既にご覧になった方も多いと思いますが、思えば、ここから日本でのオールドレゴ研究は始まった感があり、1967年版はそれこそロゼッタ石的なもの。
今回、nagaki様から頂いたデータにはこの1967年盤カタログも含まれていたので、再度解説・紹介することにします(brickshelfへのアップは重複になるため控えます)。
正方形。カラー。全8頁。印刷はデンマーク。

表紙。さり気なく「1967年版」とか申しましたが、昭和の時代って西暦は「意図的・意識的」にしか使われていなかったことを思い出します。当時の感覚としては「昭和42年」ですね。
それにしても、地味。
一見、黒+赤の2色なのですが、よく見るとカラーなのです。

2頁。最初のページは基本セットの紹介です。
「広く贈り物としても喜ばれている」というコピーは、親御さんを対象にしていますね。
(この視点、1980年代なかばまで続く……と申したいところですが、1970年代に幾つか例外があります)
基本セット最小の「#010」の中身はこんな感じ。
http://www.bricklink.com/catalogItemInv.asp?S=010-1
57ピースですので、今でいうパーツ単価は……14円! やはりレゴが高級品であること分かりましょう。
中身は整理箱風に入っています。「手でセット詰め合わせ・梱包していた」時代だからですね。製造元検品でもこの仕様のほうが都合よかったと思われます。
整理箱風のパッケージングは1990年代に消えていますが、あの頃に自動梱包化されたのかもしれません。
なお、#050 #060などはbricklinkでもセット内容情報がありません。
基本セットのたぐいは「散逸」しやすく、運の良いデッドストック品以外では完品は見つかりにくいのかもしれません。

3頁。
「一部」という表現で分かりますよう、このカタログでは「汽車」と「モーター系」は未掲載です。
#314 車輪と車軸。タイヤが未だ灰色です。
#315、#316、#318。製品を「野外」に置いて撮影した箱写真が印象的。この時代だけですね。
自動車がクラシックカーなのは1970年代初頭のダイヤでもそうでしたが、角型のブロックでも比較的表現がしやすかったからじゃないでしょうか?

4頁。
「#321 道化師組立セット」は前も記しましたが、大人対象じゃないかというくらい渋いです。プレート中心のパーツ構成も大人のMOCのようですね。
子供部屋より、バーのカウンターの方が似合うそう。
#322の家は大量の樹木が印象的です。建築模型的に立派な家でもあります。おもちゃというより模型的。
#323の汽車・客車。当時既に汽車セットはありましたが、それとは規格上の合致のないセットです。よく見ると機関車も客車も4幅。機関車の足回りが「C1」配置で蒸機らしく見えるのは流石ですが。
#324のガレージ付きの家。ガレージ部分は当時の「一体成型品」です。写真には移っていませんが、メルセデスC220のミニカー1台付でした。屋根はまだ33度スロープのなかったころです。
この頁の掲載商品は、今で言うところの「クリエイター」的な雰囲気。源流の一つなのでしょう。

5頁。
いわゆる「関連用品」カテゴリ。
ガレージは車を入れるとドアがしまるギミック有りのもの。車はもちろん「ミニカー」です。
ミニカーは単品売り(8頁参照)の他、セット売り3種もあり。
アイディアブックは詳細不明です。
灰色基礎。当時は48×48ではなく、50×50と少し大きなものでした。1979年まで供給されています。

6頁。パーツ。
このカタログ、1/4がパーツに費やされています。
当時のレゴの売り方が、セットだけではなくパーツ小箱にも注視されてたことが伺えるのですね。
ほとんどの基本的パーツに、当時の基本色がすべて用意されていたのも印象的です。
窓セットは「赤」「白」2色展開。こんな形で供給されていたからこそ、1960-70年代の窓部品は今も流通が多いのかもしれません。

