また、1点のみですが、明確な「違い」もありますので重複掲載も無意味でもないと思います(種明かしはこの記事の最後で)。
全16頁。1967年版の2倍の頁数ですが、そちらでは未掲載だったモーター・汽車関係も掲載されています。
ただしそれでも頁には余裕あり。空いた頁にはレゴの解説的な要素が多いのが特徴でしょう。

表紙。色気のなかった1967年版よりずっと鮮やかになりました。
そういえば、汽車シリーズ表紙のカタログはそんなに多くないような気がします。カーブレール使いこなした鉄橋は見事。ただ、前後の勾配は4.5V動力車でも登れるのかしら?
なお、上記「オールド・レゴ・ラヴァーズ・オンリー」によると、ドイツでは同じ表紙で1968年版とのことです。日本での1968年版は存在しない可能性があります。

2頁。
レゴの特徴を記した頁です。特徴自体はよく云われるところですが「レゴの組立ブリック」という表記に時代を感じます。
「何時間も……何日も……そして何年も……」
この読者諸兄には「……さらに何十年も……」の方がいらっしゃるのでしょうね。無論、管理人もです(ブランク含む)。まぁ、このカタログ作成された地点では、ン十年後に大人のレゴファンがここまで育つことは予見されていなかったでしょう。
あと「あなたが」という表記も注意。このカタログの想定読者対象は親御さんではなく、ユーザーの子どもたちなのです。ただ、その割には漢字だらけですが。

3頁。
レゴの組み方概説。基本中の基本。余談ですが、1979年のカタログにも同じ図が使用されています。
で……今のマニア組みだと「×」にせざるをえないことってありますよね(苦笑)。塗り分けの表現するとかの理由で。

4頁。
まだ、レゴの解説が続きます。実に悠長ではありませんか。
「犬」にも「飛行機」にも見える。同感です。
ただ、この文章はやはり親御さん対象でしょうね。元が外国語であり、それを和訳してかつ外国で印刷した以上、日本の子供向けにするのは難しいでしょう。

5頁。
まだまだ解説。左上の標識は印象的に使われています。
「組立てに使われる新しいものがどんどん増えていきます」
えぇ、このカタログから40余年経ち、多くの新しいものが増えて、そして消えていきました。しかし、圧倒的に増えた分が多いのですが。
「レールやモーター、そして連結器……」
その続きの行き着くところは「コントロールセンターやRCX、そしてNXT。さらにゃPowerFunction」ってことでしょうか。
で、さらに今から40年後、ちょっと予想はつきませんね。

6頁。
解説続きます。「信号機(赤信号)」が強烈。
赤信号は、作ってて困ったときの暗示なのですね。
文章は「自分で解決しなければならない。親に頼るな」。いいこと言っていますが、7-8歳児がこの文章を理解するのにはまだ親の助けが必要な気がします。
(直訳っぽい、お世辞にも読み易くない日本語ですし)

7頁。ようやくカタログ的な内容へ。
「広く贈り物として……」のキャッチフレーズは1962年版と同じですが、基本セットのラインナップは全てリニューアルされています。
最廉価の#011は145ピース入りで700円ですから、1962年の#010が57ピースで800円だったに比べて大きく「値下がり」しています。
http://www.bricklink.com/catalogItemInv.asp?S=011-1
ミニマムなセットですが、窓やドアが入っていて、とりあえず「小さな家」は作れるセットなのですね。

8頁。
建物まで入った「豪華なトレインセット」という意味合いでこれまで観られていた#080は、基本セットの一種として見たほうが自然なのかもしれません。
(今の目でみると、バケツやタブのような基本セットにトレインパーツなんて夢の様な話です)
なお、価格は1962年の8600円が6300円に下がっています。
未だ固定レートの時代です。1962年の価格設定はあまりに高すぎであったので、何らかの「自己努力」が、レゴ社か不二商であったのでしょう。
他の掲載品も概ね大きく値下げされています。
#510-511。ディュプロブロック→デュプロの登場です。
緑のロゴが特徴的。最初期のデュプロのみですね。レゴのコーポレートカラーへの例外でした。
#343のフェリーボード(レールの敷かれた「鉄道連絡船」)は日本でも発売されていたのは知られていますが、#342のステーションビルが日本でカタログ掲載というのは驚きです。
鉄道の駅舎は1970・1980・1990年代に幾つも「名作」がリリースされていますが、以後日本での正式扱いがされたことは無かったはず。駅舎がカタログに戻ったのは遥か先2005年のことでした。

9頁。
汽車セットが比較的前の方に載っているのは嬉しい。それだけ力を入れてたということなのでしょう。
レール・車両など全部入りのセット(モーター付)は#120と#116と、次頁の#119。
単品蒸機(モーター付)が#122。あと16頁の#138(Electronic)。
客貨車単品が#123・#124・#125。
飽く迄汽車セットは「電動」を主是としており、この時期のラインナップには意外と「手押し」はありません。

10頁。
#119総合汽車セットはすごく豪華! 踏切にポイント。
そしてこの時期の4.5Vには「信号機」「方向転換バー」が装着されていたことも伺えます。
#140アイディアセット。何故か価格明示されていません。
モーターを核にしたセットであり、後世の「モービルセット」、更には「テクニック」の源流を感じる、大人っぽさのあるセットです。

