なお、スキャナが不調のためデジカメ取り込み画像となり、お見苦しいことご了承ください。
表紙はこの年より登場の「ホームメーカーフィグ」を正面に押し出しています。当時は「レゴファミリー」と称していました。
さぁ「レゴ(R)」で遊びましょう!の「レゴ(R)」のカタカナロゴは他ではちょっと見たことがありません。
なお、「LEGO」ロゴそのものの変更は1973年からです。
2頁。
所謂「レゴの効能書き」を記した頁ですね。
「レゴは子供の成長にかかせない遊び道具です」というキャッチフレーズが、物凄く「効能書き」っぽい。
「創造力。これこそ、子供たちがこれからの時代を生き抜くカギなのです」ちょっと大げさというか、創造力持ち上げられすぎですって(笑)。まぁそういう時代だったのでしょう。
「遊びの道具を選んでさしあげるのはご両親の責任です」
うわ……。重い。本当に重い。教育ママ(死語)全盛期ってこの頃だったのかしら?
今から見ると突っ込みどころ満載で面白い文章ですが、当時の子供としてみたらレゴで遊ぶの嫌になりそうです(笑)。なんか押し付け感というか。教育知育玩具感というか。
今のレゴの売り方に欠如してる要素が詰まってるといえばそれまでなのですが、行き過ぎもちょっと何だな……と思うのでした。
(1975年は流石にソフトタッチになっています)
なお、対象年齢の「A」「B」「C」「D」の区分はこの年から(1977年ころまで)。
製品の箱にもマークが入っていました。男女の別は意識されていません。また、具体的な年齢は記されていないので、却って戸惑う場面もあったんじゃないかと思うのですがどんなものやら。
ところで。
妙に気になるのは「丸ゴシック体」のレトロ感というか、奇妙な垢抜けなさ。
調べてみると「石井中丸ゴシック体」という書体なのでした。
上:石井中太丸ゴシック 下:ナールD
「文字の巨人 中村征宏さん」より
現在PCのフォントも含め広く使われている丸ゴシック体というのは「ナール」の影響受けた、1970年代以降にデザインされたもの。但し、1900年ころから篆書体的な古典的丸ゴシック体というのが存在し、「石井中丸ゴシック体」(1956年)は未だその流れも汲む、今から見ると古風なものです。
欧州での印刷ゆえ写植にも制約あったはずで、結果、国内の印刷物よりも「垢抜けない」ものになってしまったのですね。
そういえば、1995年ころのOlivetti社のノートPCの日本向け製品のキートップ刻印のかな等の表示もなぜか「石井中丸ゴシック体」でした。その製品(Echos44C)を所有していましたが、当時としては「レトロ感」に満足していたものです。
閑話休題。レゴカタログの古典丸ゴシック体の使用は1973・1974年だけで、1975年以降は明朝体中心となり、却ってモダンデザインとして品良くなっていくのです。
3頁。デュプロ。
ラインナップは1972年版にもあった#512−514のほか、1973年から加わった#515。未だまだシンプルなラインナップです。
なお、翌1975年には全種刷新されています。
4頁。基本セット。
1973年からラインナップが刷新され、「#1−#8」というわかりやすい型番になりました。窓にはシャッターが付けられるようになり、ドアが「高さ4」の新体系になっています。
小さな「#1」(850円)でも小さな家を作ることができたのですね。
5頁。基本セット続き。
基本セットは以下の特徴があります。
・タイヤは大きなものこのせいで、当時並行していたレゴランド規格に比べるとどうしても古臭く見えてしまったのでした。
・人形のたぐいは含まず(1973年製品ですから当然ですが)
・屋根はブロック表現でスロープ含まず。
今の目で見ると、基本ブロックによる真面目な造形を基礎として学ばせるセットであると分かるのですが。
でも、基本セットとメインライン製品の妙なデザインライン・使用パーツの断絶って今も続く妙な伝統?ですよね。
6頁。「レゴ・ファミリー」の登場。
飛行機や汽車など、必ずしも「女の子向け」を意識していなかったことが伺えます(前者は悪くないですが、後者はかなり無理があるような……)。後年には警察官までリリースされていました。
ただ。スケールが合うのは普通のレゴではなく、「人形の家」(ホームメーカー)。この地点で扱いにくい規格だったのかなとか、後年のミニフィグ登場の経緯を窺わせてみたり。早くも翌1975年には手足なし旧タイプミニフィグは登場しています。今から思えば「レゴファミリー」と「ミニフィグ」は社内競作のような立場だったのかも?