7頁。
プレートのことを「スリムブリック」と表現しています。
あと#471というタイルだけのセットもあったのです! 1970年代のレゴではタイルは割と「希少品」でした。この面では1960年代の方が恵まれてた?
スロープブロックは赤・青の2色供給です。青の単独供給も後年は見られません。
イルミネーションブリックは2×4クリアブロックの中で電球が光るもの。電源は4.5Vで当然キヤとかと互換性あり。1970年代にもっと洗練された形になります。
数字ブロック・文字ブロックは当時ならではの良心! 普通に売られていたのが2012年からみても羨望ものです。
「国旗」は初期の風に靡いた形のもの。しかもプリント部品。後世のピンと伸びた形状でシールのものは劣化? #492/#493で収録国が少し違います。
なお、日本で発売されていたものにだけ「日の丸」が入ってたという噂もありましたが、真偽不明。
「レゴの美しい街造り用基礎板」。タウンプラン用基礎板もバラ売りされていたのですね。この上に建物作って車並べるのはさぞかし楽しかったでしょう。
ちなみにこの基礎板? 右側通行仕様と左側通行仕様が両方存在していたそうです。日本のは前者?

8頁。
ミニカーの紹介。レゴのミニカーは「プラスチック製」であり、ダイキャスト製ではありません。スケール造形であるところも含め、鉄道模型のアクセサリ的な雰囲気があります。
ラインナップは当然、当時の欧州車!
カルマンギア含むVW各種、シトロエン、フィアット、そしてメルセデス。トラックなどの大型車は全てメルセデス。
乗用車が各120円。トラック・トレーラは150−290円。
さて。
この1967年版が現状で確認できる最古の日本語総合カタログです。それ以前がないことが惜しまれます……というよりは、よくぞここまで残っていた! というべきでしょうが。
とはいえ、公式にレゴ輸入元年と言われる1962年からの5年間は「空白時代」のままです。先に上げた「動くレゴ」カタログが穴を埋めてはおりますが。
またまた詳細な解説脱帽です!
忘れもしない私が初めて買ってもらったセットが2頁目右上のモノだったのです!幼稚園の友達は、すでに青い4.5Vの汽車セット+青い客車+郵便車を走らせていました。その後5頁目のガレージ用品とメルセデスベンツトレーラーバンをプレゼントしてもらいました。
徐々に組み立てて、動くモノへと発展していったんですね!
モーターセットを買ってもらった時に3頁にある風車をまねて電気で動かした記憶があります。あー懐かしい!実家へ行って作ってみたくなりました。
T.Nagaki
いえ、自分の解説が適切かどうか……。なにせ生まれる前の話ですので。全てが新鮮に見えますよ。
風車をモーターで動かす。作例によく有りますが、実際に試された話は初めて伺いました。でも、今も「動くストラクチャー」として有効な手段ですよね。肝心のモーターのコストはPowerFunctionでは下がりまくっていますし。いや、敢えて中古の4.5Vで回すのも味がありますかも。
> 実家へ行って作ってみたくなりました。
出来ましたら、写真とかいただけないでしょうか?
昔、自分が遊んだなつかしいミニカーを絡めながら日記の様なブログを書いています。
http://wlcc.blog133.fc2.com/
その中で“LEGOのミニカー”を載せるチャンスがあり、その詳細を調べたくネットを検索していく中でこのブログにたどり着きました。
“LEGOのミニカー”が何者なのかもわからずもやもやしていましたがすっきりしました。
今回、Sekiyama 様のブログに掲載されていたカタログの写真を勝手に私のブログに転載させていただきました。
御迷惑であれば即刻削除いたします。
またお許しいただける様で有れば私の“LEGOのミニカー”の記事の中でこのブログのアドレスを掲載させていただきたいと思うのですが駄目でしょうか?
ご検討ください。
はじめまして。そしてご参考くださって有難うございます。なにやら謎解きのお役に立てたようで何より。
弊ブログへのリンクは大歓迎です。また、画像は大きなものを転載されても結構です(但し「引用」の要件満たされますようお願いします)。
レゴのミニカーは日本のカタログでは、1967年版を最後に姿を消しています。欧米でも事情は変わらなかったと推測されます。
あと、ミニカーの詳細はbricklinkの以下を参照ください。
http://www.bricklink.com/catalogList.asp?catType=S&catString=423.424
入手は可能ですが、かなり希少で高価なようです(1960-70年代のレゴをあれこれ入手してる自分から見ても、ミニカーは高価です)