そのものは魅力的なヘリテージトラムです。つまり、通常の緑色(濃緑に木部茶色)での制作とか考えてはおりました。
(個人的にはモ101形というもっと好きな電車も居たんですが、それはもう余談ですから)
ただ、ワゴンリ寝台車も10年以上前にレゴで作ってしまったほどに好きな車ですので、それが合わさらないわけがない!
幸いにも濃青はストックしてる色なので(笑)、思い切って制作してみた由。
また路面電車の制作基本は先の札幌市電の、特にA850形でいろいろ定番化しておりましたので、その文脈で行ける! とも。
(二軸アレンジとダミー台車枠での車高抑制。車両下半分を上下逆に組むことなど)


全長22ポッチ。製作時間は概ね5時間ほど……。
実は製作中に「阪堺というよりは大連市電1系統だよコレ(好きな電車ではありますけどなんか違う!)」とか雑念も入ったりしましたが、前面のバンパー部分や灯火類(全て窓上の前照灯に尾灯)を備えて、なんとか阪堺らしく見せています。あと阪堺らしいポイントは鉄道線電車同様の屋根上ディテールですね。ベンチレータに歩み板。

真正面より。
バンパーは最初は別表現で作りましたが、6幅分よりは4幅分に抑えることで車体の幅狭間を演出です。同じ意味で燈火類も内側に寄せ。
尾灯の取り付け方法は最初思いつきませんでしたけど、素直にブラケット使って、その真中に方向幕付けたら巧く収まりました。
前面中央で雨樋上がってる感じも含めての再現なのです。
前面そのものは無理せず3面折妻構成です。ただ、濃青のヒンジプレートが得られたことで随分構成は簡略化されています。

側面はすんなり行くように見えて実は車体裾の黄色ラインが難しい。パネルかポチスロで車輪を避けないといけませんから。
しかし、ブラケットにグリルタイル貼ったら意外と違和感なく処理できてしまいました。

さて。
本物のワゴンリとの並びです(笑)。

車高の低さなどで十分に路面電車らしさを表現できました。変な喩えではありますけど。
タイニーでキッチュ? でもその雰囲気も含めての魅力でありましょうよ!
(そう言えば、1980年代に中央観光バス[大阪]もオリエント急行調の内外装の観光バスを多々投入しておりましたね……。作るかw)

さて。内部構造です。
車体はトレインモータ、腰部+前面、窓部、窓上+屋根と分割します。
腰部+前面は上下が逆組です。
貴重品の(笑)、9Vモータは簡単に脱着できるようにして幅広い使い回しに対応しているのは言うまでもありません。
最後に、反省点。
全長22ポッチは短すぎたかも。阪堺の電車は路面電車にしては大きめで全長14mもあるんですが、これを通常の電車(32ポッチ=20M)のスケールに嵌めると24ポッチになってしまうのですね。ちょっとアンダースケール。
さて、あと2ポッチの全長延長。どうしたものやら(笑)。