
鉄道系が羨望禁じ得ない、スターリンゴチックな駅舎。
良い意味で権威主義……というのも妙な言い方ですが、権威的・威圧的なルックスは雰囲気を盛り立てます。形状というより、色彩バランスが「重い」のでしょうか。
抑圧的体制下でその上戦時体制。重くるしい時代を感じさせるではないですか。
而して、治安は未だ良好に保たれている。混乱は未だ、迎えていない。
それでも、春はきます。花壇の鮮やかさが目の救いとなっています。

ホーム側より。
この駅にはどんな列車が似合うのでしょうか。
駅の作品は多々見てきていますが、ここまで列車を選ぶ駅は初めてです。
コミュニストグリーンの共産圏客車。引っ張る機関車も無論東側機。
或いは、DRG時代の独逸の列車か。華やかな流線型機関車。而してその炭水車には鉤十字が誇らしげに。
はたまた、戦時下・空襲下でも定時発車を守り抜いたフライング・スコッツマン。
豊かさの象徴たる鮮やかなストリームライナーであってさえも、ここに横付けされると戦争の影を隠し得はしない。華麗な列車であっても、どこか感じる重い世相。

駅前。「この世界の片隅に」。自動車は軍用車か。
出入りするのも兵士や軍人たち……。
あぁ、この世界にも、本当の春が訪れますように。願ってやみません。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
この作品は6月に迫るジャパンブリックフェスト(6月9-10日)合わせですが、鉄道卓ではなく(残念?)、ミリタリー合同卓用の制作だそうです。
窓の小ささと開口部の少なさが重さのポイントでしょうか。
この種のデザインでも、窓が大きければ明るく開放的になるはずですから。その意味でテーマに沿ったビルドに成功されていましょう。
センターのアーチの使い方が巧いです。灰色→茶色→タン色の三重になっている部分が綺麗。アーチに沿った丸タイル「○○○○」は、何か略号とか年号とかが刻まれているのか、象徴的な装飾か……?
サイズは32x64程度か? 輸送の便は考えられているようですね。
ホームは2両分ですが、寧ろ頭端式においても様になるかもしれません。ガラス屋根とアングル柱が印象的です。
JBFでのジオラマ展示、楽しみです。
文字通りに鉄道卓とは違う色、見せてくれるわけですから。