
近鉄でも別規格の路線(1067mm軌間や、ついこないだまで762mm軌間迄あった近鉄ですが……)、けいはんな線(東大阪線)の7000系電車。1985年に登場。大胆な前面スタイルやカラーリングはこれまでの近鉄のイメージを大きく変えたものでした。当時は未だ、旧塗装の近鉄マルーン一色の時代でしたから。
ただ、けいはんな線は線路の接続はあるものの、電気方式は別路線。第三軌条集電の、大阪市営地下鉄(中央線)直通用の車両です。
デビウ以後、ずっと大阪市交の電車と一緒に、大阪港から生駒の山の上へ。海と山を結んで活躍を続けています。地味といえば地味な存在かもしれません。
しかし、そのスタイルは30年以上前の電車と思えぬ明るく、美しいもの。

エース君作品は、明るい実車のイメージ、巧く汲み取っています。
側面はやや荒いのが残念ではありますが、しかし前面は垂直に割り切りながら、実車の丸み・柔らかさがごく自然に顕れてる印象。合わせて、シンプルな美しさは感じられるのです。
ですので、側面ももうひと頑張りされたらと……。
今の上下二分割窓は表現も難しそうですから、かつての下降窓(他の近鉄通勤車と同じ)時代の方が作りやすいかもしれません。
それにしても、大阪市営地下鉄の車両(含む乗入車)は初めてかもしれませんね。
大阪市交の車両も過去に遡ると、実は相当なバリエーションに及びます(趣味的に興味深い存在も多いのですよ。初代10系など)。題材として魅力はありましょう。
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もう一つ。
こちらはJR西日本の事業用電車。U@tech。
次世代技術の検証用車両ということで、試験車というよりは「試作車」になりましょうか。
223系+213系という不思議な編成ですが、223系部分は川崎重工のテストカー(新規の製造方法の確認用で無車籍) クモハ223 9001の転用。213系部分は、元マリンライナー用の余剰車という、「如何にもな」事業用車らしさ。2004年に改造されたものの、2007年にやっと車籍入ったあたりも、今時の事業用車も趣味的興味的に捨てたものじゃないなと思わせるのでした。吹田に配属されています。

フル編成といってよいのか? 3両編成。

クモヤ223 9001。ちょっと変わった223系という雰囲気の車です。
エース君作品、前頭部の処理が良い感じ。裾に上下反転でポチスロ入れてるので、形状に流動感が出ています。3x6平面キャノピーの内側の窓枠も良い表現ですね。テールライトの赤差しはあったほうが良いかもしれません。
側面。斜めラインの表現は頑張っています。ただ、側面表現全般がやや平板なのが惜しい。パーツの制約などあるとは思いますが、もうちょっと精細さがあればと思うのです。

サヤ213-1。213系由来。
窓柱の表現がないのが、やはり残念。213系、往年のサロ45形2等車を、あるいは阪急2800系などを彷彿させる、美しい2連窓の並んだ側面の車両なのですから。
せめてドア脇だけでも窓柱あると、印象が良くなってきそうです。
さて、やや辛口評となってしまいましたが。しかし。

クヤ212-1。213系由来。
往年のマリンライナーの展望グリーン車クロ212形の面影を残す、唯一の車です。
バブル期だったのだなぁ、と思わせるハイデッカーで大きな窓。大胆な前面展望。2003年の早期引退が余りに惜しまれる車両でした。
(……今の車は、正直グリーン指定席料金高すぎる感じがします。首都圏のグリーン自由席と同じ設備なんですから どれほどの需要あるのかしら?)
って話はともかく。
エース君作品。とてもクオリティが高い!
前頭部はtaizoon氏の、雷鳥のパノラマグリーン車(クロ481)参考にされたとのことですが、巧く自分のものとして消化されてますね。
5幅に絞ったスカートが狭軌感の演出にもなっています。車体裾の1プレートをウエッジかラウンドにされると流動感も出てくるかもしれません。
そして側面が、良い。
大胆なパノラマウインドウ。憧れたあの車、見事に蘇る。
後位ドアまわりの横組、また車端部のマーキングも見逃せません。
惜しいのは他の車両より車体高が物足りないこと。
側窓位置を1プレート上げて、全体を1プレート嵩上げしてみたら実車のボリューミーな感じが出て。前頭部とのつながりも自然に見えてきますかも?
台車のボルスタアンカ表現も見逃せません。

今回の作品。どちらもかなり良い線いってると思うのです。前頭部表現のレベルアップと定着を感じます。
こうした製作試作が次の糧となるのでしょう。期待しております。