バランス良い7幅。
そして、缶胴の丸み表現。適度なディテール。
国鉄制式蒸機モデルの2017年のモデル的スタイル! と言える作品でしょう。
(これは恰も2006年頃にコアレスモーターの量産・採用でNゲージ鉄道模型の日本形蒸気機関車のマスプロダクツモデルが大変化したことを思い出さえます)
過度なディテールやフルアクションのような無理もありません。
バランスの良い、必要にして十分。そして指標になるべき作品と。


C57 180号機。
JR東日本所属の動態保存機です。磐越西線での運行は長期継続、そして日常的に行われています。最も元気な動態保存機の一つ。
C57は、もっともスタンダードな中型の旅客列車用機関車。
1937年の製造開始以来、1975年の国鉄動力近代化達成までを働きぬきました。
特記としては、最後の蒸機牽引の急行列車「日南3号」を1974年まで牽引したこと。1975年、最後の蒸機旅客列車の牽引もC57でした。
また、貨物用として使われる事例も多かった。使いやすい機関車であったのです。
形状としては、ボックス動輪による近代化。そして、用途に合わせた線の細さ。缶胴の細さ。それゆえ、力強さとかマッチョ感とは無縁です。その意味でも国鉄制式蒸機を象徴していた形式でもあるのでしょう。技術的な冒険も無縁ですし。
なお。C57の前に作られたC55はほぼ同形です。大きな違いはスポーク動輪であることでした。

いきなりツッコミですが、動輪は「今も手に入れやすい」BBB-XLゆえにスポーク動輪です。国鉄制式蒸機で多く見られたボックス動輪はレゴでは再現しにくい。しかし、大勢には影響ないことでしょう。
缶胴は下半分がカーブスロープで構成。上半分がポチスロ構成です。
このままだとC57には太すぎ?なのですが、車体幅が7幅故にバランスが取れ、先の細さが顕れております。
ランボードは白線表現のため、二重仕上げ。1枚だと薄いんですよね。実物は意外と分厚いですから。
フロントエプロンは旧型ヒンジで綺麗に曲げています。
足回りは普通にフランジ−フランジレス−フランジという構成。
メインロッドはbikkubo氏のD51と同じ手法で表現し、ロッド周りの薄型化に寄与しています。
各部の装飾……というか鮮やかさは、現在の動態保存機らしい仕様。
特定番号モデルと云って通じるものでしょう。

この角度は特に鮮やかに見えます。

7幅のバランスの良さ、分かります。
缶胴の作りもわかりますね。
空気作用管は近年は銅色に磨くのが動態保存機や鉄道模型でのはやり?ですが、茶色で造るとそれらしいです。

テンダ側より。
炭水車も7幅です。客車との合わせを考えて6幅にする文脈もありますが、ここはどちらが良いのでしょうね。端面のハシゴや解放テコもあるので、逆行機も様になるかも?
エンジンドライブゆえに、炭水車の台車に何らかの妥協が強いられないのもメリットです。
ここから観るとキャブ下配管も分かります。機炭距離も詰まってて嬉しい。
ただ惜しいのは、従輪の台車枠が省略されていることでしょうか。
動力系はPF-Mモータx1です。
自走は問題なく。客車3-4両は牽引できるようです。初期計画ではLモータ予定であったそうですが、機関車のスタイル優先するためにMモータにしたとか。

カーブ通過の状況。勿論、標準カーブもポイントも通過可能です。
シリンダは上下分割する割り切りで、2-C-1のパシフィックでのカーブ通過を可能にしています。
ただし、初期構想では2-C-1を1+1-C-1として(拙作のC55のように)、シリンダの分割を避けることも考えていたとか。


その時代のLDD。動輪は他部品で代用されていますが、フランジレス−フランジ−フランジレスと言う配置を予定されてたとか。
ただ、実際に制作してみるとカーブ通過ができず、よりスタンダードな構造に改めたようです。
モーターは増速しているので、PFモータによる自作動力機にしては高速よりセッティングになっていると思われます。長編成時には客車にもモーター入れる方針を想定されているようです。
最後に、その製作期間の短さも特記しておきたいです。
最初にLDD上がってきたのは2週間前。みるみるうちにリアルモデルが形になっていく。黒パーツのストックあってのことだそうですし、ビルドは速ければ良いってものでもありません。しかし、魅力と指標の一つであるのは事実でしょう。
見事な、2017年現在のベストを尽くした作品でです。
そしてなおかつ、蒸機は決して難しくない、縁遠いものではないということを示してくれる。新指標ともなるべき作品と思うのでした。