ざっくり言うと>
レゴ社の年間純利益が61億2000万クローネ(約1160億円)に増益
昔ながらの玩具市場は衰退気味だが、レゴの業績は「特筆すべき」
関連ビジネスを他社に任せ、ライセンス料を取る方式が功を奏したとのこと
記事のソース自体は既に報道されている年次報告書に基づく、近年続く売上増を受けてのものです。それ自体は特に新鮮な話ではありませんが、でも一般向け経済ニュースに乗る地点でインパクトはあります。
記事の要点は、2004年からの現体制とその成功理由は
「コアビジネスだけをやることに決めた。関連ビジネスは他社にまかせ、ライセンス料を取る方向に転換した」 ことが大きいとみているようです。
レゴランドの売却はその流れ※。
家電やアパレルなどもブランド貸し。
そして「レゴムービー」もまた、「レゴブランドを通じてライセンス料を徴収するビジネスモデルの一例」とのことです。
※:まぁそのおかげで「差別行為」のまかり通る恐ろしいテーマパークになってしまいましたが。
ブランド貸しと云う形で、レゴ社自らが製品開発や製造やサプライのリソースを割かずに、広範な製品を供給できるようになったことは、本業での製品のクオリティアップにつながった……と見ることも出来ましょう。
AFOL的な目で見ると、レゴ社自らがあれこれ手を広げてた1998-2003年頃のレゴ製品のラインナップはあまり褒められたものじゃなかったですから。開発リソースをブロック玩具製品に集中することができるようになったのが2005年以降のラインナップ向上の理由だったのかもしれません。
なお、
「サプライチェーンを根本から見直した。スイスなど、高コストの製造拠点から手を引き、コストを低く抑えることのできるハンガリーやチェコなどの国を優先した」
という記述もあります。現在のレゴの生産の多くは東欧やメキシコで行われていることは知られているところですし、この記事にはありませんが中国生産の本格化(現状は塗装工程があるもののみ)もそうした流れなのでしょう。製品の安定供給のためにも、製造拠点は増やして然りでしょうし。
(売上増に対して、製造設備が追いついていない……それが故の最近の供給不足なんじゃないかと思うことがあります。飽くまで私感ですけども)
最後に、レゴムービーに関して。
『LEGOムービー』を制作したワーナー・ブラザーズ(Warner Brothers)の担当チームは、レゴの企業文化を学ぶために5年を費やしたとされる。Knudstorp社長は、「私たちは(ワーナーに)芸術的にかなりの自由度を与えた。リスクを取れば、決断もできるからだ」とコメントした。企業文化を学ぶために、5年。明日日本公開になる映画、期待させてもらおうじゃないですか。