大小とも1966年? 恐らくは112か113(あるいは他の4.5v製品も?)に入っていたものと推測されます。
なお、どちらもデンマーク印刷。
まずは「小さい方」から。4頁。

※ 画像はクリック拡大
表紙は機関車#112。
裏表紙は遊んでいる様子。1970年代の末までは必ず「白人」でしたね。
手前にはブロックを組み合わせた人形や、売店のワゴンも見えます。

2−3頁
上半分はモーターと電池BOX、台車セットの紹介。
余談ですが、青レールのレゴ汽車でボギー車が登場したのってこの1966年だけです。以後、1980年の灰レールに移行するまでボギー車は一時消滅します。
下半分は#113の紹介ですね。ボギーの客車がえらく立派に見えます。客車の窓配置が一部不規則なのは却ってリアルに見えるのですね。
行き先表示は写真にある欧州大陸版とイギリス版(Glasgow London Manchester)があった模様。当時の対英国戦略は知る由もありませんが、ローカライズは印象的です。
そして、大きい方。こちらは16頁もある、ちょっとしたアイディアブック!

表紙及び裏表紙。
表紙。赤い屋根と白い壁の屋根がいい感じです。
裏表紙はモーターと電池BOXのアップ。

2−3頁。
レールの取り付け方。
右の頁では、広大な西部のジオラマ作品。基本部品だけで作られた馬とかカウボーイ、山や砦は今の目で観ると却って新鮮でもあります。

4-5頁。
先のページで出てきた西部風の汽車+客車の詳細。
少し後のレゴ汽車のように、電池BOXを炭水車にみたてるやり方ですね。というか#112/#113の直結方式のほうが後世に至るまで異端ですが。
ダイヤモンド煙突やカウキャッチャー、大型ライトなど西部の汽車らしさが当時なりに追求されています。
客車は1幅窓を駆使し、屋根もスロープ処理。ボギー車であることも相まってなかなか立派なもの。当時の子供が実際に作ることは難しかったと思いますが……(アイディアブックなどでのお約束ツッコミですね)。
右側頁では、当時のフック式連結器の解説です(磁石式はもう少しあとから)。
この連結器、未使用時には立てて置くことも出来ました。この状態なら推進→突放という遊び方もできます。また、立てた状態は真空ブレーキの制動管のようにも見え、ルックス悪くありません。

6-7頁
貨車のアイディア各種。左上から。
郵便車はキューポラのある欧州の荷物車スタイル。ところで、黒1×1ブロックでバッファのような表現がありますが、これってどうやって固定しているのでしょう? ズルしてる?
左下は有蓋車。ドア部分は半ポッチずらしならぬ「1ポッチずらし」です。
右上は冷蔵車。当時は普通に流通していた?文字ブロック使って「LEGO SYSTEM」表示。
右下はコンテナ車(タンクコンテナ積)。SHELLが旧ロゴ! 円筒の表現が頑張ってます。

http://www.brickshelf.com/gallery/sekiyama/Catalog/112-113train/112-113-5.jpg
8-9頁
大ジオラマ。とはいえこの時代にポイントもクロスレールも未だありませんので、線路配置はシンプルです。
建物群は1960年代の欧州モダニズムが感じられます。クリアパーツ駆使したロッジが不思議な感じ。背景にある赤い屋根の大きな工場?も印象的です。
なお、ブロック組による人形と汽車、そして建物のスケールが揃っていません。今の大人の目で観ると、そんなに気にはならないのですが、1970年台半ばの子供の目には「不自然」に、そして「古臭く」思えたのでした。
その意味で1978年のミニフィグ+街シリーズ登場/1980年の灰レールシリーズ登場は革命的でした。

10-11頁
先のページのアイテムの詳細紹介。
欧州スタイルの信号扱所。手押し車とフォークリフト。後者のハンドルに車輪部品使っているのが面白い。
踏切。遮断竿には直線レール使用しています。ハンドル回す警手の姿勢が凝ってますね。
渡ってる機関車も#112/113とは別デザイン。
信号機の柱にも直線レールを使用。
スポートに給炭台。
欧州スタイルの給水塔。

12-13頁
駅舎。造形シンプルながら立派なもの。青い縁取りが効果的です。
なお、黒い機関車はレゴ汽車の第二波を予期していますね。動力もない簡素なものですが。
貨物ホームと荷運び車。後者はレゴの駅ではよく製品に含まれるのですが、あちらでは「駅でよく見かけるもの」なのでしょう。欧州ではともかく、アメリカでは今も健在です。
(日本の荷物輸送健在だったころの「ターレット」はもっと小規模ですよね)

14-15頁
鉄橋とか高架。高架はブロックさえ有れば試しに作ってみたくなるものですよね?
右頁には跨線橋。気の遠くなるような分量の1×2スロープが必要です……。
羊を積むスロープ。羊はシンプルながら雰囲気出ています。この時代ならではの造形。
右下には売店ワゴン。
brickshelf版(検閲中)
http://www.brickshelf.com/cgi-bin/gallery.cgi?f=516122
小さい方
http://www.brickshelf.com/cgi-bin/gallery.cgi?f=516124
大きい方
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そんなわけで、レゴ汽車シリーズの楽しさ・発展性を教えてくれる、なかなか立派な冊子。当時の貧弱な?パーツ種類でよくぞここまで作られたと驚かされますね。無論、当時の素朴なデザインに魅力を感じ得るのは、後世の、あるいは現在の立派な作品や製品に慣れてる上の「余裕」のなせる業であるのは忘れてはいけませんが。
最後に蛇足。
今のレゴにはオフィシャルのアイディアブックがないことがよく嘆かれますが、現行トレインセットにこんな数ページの「トレインをどう発展させるか」のような冊子が入ってればなぁ……と思わされるのです。
最初に紹介されているカタログは本当に小さくて右側の青い機関車が表紙で4つに折られています。55mm×80mmの名刺ほどです。
よくもまあこんなカタログまで捨てずに取っておいてくれたもんです。
両親に感謝!
>単なるカタログがすばらしい解説
いや、これはデータのご提供あってこそですから。ありがとうございました。今後もイベントレポート終わった辺りで頑張ります。
>小さい頃は8−9頁のような部屋いっぱいにレールを敷く
今はその願いも叶う時代ですね(「大人げない」とも申しますが)。
でも、あんな感じで1960年代に徹して……というのはなかなか難しそうでもあります(笑)。
>55mm×80mmの名刺ほどです。
確かに小さいですね。でも、1970年代末でも製品封入のミニカタログはそんな寸法でした。伝統でしょうか?
>よくもまあこんなカタログまで捨てずに取っておいてくれた
世界的にも希少な資料と思うのです。
ちょっと先ですが2016年の「レゴトレイン50周年」辺りで注目されるかもしれませんね。