プラレール史において、積荷の無限的積み下ろしを行うセットは先の「おうふくプラレール りったいつみおろしセット」の他、他に2つあるのは知られているところです(トーマスとかでもあるようですが不勉強)。


「森林鉄道積み下ろしセット」(1979年ころ)
(画像は過去のヤフオクより)
エンドレス+側線1本。但し、エンドレス途中にリターンレールがあり、ポイントtoポイントの運転もできます。荒く言えば「Q形」。普通の循環運転も勿論可能。
積荷は原木になりました。貨車は2両に。

「立体積み降ろしセット」(1985年)
「プラレールセット品展示室その8:ひかり号マーク後期その2」より、箱画像を拡大させていただきました。
エンドレスが無くなり、リバース線+側線という構成に。荒く言えば「P」形。循環運転はできません。なお、リバースを経由するためホッパーへの出入りは毎度向きが変わります。

ただ、個人的にはどちらも初代セットほど尖ってないなぁ……とおもいます。「エンドレスなし直線のみ! 行き止まりの線路が4箇所」という葛生の専用線辺りを思わせる思い切りのよい配線はやはり伝説でしょう。
(あのへんもデッキ付箱型電機が貨車1−2両を牽いたり推したりしてた筈です)
まぁ、玩具商品としてはエンドレスもあって、循環運転も折り返し運転もどちらも出来る方が一段上なのでしょうけど。リバース線はその中間かも。
あと……機関車がEF66で原木輸送というのも何か違うなって感じが。
EF66は飽くまで本線区の高速貨物専用機であり、原木積んだチキとか牽いてると多分似合わない。
まぁこの世代の「おうふくプラレール」動力車がEF66しかなかったので、仕方ないといえば仕方ないのですけども。でも動力車がせめてDD51だったらなぁと思うのですが。
そもそも、積荷も原木よりは鉱石(それも石灰石)の方が大人っぽい?感じしますよね。
無論、貨車が2両になったりボリューム感ではどちらも「初代」より上ですし、原木の積み下ろし・積み込み設備もなかなか立派なストラクチャーであるわけですが。
おまけ考察。
立体構造の無限積み下ろしは動力車の往復機能が必須かというと、そうでもありません。例えば円周上に積込場と荷降場があり、その間が接続されていれば動力車は1方向への走りっぱなしでも問題ないわけです。例えば、「お山のシュッポー どんぐりコロコロつみおろしセット」(1979年)は積荷を樋で転送することで無限積み下ろしを行なってます。
(脇道ですが「お山のシュッポー」はとんでもない急カーブが標準なので、ナローのパイク的魅力のあるシステムでした。坂はラックレールでしたし)
立体構造も必須というわけではなく、積込場と荷降場の間が電動コンベアなどで結ばれていれば平面でも無限積み下ろしは可能です。ただ、玩具として考えると電動コンベアはコスト面であり得ないのでしょうが。でも、登攀力のない我らがレゴトレインなら、平面構成電動コンベアは「あり」かもしれません。
◆◇◆◇◆◇◆ ◆◇◆◇◆◇◆
余談の余談。

レゴトレイン4.5Vでも実現可能な直線的プランにおける無限積み下ろし、こんなのが思いつきました。
図中の[P]はスプリングポイントです(9V/RCのポイントを直進側に設定するだけ)。
問題は、坂が二箇所になるのでやたら長〜くなってしまうこと(笑)。
また、4.5V動力車の登攀能力からテストしてみる必要がありそうな感じ(苦笑)。
あと「おうふくプラレール りったいつみおろしセット」の狭い空間を行ったり来たりの魅力も削がれるような……。難しいですね。
◆◇◆◇◆◇◆ ◆◇◆◇◆◇◆
蛇足の蛇足。
1970年代のプラレールって「D51」や「新幹線」みたいなキャッチーなお題がある一方で、「ED70」「EF15」「EF58」と妙にど渋い機関車もラインナップされてました。
これが1990年代後半以降のマニア化・リアル化するプラレールなら分かるのですが、未だ普通の玩具に過ぎなかった1970年代なかばのことですよ?
ちなみにEF15は赤整形だったりするので、今の目で見るとEF15というよりはED44とかED45みたいな雰囲気なのはご愛嬌。EF58はマジで「EB58」です。それこそOゲージやHOゲージの定番ネタの。
ここで思うのは、1970年代のトミーの開発者はかなりOゲージやHOゲージの「B形電関」を意識してたんじゃないかってこと。あのへんになるとデッキ付箱型機であったり、EF58は定番中の定番ですから。大人が思うところの電機というか電関というか電気機関車だったわけです。
しかし、当時の子供の印象としてはEF15やEF58は明確に旧型機でした。そこらでニュアンスの違いがあったのは興味深いというかなんというか。いやまぁ管理人は当時からEF58好きで、幼稚園で浮いてましたけどねぇ(周りはEF65PやEF66好きが多かったかな……世はブルトレブーム!)。
そういえば、プラレールのEF58は原則、単品機関車のみ売りでした(持ってたのも単品版)。
今思えば、ドア開閉の郵便車とワム80000(の成型色を青にして、スニ44辺りの荷物車に見立てる)辺りでセットにして「急行荷物列車」とかにすりゃ楽しかったと思うんですが(笑)。
既に廃盤になっていると思いますが、積込場から荷降場まで、電動のローダーが持って行ってくれる凄いギミック…まさに関山さんの記事中のベルトコンベアー式を地でいっている製品です。
その動きに連動してクレーンは動くは、ヘリのローターは廻るは、トーマスが来るまで「待て」も出来る…で、見ていて飽きません。
「森林鉄道積み下ろしセット」の木材は、それ以前のセットにも含まれていたのでしょうか…1976〜7年頃には、既に友達がウチに忘れていった物が転がっていました。
第一印象がビッグローダーっぽいなと思いました。(前記事のは特に)
メーカーも同じなので、この積み下ろしを集約させてビッグローダーという玩具セットを完成させたのではないのかなと。
それにしても箱が綺麗ですね 笑
うちではプラレールは大きいという事もあり、箱はほとんど残ってないです。
あ、トーマスの積み下ろしセットってやっぱり存在したんですね。
電動コンベアは、モーター系のコスト下がってこそでしょうか。おうふくプラレールや「ビッグローダー」の遺伝子?は健在だったと。またこの種のセット出てくるのかしらん???
> 木材は、それ以前のセットにも含まれていたのでしょうか
先のED-70関連の積み下ろしセットでも木材入ってる有りましたし、それ以前のC-12やD-51でも材木積み下ろしギミックのある製品はありました。無論、下ろした材木は手動で積み込み口にセットしなけりゃいけないわけで、無限積み下ろし系ほど楽しくはないのですけど(笑)。
そういえば、単品無蓋車も材木入ってたかも。
◆モボ様
ED-70りったいつみおろし……は確かに印象がビックローダーですね。書こうかと思いましたが失念しておりました。
>積み下ろしを集約させてビッグローダー
それは自分も考えたことでした。文脈は全く同じですから。
ビッグローダーもあの時代のトミーの技術力結集の傑作だと思う由です。ただ、セットが拡張性無いのは当時も今も惜しいと思うところで。その意味で、拡張できるおうふくプラレールの積み下ろし系3部作の方が一段上だったのかもしれません。
なお、本文にも記していますが、画像は拾い物です。
流石にプラレールのコレクションは手を出せません。正直レゴの過去と現在追いかけるので精一杯ですから……。いや、欲しいかといえば欲しいですけども。