Nyu様は或る意味、大先輩にあたる方です。日本のレゴ趣味の黎明期(スターウォーズやマインドストームが始まった1990年代末)から……。
思えば、ホビーとしてのレゴって20年近い歴史になるのですが、そこをずっと歩かれてきた由。今年のブリックフェストには堂々の参加でした。その中でも特撮ファン的には「やられ役」の方も、こちらではスポットを当てねばなりますまい。
さて。お題について。電気機関車の定番、EF58形。
EF58自体、レゴでは困難と言われつつも、拙作(三回ほど作りなおしてます……)・AWAZO様作・AP様作、ショーティならTn-facotory様作と薬師山様作があり。既にいろいろ揃っています。
しかし、どれかが「決定版」というよりは、定番題材で個性を競い合う感じでしょうか。そこに大ベテランによる、個性がまた一つ。

プロトタイプは、モチーフが1954年の映画である以上、茶色の原型大窓。無論、後世の61号機や150号機などにも見立ては出来ましょう。

近年はフルスケール作品が多い中、車体部分で34ポッチ。足回り含みで38ポッチ長。ぎりぎりレゴスケールといえるサイズでしょうか。
真っ先に目を引くのは、前面の「ヒゲ」表現。ここは階段状の表現しかない……と思われていたところに、爪パーツでの理想的なラインを描いてくる。側面のつなぎ方も、帯の切れ目をきちんと斜めにしてる。
その分、前面の傾斜は表現しつつも後退角は割愛されています。しかし、先のヒゲ表現の的確な鮮烈さで全く気にならないものに。取捨選択の大事さです。
ヘッドライトは樹の幹。残念ながら、灰緑はおろか青も作れません(笑)。それでも形状面ではベスト。
側面。側窓は2x2の飛行機窓の横組です。この部品を使うと、車体全体を旧茶で組まねばなりませんが……やっぱり、窓の形状的にはベストです。側ルーバーも横組。構成上でかなり苦心されているのが窺えましょう。
ヒゲも含めて全体に基本造形・ディテールとも「濃い目」の味付けかもしれません。車体裾の切り上がりもかなり強調していますし。屋上もやや誇張気味?
それ故に、EF58らしさが強烈に伝わってきます。このアレンジには、正直「やられました」。


下回り。9v仕様。
ここは拙作(旧作)を参考にしてくださったとのこと。自分が9年前に最初のEf58作った時に思いついた、2C+C2の車軸配置を、2B+B+B2にアレンジする手法です。センターにトレインモータを置き、これだけは左右スライドすると。
先輪付の旧型電気機関車を全長伸ばさずに表現する手法として編み出したものです。走行性能は見た目ほど悪くはなく、この作品も「ポイント分岐側直後のアウトカーブ」という際どいところをトラブルなく通過しておりました。

先輪は小径車輪です。若干の問題はあり※、拙作でこそ避けてはいますが、動輪を大きく見せる視覚的効果も含めて、望ましい部品では有りましょう。
やはり「爪」を使った先台車枠の表現も素晴らしいものです。先台車でここまでそれっぽいものもまた初めてでしょう。
※:15分程度の走行でキーキー鳴り出し走行抵抗も大きくなるという、おおよそ動力車向けの部品ではないのです……。走行環境次第・運行環境次第ではありますが。

薬師山様のショーティとの並び。
自分が青大将EF58を持ってきなかったことを強烈に後悔したのでした。

もう一つ忘れてならないのは「客車」。
スハ43系と思われます。ウインドシルヘッダーの表現はAp様の流儀を採用したとのこと。全長は28ポッチのレゴスケール。Ap氏の表現はこのスケールでもまた有用!
(簡単に真似の出来るものでもないですが)
全体のディテールもベンチレータなど「やや濃い目」で統一は取れていますね。

列車を引いて。
バランス感の良い編成です。理想を申せば客車がもう1両欲しくなるところですが……。流石にあのディテールと仕様では難しいかもしれませんね。
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もうひとつ。DD13。
この中型のディーゼル機関車もまた鉄道模型の世界では定番では有ります。
一つ目玉の初期型の方です。舞台が品川になるため、都心部のヤードに多かった初期型のほうが良い雰囲気になりましょうか。

ヘッドライトや排気筒がやはり、大振りな表現です。メリハリが付きますよね。
排気筒よこの小窓も芸が細かいのです。

サイドビュウ。大きいくも小さくもないという微妙なサイズゆえ、寸法とディテールの取捨選択難しい。意外と「深い」機関車でしょう。