
第一印象はあまりにありふれた言葉ですが「精密! 精密な模型みたい!」でした。
いや、昨今のクオリティ向上でそうした作品は珍しくない。
でも、この作品から特に強く、細密感を受けたのでした。
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題材にもあるのかも知れません。
ED75(ED79)というのは鉄道模型の細密化のベンチマークに使われてた感があります(HO・N共に)。両数多く各地で見られた定番形式というのは大きいでしょう。
趣味的には交流電機の代表にして、基本形式、という認識。
この辺はレゴトレイン日本形の歴史がトレースしています。
ED75/ED79はこの趣味が始まった2000年ころには早くも制作されていました。作りやすいように側窓やルーバーの数を減らしたり。また明かり窓の処理は試行錯誤されても。多くの作品や亜流が生まれています。
あと、交流電機ならではの屋上機器は昔から「腕の見せ所」でも有りましたね。

隼様の作品は、そうした10余年に渡る文脈の「最新」なのでありましょう。
横組の一般化で、もうルーバーの数を減らす必要もない。明かり窓も定番表現、ルーバーとは位置が微妙にずれる問題こそ残っては居ますが、全体の雰囲気で巧く誤魔化しきれてはいないでしょうか。
(妥協の迫られるレゴトレインでは「誤魔化し」は正義です)
また、過去作からの「定番手法の引用」も成功しています。飛び出した貫通ドア、貫通ドアの手すり穴、ランプホルダー(1x1プレートに丸いのが付いた部品)によるヘッドライト。1プレート分はみ出した大きめのステップ。
そこに加わる独自の味。アームの省略のない交差式パンタ。大きな屋上機器箱。
ATC機器を収めていると云われる、キャブサイドの張り出し。スノウプロウもシンプルながら確実な造形。ジャンパ栓も細密に。連結器にさり気なく解放ピン付き(12v時代の)を奢ってるのも注目。
何より味を濃くしているのはやはりキャブ周り。
ED79の特徴であったアルミサッシを強調。横組の乗務員ドアとの調和もばっちり。
バランス感も心地よい。
ディテールは更に濃口にして、屋根などもタイルやカーブスロープで更になめらかにする方向もありえるのですが、そこに走らないところで安心感というか、良い意味でのレゴらしさも残る。
細密にして、さじ加減のうまい作品なのかも知れません。

早速、編成例。ノースレインボーエクスプレスを従えて。本州直通時の編成です。
機関車と気動車のサイズ差がすごく適切。フルスケールのメリット出ていましょう。
(ED75/ED79は全長15mもない、実は小さな機関車)


! キハ183を差し替えた暫定編成(事故復旧時の)。その編成も何度かED79に牽かれて本州入りしたとか。
分かる人にはわかる、楽しい編成ですね。
合同制作のトワイライトエクスプレス編成が最高に似合いそうで、夏が楽しみでもあります。赤い機関車が緑の客車牽いて似合わないわけがない(笑)。
あと。ED75に見立てれば、それこそなんでも牽ける。どんな時代にも合う!(蒸機時代でもOK)
そこがまたED75/ED79の醍醐味でもありましょう。