そして、もう既に通り越している大人の作品のクオリティ!
C56形は国鉄の支線用の小型テンダ機。テンダ機でありながら、タンク機のC11よりも動輪径も出力も小さいという、実は小さな機関車なのです(然し、動態保存機の160号機は東海道本線を爆走する運用にも入っておりますが)。他に大井川鉄道の44号機も動態保存機。第二次大戦中に渡ったタイ国にも動くのが未だ居るはず……。
現役時代の末期は小海線での活躍が知られていました。

基本的には7幅車体。これは倣った先であるbikkubo氏D51・隼氏C57に共通します。機関車は大きめに作っても違和感は少なく、7幅でルックスとディテールを優先する流れも必然でありましょうか……?
7幅車体に対して缶胴は3幅+アルファ。線の細さというか、程よい華奢さが顕れておりましょう。
動輪は純正の大動輪です。最近は入手が難しいのが辛いところですが……。
車体の大きさと上手く調和しています。D51に合わせるなら適切なサイズでもありますね。
惜しいのはメインロッドの先につながるスライド部分。この作りだとすぐに動作不良を起こしてしまうのです(パーツの精度が許容しなくなり、引っかかる)。bikkubo氏流儀の簡易表現か、或いはスライド部の大幅改良をお願いしたいものです。とはいえシリンダ周りは綺麗に処理されててルックス良し。
二重貼り合わせのランボードは強度もあり、また「白線入り」も再現できます。
フロントエプロン周りも丁寧な仕事です。
日本形を意識したダミーカプラー仕様。ただ、C56に関しては逆行も通常使用ですから、バッファ付の標準連結器でもありかな……とは思うのですが。

こちらを前に走っても絵になる。バックビュウ。
C56の特徴たる凸型切り欠きテンダ。此処にも白線入りで華やか。ヒンジに依る処理でシンプルに成功しています。
石炭の山も細密感あります。
動力系は炭水車にトレインモータと電池box(テンダも5幅故、上手く隠せます!)。エンジン部に受光ユニットという手堅い構成。
全体の造形でやや惜しいのは、キャブの背が高すぎること(そのためにキャブ窓が小さく見えてしまってること)。1プレートでも下げると印象はまた変わってくるんじゃないでしょうか。

サイドビュウ。良い雰囲気です。機炭間隔も詰まってていい感じ。
やはり惜しいのは、缶胴が長すぎてC56らしいタイニーさをスポイルしてしまっていることでしょうか。缶胴を3ポッチか4ポッチ短くして、キャブの下に第三動輪来るようにしたら、可愛らしさと、締まった密度感も生まれてくることでしょう。
でも、十分に元は良い作品です。改良で変わっていくことでしょうし、また今後も楽しみでなりません。

真正面より。国鉄蒸機に於ける7幅の強みを痛感させられますね。
フロントエプロン、ステップ表現! 細身の煙突もC56らしいのです。