
小さいけど、田舎電車に非ず! 路面電車に非ず。ましてや軽便でもない。
それどころか、「大都会」を結んだ「標準軌」の「高速」電車。阪神電鉄 851形(wikipedia)。
日本最古の都市間高速鉄道である阪神本線は、その歴史の古さ故の未改良部分を多く残し1954年までは小型車での運行を行なっていました。1954年から大型車(現行と同じ大きさ)が導入されたものの、1965年までは小型車も併用され、最大5両連結で使われていた由。
車体寸法は「幅にして大阪市電よりも狭いくらい」。全長も変わらず。
阪神小型車には様々な形式がありましたが、中でも1936年製造の851形は、大きな窓の貫通扉、側窓上部の明かり取りとモダンなデザイン多々取り入れた華やかなもの。1965年の小型車引退まで主に急行用で活躍。
さて。
阪神小型車は憧れたものでした。生まれるずっと前に引退した電車群ですし、そもそも阪神は生活圏的にも馴染みがなかったのですが。それでも本や雑誌の写真で「格好いい……」と惚れ込んでたもの。いや、同じ頃に関西の電車でも超弩級な参急2200とか新京阪P-6にも惚れ込んでましたけど、それはそれこれはこれ。
野上電鉄への譲渡車は二度ほど撮りに行きましたっけ。ギリギリ間に合ったのでした。
(野上のは普通用だった1000系列の地味な車で、華やかな急行用800系列ではありませんでしたけど、そこは我慢)
しかし、レゴでの表現は半ば諦めてました。
6幅で作ってしまうとあの独特の雰囲気はどう頑張っても出せそうにない。また、同じ世界観に居る電車ともスケール的な矛盾がちょっと許容範囲を超えてしまう。
でも5幅は……難しそう、トラブル多そう。名鉄510で試してましたがあれは無理と妥協の産物。

転機になったのは、先に作った阪急電車の900/920形。
完成した電車眺めつつ。この電車の全長詰めて、車体幅も1幅詰めて5幅にするの構造的に難しくはないなぁ……とふと気がつく。この地点では、阪急宝塚線の小型車(320形など)が脳裏にあったのですが、阪急の小型車を作れるなら、同じような寸法の阪神小型車も作れないわけがない!

飽くまで5幅で阪神小型車できるかどうかの検証用として、片側面と前面ができりゃと思い着手。しかし、気がついたら1両が出来上がってました(笑)。
試作中にテンション上がってきて、ゴーサイン暴走状態。

大きな、そして真ん中で二分されたデザインの貫通扉窓は851形のキモ。
ここは貫通路内にバーを立てることで再現できました。阪神は常時幌つけっぱなしなので前面はまとめやすい感じです。

台車は最大限に車輪を詰めないと床下機器が殆ど取り付けられません。ホイルベースをミニマムにしてイコライザなどは諦めました。
5幅の車体と6幅の足回りでは違和感あるかと思いましたが、ここは意外と気にならず。実物だって2300mm余の車体幅で1435mm軌間。車体幅に対して線路は広く見え、台車は大きく見えてたのです。
動力化は9Vトレインモータを中央部に付けての「1-B-1」方式か、ダミー車輪使う「0-B-0」方式しか無理ですね。動力車は4両編成くらいの1両にそっと入れれば、多分目立たずに済む筈。
個人的には検証結果は「良し、それも思ってたよりも!」。本制作、決定!
ただ、資材面では苦しい。他にやるべき優先課題も割と詰まってる。
夏のJAMまでにという題材ではなく、長期的に整備していく題材という位置づけです。阪神小型車は単行とか2連よりは、長大編成のほうが似合うのですし。目標は861形やら、前面丸型の801形も含めた4−5両編成!

そういえば、阪急今津線と阪神本線は今津で並んでたんですよね。小型車時代に阪神阪急の並んだ写真というのは見たことがないのですが……。
さて。
調子にのって「また茶色の」試作品をもう一つ……。
大型車と比べてこんなに小さかったのですね…自分の中ではこの車輌、結構イメージが膨らんでいたので、もう少し大きいのかと思ってましたが、勘違いですね(笑)。
最近の関山車輌密度でこの大きさ、キュっと締まって可愛&頼もしい。5幅という選択は、特に貫通路を含んで大正解じゃないでしょうか。
結構、難しい題材だと思うのですが、なんか、サラっと纏まってしまったイメージです。流石w 特に、幕板の小窓の表現がナイスです。ピッチがうまく合ってて気持ちがいいですね。もう、この縦組横組は板についてますね。相変わらず窓のキラキラ感が魅力的です。
台車のはみ出しは、この模型を見ると、なんだか説得力があります。多分、上回りがしっかり出来ているので、上下のバランスがこれくらいでいいのでしょうか。
比較画像、こんなに小さいのか!と、びっくりです。単体画像での力強いタッチを先に刷り込んでしまうと、予想外でした。
多分、実際に造ると息抜きにはならないと思うのですが、大型車輌ばかりとゴロンゴロン戯れていたら、時々こんな車輌に癒されたくなりますよ。
マニアックな題材なのに詳細なコメント、ありがとうございます。
試作……としたのは、やはり4−5両の編成じゃないと完成と見做したくないからです。それだけ昔の阪神電車は小型車でも長編成のイメージがありますから(……武庫川線は単車だったらしいですが)。
大きさが分かる実車の写真。阪神時代や同様の小さな電車ばかりだった譲渡先のよりも、大きな電車の中で混じって使われてた京福のホクハ辺りの方がサイズ把握しやすいかも知れませんね。
なお、阪急との比較ですが……阪神はいささか小さすぎたようで正確には22ポッチ位で作るとスケールが合うようです。とはいえ、あと2ポッチ伸ばすと5幅とのバランスが崩れてしまいそうで。このままにする予定。
>キュっと締まって可愛&頼もしい。
まさに狙い通りですよ。
明かり窓はそれらしく見えたようで何よりです。現物はもっと光が抜け、キラキラ感があるのですが、写真では巧く伝わってないかもしれません。横組と順組(縦組)でピッチ合わせる組み方は大好き。これでかなり多くの題材が「克服」できましたし、今後も克服続けるんじゃないかと思います。
>比較画像、こんなに小さいのか!
其の吃驚感もあるのなら、しめたものかも(笑)。ギャップは計算のうちです(笑)。
>実際に造ると息抜きにはならないと思うのですが、
パーツ消費量が少なめですが、編成長くなるとそうはいかないですね(苦笑)。
一つだけ楽なのは、小さいと強度確保が楽になります。大型車だと必要な補強が不要だったり。これは意外なメリットでした。