食堂車こそ北海道系統以外から消えたものの、改造車の個室寝台率が大きく上がってくる。それが、さほど長くもない編成に組み込まれるので編成のごちゃ混ぜ感も醸し出される。
その象徴が、末期の「あかつき」(京都〜長崎)でした。たった6両の編成に
A個室x1
B個室(トワイラと同様のシングル+ツイン)x1
Bソロx1
通常B寝台x2
で、最後尾に座席車 オハ14 300番台。
さすがに6両で全区間を運行してたわけではなく、京都〜鳥栖は「なは」との混成でしたが。あちらも4両中2両が個室寝台でした。殿様あさかぜ顔負け? 或いは1960年代のマロネ40とかスロ54とか居た頃を彷彿させるんですよね。
こんな列車が2008年まで「生き残っていた」ことに驚かされます。
寝台列車をめぐるJRの営業政策を語るとどんどん暗くて嫌な話になってきますので、気分を切り替え、碧月様の隠れ新作を観てまいりましょう。

オハ14 300番台。「あかつき」編成用の座席車。レガートシート。
1100mmピッチ(特ロ同等)のリクライニングシートを高速バス同様の1-1-1配置にした、夜行列車用の普通車指定席車。
1990年に寝台列車の廉価サービスとして導入されたもの。寝台特急の座席車(普通車)は1970年の「ゆうづる」でのナハ20・ナハフ20廃止以来、20年ぶりの復活でも有りました(但し、583系を夜行なのに座席で運用とか、スハフ14をスハネフの代車に使用などの例外はあります)。
また1980年の「西海」廃止以降、10年ぶりの関西〜九州の座席夜行復活でもありました。当時は未だ主要各線に座席夜行(急行や快速)は多々設定されておりましたが、関西〜九州のみは寝台車しか無く非常に利用しにくかった。巧い着眼点と思ったものです。
言うまでもなく通常のオハ14の改造です。但し、端面は埋め込み非貫通に。
施された大胆なカラーリング。青白ツートンに赤い斜め帯。そのパターンは車端部にも。
碧月様の作品、斜め帯も再現しています。
側面下部はスロープで。側面上部はディジタル。
妻面はポチスロモザイク。斜めライン表現を全種盛り込み。適材適所、なのです。
14系座席としての造形ですが、近年のブラケット使ったAU13の表現が目を引きます。
また、水タンク目立つ床下機器も精細な感じ。端面はもう少しジャンパ栓など盛ってもよいかも? ここをダミーカプラーにするのは思い切ってて、良いのですが。

妻面をアップで。
違和感なく、美しい。なお、サイドに赤が回らないようにするため端面のみ「6幅+プレート2枚」幅になっていますが、ここにも違和感はありません。幅広に見えて、却ってこの車両の特徴を捉えてるかのようにも見えるのです。
テールマークは今後の課題でしょうか。
自作シールか、あるいは巧くプリントタイルを見立てられるか?

左右でドア割が異なり、こちらの側面は後部ドアがありません。
ドアがないとタイル張りの部分が目立ってしまいそうですが、そこは手すりでカバーしています。精密にも見えてきます。
併結相手はtaizoon様の24系客車。実際の編成とはちょっと違いますけど(あとスケールもやや違いますが)、十分に似合うのでした。
何れは碧月様、「あかつき」編成にチャレンジ……?
先にも触れたよう、2008年の廃止地点での編成は大変に密度が濃い。
期待するなという方が無理でありましょう(笑)。


走らせてみると。
「あかつき」なんですから宮原のEF58牽引で正解ですよね? え、時代が違う。気にすんな(笑)。
……関西ブルトレをEF58牽いてたのは1979年ころ迄でしたっけ。

碧月様作品というと、精細なインテリア。
無論、この作品も例外ではなく。
1-1-1の座席は座席を左右に振ることで再現。それっぽい。
右手奥は女性専用席ですが、実物でもそうだったようにシートカバーのデザインを変える芸の細かさです。パーティションのガラスと植え込みも印象的。
流石に、その奥の女性専用化粧室は再現されてないようですが。

左手にはソファの置かれたミニロビーがあります。
角度によっては、外部からインテリアもちらりと見えます。
何らかの室内灯も実装すると、インテリアはより見栄えがしそうですね。
「あかつき」再現も何時かは期待したくなりそうですし、それまでは何方かの列車への「造結」でも楽しめそうです。
なんであれ、90年代以降の末期ブルートレインの魅力を認識させる力も持った作品でありましょう。