
電化された専用線・専用鉄道というのはもともと数が少ないもの。
ましてや現役は元 八幡製鉄。現在の新日鐵八幡製鉄所のくろがね線位でしょうか。北九州市内のおよそ6km。かなり縮小されたものの、今も電気機関車による輸送が行われています。
1975年に投入された現行機85ED-1形(E8501-8504)は、自重85噸という大型機。デッキ付きの箱型機。
牽引力確保のため軸重が22噸以上に及びますが、これは真っ当な国鉄・JR機を上回るものです。西武E851が私鉄電機の東の代表なら、こちらは西の代表と言えるのかもしれません。
特徴的なのは市街地での運行となるため、徹底した防音対策。床下を完全に防音スカートが覆う。整備が不便? エアシリンダで自動開閉なのだそうで!
他テレビカメラや空調の設備もあり、作業環境への配慮も行き届く。後者は日本初のものですね。国鉄機ではDE10 1900/2000番代を待たねばなりません(あれも防音機関車です)。つまりは当時なりのハイテク機関車だったのでした。


なし様の作品。8幅フルスケールです。
この題材に関しては大柄さの表現のため、ラージスケールが正義に思えてきます。
そして、8幅故にスカートは固定でも、内部で台車の旋回を許容します!
見どころはたくさん。
端梁のゼブラ模様はプレートの組み合わせ。リアルなデッキ・ステップ。
テレビカメラに回転灯、アンテナ、空調機(AU13?)などのディテール。
鮮やかなカラーリング。裾のダークブルーが美しい。赤いナンバーが引き締める。


輸出向け機を思わせる、前後非対称のサイドビュウ。
スカートがギリギリまで下がってるのが印象的です。
なお、車体の大部分は順組であるため、強度は申し分ないとのこと。

気になる、スカートの中身。
小ぶりな動力台車は実物とは異なる部分ですが、小ぶりであるがためにスカート内で旋回し、レゴ標準カーブをクリア可能。

別角度より。よくぞ収めたという感じ。

カーブ通過。無論支障ありません。
スカートを台車側に持たせるのがこれまでの「妥協」でしたが、8幅なら妥協なしにこんな機関車もモデルにできる。

モーター台車。PF-Lモータを艤装。斜めの伝達が奇異。尋常には思いつきもしない構造です。

台車裏面より。無論、二軸駆動。
かなりの低速・ハイトルク仕様であり、相当な牽引力を発揮することでしょう。

「メデューサ」? ライト点灯もあるため、車内はケーブル格納が大変なことに。
電池BOXは単3用で、重量の確保と長寿命を可能に。

連結器周り。形状面から連結器は車体マウントです。振り角度の問題が起こり得るため二重に可動する連結器。但し、推進は苦手とのこと。
メカニカルなルックスが好ましい。
さて。前面帯の処理もこのモデルの画期的なところでしょう。
ポチスロ組み合わせと斜め処理。どうなっているのやら?




ポチスロのモザイク的処理は建築系ではよく見られる手法ですが、鉄道車両で正三角形に組み合わせる手法とは! 帯になるプレートも含めて隙間なく。
一つの究極的技法でしょう。

専用の貨車。
製鉄所内部で使われる貨車は形状も独特。積んでいるのは「製品」の鋼板でしょうか?
内側台枠の台車もまた産業用らしい。

機関車との連結。
貨車側も大掛かりな対策が要されていますが、産業機械的に「これもあり!」と思える題材ですね。一般の客貨車曳かせることも少ないでしょうし、もし曳かせる場合でも「控車」あったほうが寧ろリアルでしょうか。

活躍シーン。カーブも絵になります。

製鉄所の機関車が大きな鉄橋ゆくのも様になるもの。
あおなみ線運転会会場が、一気に「産業鉄道」に。

あのレイアウトの小物たち。架線柱や線路際の標識類。
はたまたポイントマシンのとの相性が堪りません。
低速で、モーター音を静かに響かせて……。