19mの大型車体に当時としては高い重量/馬力。高速性能も大したものであり東海道本線での高速テストを行った実績さえも。
スタイルは傾斜こそないものの、大きくラウンドした流線型。低い機関出力を軽量化と空力でカバーしなければならない当時の気動車事情では合理的なものでした。
戦時中の使用停止を挟みつつも、戦後1951年まで増備は続きます。輸出向け(台湾)や私鉄向けはもう少しあとまで製造。
その後、私鉄や台湾のものも含めてすべてがディーゼルエンジン化。殆どのものが液体変速機も搭載。大きくアップデートを重ねていきます。
国鉄では1970年までに使用を停止されていますが、私鉄払下げ車のなかには2007年まで現役だった事例もありました(鹿島鉄道 なんと冷房付! ただし前面は原型損ねておりましたが)。
日本の気動車史を生き抜いた名車でありましょう。簡易な車輌では決してありません。
なお、生き抜いた時代が長いだけに機関と駆動方式も色々な組み合わせがあります。
ガソリン機関+機械式 150馬力
天然ガス機関+機械式 100馬力?
ディーゼル機関+機械式 150馬力
ディーゼル機関+液体式 150-180馬力
計画のみですが、ディーゼル機関+電気式
そしてガスタービン機関+機械式。なんと1000馬力の化物。無論営業には使用しないテストヘッドの事例なのですが。
私鉄で1970年代以降も生き延びた車はディーゼル+液体式であり、その後の気動車とも総括制御できるようになっていたようです。

FBI様は艦船中心のミリタリ系ビルダーさん。
その鉄道系作品の第一号! だそうです。
いきなり流線型。高みへのチャレンジ。華麗なる成功! 他ジャンルでの経験値が鉄道車両にも転用できるの、当然ですよね?
滑らかな前面。皆をあっと驚かせる!
思えば、キハ07はレゴトレイン作品も知る限り皆無でした。戦前の気動車としてはキハ04の仲間である片上鉄道キハ301をエース君パパ氏が作られておりますけど、07は初めてです。
前頭部の窓、横組で流線型らしさを表現しきってます。
前面は6枚窓という複雑さなのですけど、きちんと6枚窓なのですね。
車体裾は処理がやや荒い……? これは致し方ないところでもありますし、他がスマートですので気になりません。3段分横組みだと重苦しいでしょうし、2段分横組のみだとちょっと貧弱に見えてしまうでしょうから。
一方で、幕板から屋根へ掛けての斜め処理はウェッジ使って綺麗にまとまっています。
贅沢を申せば、前面窓は0.5プレート分(2mm)奥まってくれると品が良くなりそうな気がします。
それから、流線型の外付け尾灯も! 凄く存在感の大きなパーツですよね。

サイドビュウ。「D 321 D 123 D」という特異な窓割り、若干の省略の上で再現です。2段窓は1段窓へのアレンジですが、これは気になりません。寧ろ、気動車のちょっと小さめの窓という雰囲気が出ておリましょう。
横組み側面ですが、ドア部分のみ順組でメリハリ付けてる(+強度確保)のも印象的です。ただ、ドアのプレス表現とか、沓摺の表現があるとよりよくなるでしょうか。
床面は通常の車輌より1プレート上げて、ステップ部分の表現に。
気動車はエンジンの分心持ち腰高になる印象はありますので、これは却って好ましい結果に。
機関と液体変速機の表現も見逃せません。さり気なくシャフトが通ってるのも、なんか嬉しい。台車にもダミーの推進軸表現あると尚良いかも?

斜め上より。気動車特有の軽量化された感じ……軽快さが感じられます。

蒸気機関車と。
この種の気動車が活躍した時代、まだまだ主力は蒸気機関車でありました。

4110形は北海道の炭鉱私鉄に多く払い下げられてましたが、キハ07はその私鉄版が夕張鉄道に居りました。いや、夕張には4110は居なかっただろというのはさておき。ムードですよムード!

そういう炭鉱私鉄には、ミステリアスな如何にももと優等車然とした怪しげな木造客車も生き延びてたりしたものです。
気動車が寧ろ新顔。1960年代の雰囲気で……。

そして。こんな列車も。
古典ロコの曳く、曰く有りげな雑形木造客車。その後ろに回送かはたまた増結か? の気動車がぶら下がる。こんな運用は炭鉱と言うか、鉱山が絡む私鉄では日常的なものでした。
機関車は流石にディーゼル、客車は鋼製(ただしオープンデッキ)ではありましたが、キハ07の安住の地の一つ同和鉱業片上鉄道でも、こんな編成が見られた由です。

黒と茶色の世界では、気動車の明るいツートンカラー、尚の事、映えるものです。
なお、この編成。レゴ的にはキハ07のみが動力車(笑)。
4110はダミー機関車。FBI様のキハ07のお陰で走らせることが叶ったのでした。

軽快に走ってく……。
背後にはガスタービンで振り子式……なんてごっつい車両が写り込んでおりますが(キハ07 901の後継車たるキハ391ではなく。でもAPTも同じ時代)。こちらの解説紹介は次の機会にいたしましょう。
それにしてもFBI様。
初作品がこんな渋くて濃ゆい車輌なのは嬉しい限り! 次回作も楽しみにしております。