「太っちょ・やせっぽち・でか・ちび、自由自在に作り変えられます」これは確かにこのタイプのフィグのメリット。アイディアブック#200でもレゴファミリーのアイディアが掲載されていました。
7頁。当時は「人形の家セット」と云われていたホームメーカー。
レゴファミリーの登場に合わせて、全商品フィグ入のものに刷新されています。
床は人形が立たせやすいよう、ポッチなしとなっています。そのおかげで家具が固定できなくなってしまいました。
旧ラインナップからもそうですが、当時のレゴ製品でタイルが惜しみなく使用されていたのはこのシリーズだけ。持っている女の子がちょっと羨ましかったものです。
キッチンの花がらとか、バスルームのお魚模様はあの時代らしいです。割と台所家電には花がらが多かった時代でもありましたね(笑)。
一方で、リビングルームの配色には大人っぽさを感じたものです。
8頁。レゴランド・ハウス。
#361の「パン屋」は前にも記しましたが、初の「箱裏作例」掲載モデルの筈。
パン屋とは称していますが、今で言うならオープンテラスもある、ベーカリーカフェですよね。無論、1970年代の日本にそんな概念はありませんでしたが(苦笑)。そうした店が普通になったのって1990年代以降な気がします。
他は古いラインナップ。ドア高さが3だと急に古く見えてきました。
9頁。レゴランドハウス 続き。
こちらも従来ラインナップの掲載です。警察署は1972年、消防署とロケット基地は1973年製品。
ロケット基地もレゴランドシリーズというのは、後年に街シリーズにも宇宙もの(現実的な宇宙開発に即したもの)があったことや、また最近もCityに宇宙ものが出てきたことに通じましょうね。
そういえば、当時の基礎板には建物建てる部分には白い印がプリントされていました。1977年までその仕様で、1978年からの街シリーズで基礎板に印が無いのに驚いたものです。
10頁。レゴランドの自動車と飛行機
相変わらず商品の入れ替わりの激しいジャンルです。所謂フラントキャノピー部品(高さ1ブロック2プレートのもの)が登場したのがこの年であり、#612 #614 #689に採用されています。一気にモダンに。
#690のガソリンスタンドも高さ4の「新規格」ドア入り。幼時のお気に入りで、建物系セット持っていなかったのでドアや基礎板に喜んだ記憶があります。
君のレゴランドに、自動車や飛行機も加えましょう。子供向けのアピールですね。でもなんか格好良い。大都市っていいじゃないですか!
基本セットのブリックで、ハイウェイや、飛行場も作りましょう。
君のレゴランドは、大都市です。
11頁。レゴの自動車セット
6幅の大きな車も刷新されています。#379キャンピングカーや#384ロンドンバスではファンダーにアーチを使ったフェンダーが入り、このシリーズがレゴランドでは出来ない精細な方向へ進化する様子が伺えます。
なお、この頁ではアピールがまた親御さん向けに戻っていますね。
12頁。レゴ汽車セット
1972年リリースの定番製品 手押しの汽車セット#171がやっと日本でもカタログモデルになりました。この後1980年ころまで供給される息の長い製品となります。
しっかりモーターライズ出来る発展性もアピール。
蒸機+貨車という、似たような雰囲気のセット#180と#181が並行掲載されているのは一見不可解ですが、#181はこの年の新製品で、#180は1975年にはカタログ落ちしています。
13頁。汽車セット続き。
単品車輌など。機関車#126 チッパー車#130 #131客車はどれも古く見えますが、翌1975年には全て刷新されています。まさか単品車輌が発売されなくなるなどと予測も付かない時期でした(苦笑)。
右上のイメージ写真はたくさんの線路・信号機が並んで見事ではあるのですが、なんと1970年ころのラインナップ。当時の子供には違和感があったんじゃないでしょうか?
