それに乗って平壌から開城(板門店)へバスで往復。これだけならお気楽な観光に思えるじゃないですか? 板門店は南からは未だ行ったことがないので楽しみでしたし。


しかし。
不毛の砂漠……にも見える北の大地※。

荒れた路面を派手に揺れる。上下にぐわんぐわんと。
その感覚は「マッドマックス 怒りのデスロード 【4DX】版」!
シートの動きは映画同様のマックスレベル。映画館と違うのは風が吹いてこないことと水が飛んでこないことだけ! これが片道2時間半。映画と同じ!
而も独裁者まで出てくる。これも映画と同じ(爆)。

入場した4DX劇場もとい、この旅行中お世話になった中国製の観光バス。割と良い車ではあるんですが(多分北朝鮮では一番良質のバス)、道路が……。
4DXは3000円位しますから、往復で6000円分のモトが取れます。凄いぞ北朝鮮観光は。

味わいのあるデザインのトンネルポータル。トンネルは途中5箇所位。いずれも長くはありませんが、内部照明は一切なしのスパルタンな仕様。

平壌から開城への途中にあったサービスエリア……みたいなもの。
見事なまでの共産主義建築。本線を跨ぐ形のSA建築は非常にユニークというか欧州的。
売店だけは営業してました。

跨いでいる部分は非営業ながら食堂のような空間。そこからの遠望。
ナチス時代に
完成したばかりの、極初期のアウトバーンを思わせる光景でもあります。

欧州からの団体と一緒になりました。欧州からは国交はあるのでそこそこ観光客はあるらしい。個人手配だと右のような乗用車になるのかしら? なお昔の旅行記に出てくるような中古ベンツも平壌市内ではよく見かけました。物持ちが良い……。

マッドマックスな旅も終わりが見えてくる。開城市内、謎の未成線?線路。橋脚に築堤。

板門店観光に関しては触れられてることも多いので軽く。
説明してくれた軍人さん。おそらく尉官? 思想頑強じゃないと務まらない仕事でしょう多分。説明はガイドさんが日本語にしてくれますのでよく理解できます。
また、個人的に驚いたのは、北側アプローチの周辺は「至極平和な農村」ってこと。そういう演出だとは思いますが、ここがヤバいところと思わせない雰囲気。但し写真はダメでした。やっぱりヤバいところなのです。

青い家の向こうは大韓民国。残念ながら大韓民国側には観光客どころか、兵士一人も見えません。観光客は互いにカチ合わないように調整してるんでしょうね。でも、兵士が見えないのは意外でした。靴先で「・・・ーーー・・・」送るとかの超絶危険行為は無論冗談でしか考えてませんよ!(やったら流石にヤバいと思う。現役自衛官の友人曰く、今でもガチでモールス信号は軍人ならわかる、とのこと。ましてや国境にいるエリートなら)
なお、南側からの観光はまだしていませんが。
よく云われるよう北側のほうが緩い雰囲気なのは事実です。理由は北にとってはここは当たり前の場所。
南にとっては緊張感ある「戦場の続き」なんでしょう。その「演出」を互いにしてるんじゃないでしょうか。
ここは南側も行ってみたいですけど、自分の普段着で大丈夫なのかしら?
服装規定にはラフなのだめ露出多いのダメ軍装ダメとはありますけど、民族衣装っぽいのダメとか男性の長髪ダメとかは書かれてないですし(その日だけ着替えろよ!)。
あと、ここが早く自由に通り抜けできるようになりますように、割とマジで。
こんなとこ、さっさと歴史遺産になっちまえ!

開城市内へ。無論工業団地とかは無理で、普通に市内です。そこそこ、街。
ここだけ観ると平穏な街です。

お昼の韓定食。韓国で食べると高そうな奴ですね。
無論、美味しかった。オプションで参鶏湯付けられたんですが自分は遠慮しといて正解でした。理由、これだけで十分なボリュームあったのと、あと「お残し」があったから(笑)。頂かないと勿体無いというか申し訳ない! こちらも美味でした。
さて……食後は再度「怒りのデスロード 4DX版」を鑑賞……もといバスで平壌へ。
よくぞ気持ち悪くならずに済んだものです。
帰りのバスでのBGMはモランボン楽団とポチャンボ電子楽団(これは参加者皆のリクエストでDVD流す)。
つまり、その辺の音楽バックにマッドマックス観たらあの雰囲気思い出せるかしら?
(日本ではCD入手困難なのでyoutubeでどうぞ)
余談。ガイドさんの話だとポチャンボ電子楽団は未だ活動してるそうで。メンバーは高齢ながら、金正日の記念日には演奏してるそうな(実力衰えず!)。
誰だ、粛清されたとかデマ流した奴は!
もうひとつ余談。
この帰りのバスで寝てる方多数。お前ら4DXの映画見ながらでも眠れるだろ(勿体無いよ!)
それから、帰りの写真が少ないのは
アメリカ大統領選挙の話の反応は面白かったですね。共産主義なサンダース候補の話をしたらえらく驚いてました。無論、トランプは叩いときました取り敢えず。
あと、中国式の共産主義維持したままでの改革開放政策の話はウケ悪かった。中国の真似は取り敢えずイヤなみたいです。

