
新幹線用の軌道試験車。実物について語ると長くなります。
同じ形式の中に電車の付随車と客車が共存してたと思ってください。
921-11以降は電車の中に組み込まれていた付随車扱い。在来線ならサヤ相当です。
921-1 921-2の2両は機関車や電車での牽引を前提とした、客車タイプでした。在来線ならマヤ相当。文字通りのマヤ検です。製造もマヤ34 1と同じ東急車輛だったのでした。3台車ということはもちろん、全長なども共通点が多いのです。
1964年に製造。
1975年には電車付随車の921-11の登場で予備車に。その後1980年に廃車。
この車、相当に奇異な車でした。
独特の丸みのついたスタイルは類例するものが他にありません。強烈な個性は欧州的かと言いたいところですが、欧州にも類似スタイルはない。ただ、東急車輛のデザイナーさんがノリノリで造ったってことは窺えます。エキゾチックが炸裂していたのでした。
(同じメーカーの作品でいえば、923初代の出窓とか、マヤ34 1の丸窓とか設計者の趣味としか思えないんですよね)
相棒は911 高速ディーゼル機関車。911のマックスパワーで試験車1両のみを曳くなんて使い方をしてたそうですが、911って160km/hでの走行は単機であっても相当に無理があったとか。轟音と振動と悲鳴を上げて深夜に突っ走る。凄まじき光景であったと思うのです。
さすがに無理があったのか、922(初代 元1000形B編成)による牽引も行われていたようで。この場合は200km/hでの検測を行っていました。
この電車+客車の検測の延長線上に、最初から電車の付随車として造った921-11以降の存在があるのでしょう。
さらに余談。922初代の引退後に0系が921-1をけん引した事例。
また、東北新幹線開業前の小山での実験線時代(1978-1980頃)、962とか961も921-1を曳いてたと思われます…。

921-1をレゴで造ってみると、こんな感じ。
実物はもっと丸っこく得も言われぬフォルムなのですが。その辺再現しきれたかどうか。滑らかな車ですのでなるべく隙間などは出ないように心がけました。

この種の事業用車の常で、サイドビュウは大きく異なります。
窓の少ないこの面は、発電機のグリルとトイレ窓が目立ちます。
然し、資料の少なさには困りました。写真は解像度の低く、角度も限定されたものしか出てこない…。不明個所はあてずっぽうで造ってることご容赦ください。台車のバネ周り位は知りたいものですが。


無論、この車が最も様になるのは良き相棒、911に牽引されているところでしょう。
中二病めいた言い方をすれば、「異形の怪物」が轟轟音をがなりたてる。その命を削らんばかりの悲鳴さえ立て。
それにつき従うのは、やはり「異形の巫女」。黄色い衣纏う。滑らかなるその姿!
そんな組み合わせが、深夜の幹線を突っ走っていた。萌えないわけありません!
ドクターイエローなんて言葉は影も形もなかった※、そんな時代の物語です。
※:黄色い新幹線、というのが国鉄時代の記憶です。ドクターイエローという愛称はJR化後、平成に入ってからじゃないでしょうか?