左下画像も1972年ころのチョイスなのがちょっと気になります。
14頁。レゴ・モービル・セット
1973年までの「ギアセット」に変わるものです。紺色ベースのパッケージが凄くモダン。ここまで来るとテクニックの源流という感じがしてきます。
なお、#810/#813ともにモーターまでは入っていません。
お子さまからおとなまで、どなたにも楽しめるセットですこの種の製品で説得力あるメカ作るのって、やはり大人の知識も必要なのかな……と思ったりもします。但し子供には自由な発想では劣ります。
親子で協業できればベストなのでしょうね。
そういえば、テクニックに「基本セット」的な、なんでも造れるセットが長くリリースされていないことに気が付きました。その意味ではなんでも作れそうなモービルセットの系譜は途絶えてますね(マインドストームNXT……うーん、なんか違う)。
15頁。モーターセット/部品/他
モーターセットは青い箱絵ですが、中身は既に黒バージョンのはず。
部品セットは1973年に大鉈が振るわれ、随分寂しいラインナップに整理されてしまいました。
ドアは高4規格になったものの、窓の種類は大幅に削減。
スロープブロックは赤のみ。基本ブロックも赤と白がメイン。プレートやタイルもない。1960年代の各色でタイルまで揃っていた頃が夢のように思えてきます。
で、この種のパーツ入手にストレスが無くなったのって、遙か後世2000年ころに「外部のパーツ屋さん」が出来てからなんですよね。
幼稚園用デュプロセット#508は謎多いセットで、内容がbricklinkでもpeeronでも不詳です。
自分が1978年ころ幼稚園で遊んだデュプロがこれじゃないかと思うのですが……。当時Dactaは無かったと思いますし。
16頁 裏表紙。
なぜ子供たちは何時間もレゴに熱中するのでしょう。なぜ大人たちも何時間も何日も何年もレゴに熱中し続けるのでしょう(笑)。
……子供が何時間も夢中になれる面白さを持っているからかもしれません。
そしてなぜ子供たちは レゴをもっと沢山ほしがるのでしょう。この記述は割と大事。親によっては「レゴのセット混ぜるの禁止」というところもあったからです。
答えはしごく簡単。新しくレゴのセットを買うたびに、子供たちは、今までもっていたレゴと混ぜ合せてしまいます。
「公式」が混ぜたほうが面白いですよ。混ぜたほうが成長しますよ……とアピールする必要があったのですね。
ただ、「混ぜるの禁止」の家庭環境から出てきたレゴが今のセット物のコレクションに繋がっているわけですから、厳しい親御さんにも感謝しなければいけないのですが(苦笑)。
ちなみに管理人のところは、「買って1ヶ月は混ぜるの禁止」でした。ですから1ヶ月間は組み換えで遊んでましたね。今思えば良い経験でした。
http://www.brickshelf.com/cgi-bin/gallery.cgi?f=520328
以上。フルサイズ画像はbrickshelfより(検閲中)。
物心ついた時にはダイヤブロックとレゴが混在してて、なぜはずれないのか?という大きな壁にぶちあたっていたのをよく覚えています。
幼少期はブロックよりも洗濯ばさみが好きでした。
洗濯ばさみをいっぱい買ってもらって、くねくねするロボットとか、タワーとかそんなのを作ってました。
レゴは高くて買ってもらえなかったという理由ももちろんあります(笑)
今のキット内容からすると、70年のキットが再販されたとしても魅力は薄いでしょうね。
逆に青いバケツなんかのほうがずっと良いように思います。
基本パーツの組み合わせでできたシンプルなキットをはたして買うのか?
そのへんが大きな問題のように思います。
逆に車が何台か、または家を何軒かまとめた小規模タウンプランみたいなのがあればほしいですね。
僕が組むのではなく、子どもの教育用に。
アーキテクチャシリーズもいいんですが、もうちょっとシンプルな普通の家っていうのを#31009 コテージみたいなのが数出てくればもっと町が広がっていくんですが。
洗濯バサミって意外とおもちゃになるんですよね。経験はないですが、なるほどって思いました。
>70年のキットが再販されたとしても魅力は薄いでしょうね。
本文でも記していますが、1970年代の基本セットは当時でもやや古臭い印象のパーツ構成って感じでした。最新のものからちょっとマイナスしたような感じといいますか。
その意味では、1976年の上級基本セットの方は衝撃的でしたよ。パーツ構成細かく、当時の「レゴランド」の補充・拡張用にしっかり使える内容でしたから。
あと、復刻に関しては2000年代前半に1990年代製品対象に少し行われてましたが、やはり10年の古さを当時でも感じましたね。古いヴィンテージを入手する・再現するってことと、復刻版製品はやはり別物なんだなぁと実感させられました。1990年代製品でそれですから、1970年代になるとそりゃ商品として苦しいでしょうね。
>逆に車が何台か、または家を何軒かまとめた小規模タウンプランみたいなの
これは同感です。
まぁ、クリエイターハウスがありますから、それを数件購入することで代用はできるのかもしれません。
普通の家が数種類ラインナップされている現状は現状で、幸せなことと思う由です。あとは似合う4幅車を(笑)。
他に資料が皆無なので、ご検討宜しくお願いいたします。良いお返事をお待ちしております。
使ってくださって構いません。ただし、飽くまでレゴ社の著作物である旨の表記を行って、引用の体裁は整えるようにお願いします。
私は著作者ではありませんので(笑)。