それも、リアルな機能の再現を行った上で。
ギアードロコの中でも最も成功したと言われるシェイ式。もちろん過去にレゴでの再現作は皆無ではありませんでした。
ただし「小さく作るほうが難しい」題材です。レゴのテクニック系部品は概ね大ぶりであり、6幅の鉄道車両に組み込むのは多くの場合平易ではない。
そして、実物は決して巨大な機関車ではありません。
シェイ式の殆どがナローゲージ用の小型・中型機関車です。有名な台湾の阿里山のもので28噸で762mm軌間でした。もっと小さなものだって多い。
スケールやディテールの問題も絡んではきますが、ある程度小さく作る必然はあると言えましょう。
その難題さえクリアされてきましたから、驚愕の作品です。

サイドビュウ。3気筒2トラックのタイプです。
センターに上下に動くシリンダを持つます。
模型的には、シリンダ部の奥にPF-Lモータを仕込む。チェーンでシリンダクランクに伝導。そこからCVジョイント+フレキシシャフトで車輪のベベルギアを回す。
文章で書くと簡単そうなのですが……、実際に作って調整するとなると難しいことでしょう。特にレゴトレインの急カーブは問題です。
しかし。
実物のシェイは寧ろ急カーブに適した機関車でした(!)。避けて通るわけにはいかないのです。

モーター部分のアップ。

機関車の全容。飾り台に設置した状態。この機関車だと台上で動かしても十分に楽しそうです。
プロトタイプは本場、アメリカの森林鉄道に居たようなタイプでしょうか。アメロコらしさが出ていますね。蒸機としてのディテールにも注目です。キャブ廻りも綺麗な形。シルバーラインもおしゃれ。
なんであれ、この大きさのタンク機関車にPF機器一式が収まってるというのも驚くべきことなのですが……。

前方より。ボイラーが偏って載っているのはシェイ式の特徴です。細身のボイラーがまた上品でもあり。

シリンダのない側面より。
実物同様、こちらのサイドはあっさりしたものです。逆にいえば平板にならないよう、努力が求められる? 巧くディテールでメリハリつけておられますね。
車輪は露出しているより、何らかの台車枠(飾り)があるとよりらしく見えますかも?

さて、このモデルの真骨頂はカーブ通過時。
フレキシジョイントおよびcvジョイントは曲がりと、そして若干の伸縮を許容しますが(CVジョイント、偉大!)、それでも急曲線対応のために、台車回転ピンの位置がトリッキー。車体の外側に回転中心があります。


フレキシ及びCVジョイントがわかります。
なお、赤いベベルギアは「黒が希少で高価だったため」とのことですが、結果として外見上望ましい効果を上げています。おしゃれで華やか。



こちらは前部台車の旋回の様子。曲がりつつ、動力を伝達してる様子がわかりましょう。なお、台車の旋回位置の関係でバランス崩す局面もありそうですが、此処は巧く補償されているのでしょうか……?
動画です。
— もりりん書房 (@morimorilego) 2017年1月5日
先の写真から足回りを少し改良し、台車を1プレート分だけ厚くし、台車の遊びを減らしました。
通常コントローラで常に最速で操作していますが、スラローム上で全速前進からの急な全速後退などにも対応する安定性を確保しました。 pic.twitter.com/DU53uPIiIO
動画。まさかの走行性能を見せてくれます。
先にも記しましたが、この種の機関車は森林鉄道など急カーブが前提の路線で使われることが多かった。レゴトレインの急カーブゆく姿も様になっているのですね。
なお。この作品は1月15日、京都は梅小路公園の展示会に出展されます。

関山も行きますが、この作品を拝見できるのは楽しみですね。