平壌市内に戻って。デモっぽい行進。無論官製デモ。

平壌駅前の大型ディスプレイ。「大事があると出てくる」あの人にみんな目線釘付け! 誰かが名付けたか「北側クリステル」言い得て妙。

正恩。確か核弾頭の小型化に成功したとかそんなニュースだったと思います。平壌駅前でこんなニュース見られるライブ感に皆感動。

平壌駅前広場。寂しい印象。
ただ、町外れに駅があるタイプの街ではあるので、中心部はもっと華やかではありますが。右手に見えるツインタワーが泊まった高麗ホテル。1970年代な雰囲気濃厚。

その後は地下鉄体験。外国人は5駅だけ乗れますが、この5駅だけ立派に造ってあって他の駅はコンクリ打ちっぱ手抜きってことはまさかあるまいな?
超絶豪華な駅と、広告代わりの壁画。
車両は元ベルリンの車でもう16年も使われているもの。これに乗るかと思ったら?

やってきたのは、未だ3本しか無いと言われる新型車100系! なんと北朝鮮国産車。
どうやら旅行会社がリクエスト通してくれたとのこと。
去年 平壌地下鉄に新車登場と聞いた時は「どうせ試作で終わって、そのうち無かったことにされちゃうんだろ」って思ってましたから!
地下鉄は初代のdk形(北京同型で中国製)の前に国産車作ろうとしてたらしいのですがコケたり、路面電車でもチェコ製を真似して国産車作ろうとしてコケたり……そういう過去がありましたので。

車内は液晶モニタ3面体制。2つは案内用。1つは北朝鮮のアニメーション流してました。北朝鮮アニメは元はソ連の技術が入っており高品質とか云われてます。
この作品はCGの近作でしたが、CG時代でもその技は喪われず、動きとかは一流でした。
内容は……言及控えます。「昭和20年代の水準」と評した方の意見は宜なるかな。
台湾や中国に韓国では溢れかえってる萌系に汚染されてない平壌。
ただ、日本人がおみやげとしてそーいう物を手渡した事例は有りますので、今後に期待しましょう。韓流ドラマの様に禁止されたりしたら「本物」ですね。
ボルテスVのように革命起こしてくれたらオタク冥利に尽きるんですけど……。

車内。どピンク(見えないですがシートも)。全体に安普請な印象は否めません。
頑丈そうなベルリン車より長生きするかどうか、興味あるところです。
なお地下鉄試乗は貸し切りかと思ったら一般市民混乗でした。演出という説もありましたが、それにしちゃ動員数が多いので、ガチなんじゃないかと思います。多分。
割と身なりが良いのは、平壌に住めるエリート階層だからなんですよ……多分。

降車した凱旋駅で。「やは R田中一郎くんだよ。ロボットじゃなくて銅像だよ」。
コイツが引き摺り倒されて、壁面に各種広告が彩る世界。何時か拝んでみたいものですよね?

その後は夕食。皆が驚いたのは紙ナプキン。
キャセイパシフィック。何処から持ってきた! こんなものでも

食事そのものは美味しかったのですが。
良い意味で家庭料理的な、素朴な感じのお料理ですが。でも恋しい。
貧しい国なりに、頑張ってごちそうして饗してくれる感じは悪いものではありません。
なお、食堂の給仕さんは皆美人。この国で美容整形が盛んな訳はないでしょうから、平均レベルは高いんだと思います。
この日は流石にホテル戻ったら爆眠でした。
遊びに行った(ホテル外部のバー等)方も居られたようですが……。
※:不毛とか記しましたが、冬だからのようです。夏だともっと緑は多いそうで、印象は変わってくるらしいです。一応。
追記:北朝鮮の徴兵制度については正直、よく分かりません。wikipediaの記述も分かりにくいですし。ニュースのたぐいも何処まで正確かあてにならない感。ただ、徴兵なくても労働徴用などはあるイメージですが。徴兵制のある韓国や台湾ほど兵士は見かけなかった印象はあります。