【実物鉄道】札幌市交通資料館を観る(その1)バスと地下鉄関連
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【実物鉄道】札幌市交通資料館を観る(その1番外)札幌市交の、幻の寝台バスのこと。
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先にも記しましたが、札幌市交通資料館は現在、約2年の休館に入ってしまっています。流石に実物の展示車両に変動はないと信じたいものです。現状で特に状態の悪いものはなく、その意味では大丈夫だと思うのですが。
然し、館内の展示物。模型やパネル類はどうなるか分かりません。
交通系に限らず、博物館界隈にある問題でありますが、どんなに適切に管理されていたとしても展示物は時代に応じて、変更されてしまいます。
2017年9月の訪問の記録として、撮影・複写したものを掲載させていただくことご容赦くださいませ。
無論、全てではなく、気になったものに限っています。

まず、市電の路線図。ありがたいことに1960年……昭和35年6月1日と日付があります。
まだ全線の開業前です。新琴似への路線がまだ未開通。

その次の次代のもの。最盛期。新琴似への路線が開業後です。1963-68年ころか?

1968年以降。というのは市電の廃止は未だ無いものの、豊平で接続している定山渓鉄道が廃止になっています。
札幌の都市圏が今よりも小さく、北海道の人口も札幌に集中する前の時代。
市内交通は市電とバスだけの時代でした。
(国鉄は市内交通に使い得ないものでした。1968年で電化はされていますけども)

地下鉄開通前ですが、豊平方面と苗穂駅方面が廃止されています。
1969-73年の間でしょうね。
かろうじて三越前のクロッシングは維持されています。1973年に撤去。

1972年以降1976年ころまで。地下鉄南北線開業後の路線図。
この地点でも、市電は3系統存在しています。
新琴似と北24条を結ぶ3系統は孤立路線で、地下鉄に接続するもの
札幌横切る1系統も残ってる。
そして、今も残る「循環線」。
その後、「循環線」を残して廃止されてしまいました。循環線も1976年には西四丁目〜すすきの間の分断が行われてU字形路線になってしまいました。
今思うと、あの分断はなぜ行われなければならなかったのでしょうか?
幸いにも、分断区間は復活し、市電全体の利用者増に繋がってるわけですけども。


三越前(南1条十字街)に1973年まであったと言われるクロッシング。
幸いにも、4基あったうちの2基が保存されていました。
日本の路面電車では平面交差は意外と少なく、現在だと伊予鉄道(鉄道線とのクロス)2箇所に、土佐電鉄にあるだけです。一方で路面電車都市と言われる広島・長崎には街の構造上平面交差は過去にも無かったようです。
過去だと、都電や大阪市電、京都市電にクロッシングは沢山、当たり前のようにありました。

部品などの展示品。
A870形は活躍期間の極めて短かった連結車(連接車に非ず)。
A830形は、あの美しかった名車。D10?0形は気動車です。
系統板や、「連結車」表示も。赤い系統板は模型など造るとき、インパクトとしてありかもしれません。

さて、館内の意外な見どころは、市電の模型群です。
よくぞ此処まで特殊なものも!と制作・展示されています。
札幌市電の過去に関しては資料が手許にない。そのために、こんな車もあったの! と驚かされるばかりでした。
雪対策の事業用車、種類も多いのですよ。



ロータリースノウスイーパー。雪4号。
極初期に、ロータリー式も試行されました。
模型では、両頭式のロータリー車であることが分かります。



散水車。水1-4号。舗装の進む前は多くの街で見られた車種だったそうです。
札幌は1966年まで維持したので、長く使ったほうなのでしょうか。
分かりやすい丸タンク。青と白の爽やかな塗装。素敵な車両です。


電動貨車。2-6号。
半無蓋の電動貨車は事業用車の定番ですね。ときには花電車の台車にもなったりします。模型では黒塗りですが、後に他の排雪車同様の臙脂と黄色のツートンになった模様。

花電車。。恐らく上記の電動貨車と同じ車を飾ったものでしょう。
よく見ると元来の運転台部分が見えます。

ディーゼル・ブルーム車。こちらは野外に実物が保存されています


アイスカッター式除雪車。雪13号
札幌の排雪車はブルーム式のササラ電車だけに非ず!
この車もまた、回転式の可動部分を持っていたのです。こんな車も1971年まで在籍していた由。


プラオ式除雪車。雪11号
一般的なラッセル車に当たります。1974年まで在籍。
野外に保存されているブルーム式の車(雪8等)も合わせて、こんな可愛い事業用車がごろごろ居た昔の札幌に惹かれてしまいますね。
想像以上の魔境であったのでした。

営業用車の模型も。一番新しい形で320形です。
これ以降 札幌市電のボギー車はほぼ同型になり目立った個性がなくなります。無論「連結車(連接車)」に「路面ディーゼルカー」に「親子電車」という例外が居りましたけど。ただ、それらは現物が保存されているという理由で模型化されなかったのでしょう。
320形は札幌市電スタイルが完成する前のもので、極度な丸みのない、でもスマートな車。スタイル的に過渡期の電車なのでしょう。

同じく過渡期の電車。200形。試験塗装を再現したものの模様。

580形。少し時代が戻ります。2枚窓の湘南顔の電車は戦後多く製造されたようです。ただ、その全てが路線縮小期を乗り越えられず、1975年までに淘汰されてしまうのですが

550形。

500形。
600形。戦後製のボギー車も札幌では比較的淘汰が早かったようです。
この世代の電車は、他の都市ではもっともっと後世まで(下手すりゃ現代まで)生き延びたものですが。お陰で印象が薄いのです。

150形。鋼製の単車は1960年代まで見られたようです。

40形。木造単車。戦後の姿。窓枠の形状ですが、現存する雪8号を思わせるものです。

同じく40形。戦前の姿か?

10形。創業時の電車です。22号は現存。1975年ころ、最後にパレード走行した記録があります。それ以降は車籍有したまま(!)、静態保存に。
<未完>
花電車。事業者によって貨物電車に「仮装」する場合と、ガチな台枠とコントローラだけの花電車台車用意してるとこ(函館やかつての福岡)がありますよね。
何れにしても花電車も今後の製作課題かもしれませんね。
社外品のLED使って電飾というのも、今は非現実的ではなさそうです。
札幌市電のは交通資料館の展示写真も複写しておりますので資料になるといいなぁ。