11頁。
汽車シリーズの用品各種。「一時停止」「方向転換」「磁石連結器」と1991年まで供給された4.5Vのシステムがこの地点で完成されていたことがわかります。また、少しづつアップデートしていくことも可能でした。
#157の前後切り替え装置は、当時のバッテリーボックスの真下に装着すると従来品でも極性切替(前後進の切替)ができるというもの。
#156のシグナルには、車両側(4.5vモーター)に取り付けるスイッチブロックbb97も含まれています。

12頁。
今で言うところの「クリエイター」的な製品群。
乗り物各種と、家が4種。
#324は1962年カタログからひき続きですが、この製品のみ「ミニカー」前提。#345と#346にはブロック組立の4幅自動車が入っています。レゴの建物に合わせたスケールの自動車がミニカーからブロック組立に移行する変遷期だったようです。4幅車の誕生でもあります!
#345のデザインはモダンデザインは美しい。今なら「Architecture」シリーズでリリースされちゃいそうな佇まい。大人の雰囲気なのです。逆に#346の方は普通のレゴの家なのでほっとします。
ちなみに4幅車が「レゴランド」シリーズとして花開くのは、翌1970年まで待たねばなりません。

13頁。
こちらは大きめ……6幅の自動車モデル群。
「自動操縦」はちょっとオーバーですね。運転席上の「LEGO」ロゴをひねると、前輪が首を振るという単純な仕掛けです。
このスケールの車モデルは4幅の「レゴランド」と共存しつつ、1970年代末に姿を消しました。
あと、当時既にレゴ「ミニカー」の掲載はありません。

14頁。
部品シリーズ。当時プレートの大きめのものは「平板」。小さめのものは「スリムブロック」。タイルは「フラットブリック」と称されていました。
概ね1967年掲載分と変化ありません。

15頁。
部品。こちらは大きく変化があります。
数字・アルファベットブロックは変化ありませんが、道路標識は新型に変わっています。フェンスセットも追加。
#906は車など作るのに使えそうなドアやヒンジ。#990は家を飾るアクセサリ。
#995では4.5Vライトブロックが後世まで永く使われた2×2タイプになっています。
#235/236はミニカーの扱いがなくなった地点で、盲腸的存在でしょうか。

16頁。
笛でコントロールする機関車のセットが「特別」な感じで裏表紙掲載。それだけ力を入れた新商品だったのでしょう。
機関車のみで7500円という価格は、このカタログ掲載の「#119 総合汽車セット」の8500円に比べても高価です。というより、モーター付の単品機関車#122が2800円、一番廉価な#120貨物列車セット(モーター付)と比較したほうが良いのかもしれません。
それだけ、当時の電子回路のコストは高かったのでしょう。
さて。
『オールド・レゴ・ラヴァーズ・オンリー』さんの手持ち品との相違点です。あちらは印刷がドイツ、こちらは印刷がデンマークなのです。
同年の日本語版カタログに、印刷地が二箇所あるなんて立派にミステリーだと思うのですが……。
brickshelf掲載はこちら(検閲中)。
http://www.brickshelf.com/cgi-bin/gallery.cgi?f=517570
この頃は一番夢中な時代だったと思います!
自動車や線路が出てきて、単2電池3本で動くレゴに無限の可能性が広がりましたね。119の総合汽車セットをクリスマスプレゼントに買ってもらったときは超興奮しました。表紙のような鉄橋を作りたくても、余った線路が無く、悔しい思いもしたモノでした。欲は膨らんで部屋いっぱいに線路を敷きたくなり複線化も夢見てました。いつまでもこのカタログと線路のカタログをにらめっこしていた頃が関山様の名文にさらに鮮明によみがえってきました!かちかちになった灰色のゴムのタイヤはヒビが入りキャタピラは切れそうになっていますが、大事に取っておこうと思います。思い出を忘れないように!
T.Nagaki
#119はいま見ても立派で素敵なセットですよ! 機関車も客車もアメリカ調なのが今見ると新鮮ですし。信号2個とポイント、踏切入りというのは後世でも見ない構成です。ポイントは1基でもあると遊び広がるのですよね。
>欲は膨らんで部屋いっぱいに線路を敷きたくなり複線化も夢見てました。
子供にとってはあの写真とかって罪ですよね。
困ったことに、あの時代はまだレゴやプラレールは大人になっても遊び続けても良い……という認識はなく(NゲージやHOゲージに転向するならともかく)、永遠に憧れのままなんだと思っていました。
でも、今は、部屋いっぱいも複線(+高架)なんかも実現。更には皆様におすすめ・ご提案する立場になってしまいました(笑)……隔世の感はあります。
>表紙のような鉄橋を作りたくても、
レール鉄橋、青時代はともかく、1980年代の灰色レール使うとかなり実感的なものが作れそうな気がしています。鉄橋はJAM向けに2本作りましたが、次に作るならレール鉄橋考えてみます。
>かちかちになった灰色のゴムのタイヤはヒビが入りキャタピラは切れそうになっています
灰色のゴムは耐久性無いようですね。自分の手元にも少しありますが、殆どボロボロで実用に耐えない状態です。
幸いにも黒ゴムタイプなら今も使えるので、「現役」とするなら、黒ゴム化も手かもしれませんね。