まず、「Minitalia」について。
http://www.bricklink.com/catalogList.asp?catType=S&catString=394
1970年から1976年にかけてイタリア限定?で発売されていたレゴの家セットおよび基本セット。というのが一般的な認識。但し、パチモノ説もあったり「謎の多い」シリーズです。
さて、「Minitalia」をよりミステリアスにしているのは窓やドアの規格。

http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=3-6
1970年発売とされる「3」。
窓は3×4で、シャッター取り付け可能なもの。格子が固定で入る。
ドアは4×5。枠なしのドアです。


この寸法・形状の窓やドアはレゴ公式では1978年、ミニフィグに合わせた規格として登場し、以後30年ほど定着した規格です。
しかし、1970年当時のレゴの窓は2×4や3×6、あるいは1×2や2×1などの旧規格ファミリーの全盛期。ドアは高さ3の「開かない」ドアでした(高さ4の枠ありドアは1973年から)。つまり、大幅に「古かった」時代です。
こうして見ると「Minitalia」のドアや窓はもはやオーパーツにしか見えません。
しかし、ブロックに関してはこんなものが入っていたそうです。


「×××」に関しては日本で流通していたパチモノブロック「オロ」を思い出される方も多いでしょう。あれもあれでパチモノの常で情報が殆ど無いシロモノですが。
(個人的には1970−80年代に友人宅に行くと、レゴの中に半分くらい「×××」が混じってて、あ、偽物だと思ったものでした。まぁ自宅のレゴもやはりアサヒ玩具のワンダーブロック混ざってましたが)
「Minitalia」パチモノ説はこの「オロ」との類似性から来ているのかもしれません。
関係とか真相は全くわかりませんが……。
一応、「Minitalia」パチモノ説を否定する要素として、1973年の船シリーズがあります。ブロック部分は件の「×××」ですが、船体及びウエイト部品は当時のレゴ船シリーズと同じ物が使われていたようなので(bricklink信じる限りですが)。
そんな「Minitalia」のシリーズと、「×××」のブロックですが、1973年で一応は収束している模様です。
(bricklinkでは1976年製品もあることになっていますが、詳細後述)
さて。本題の「日本で発売されていたMinitalia風のセット」のこと。
自分の記憶だと、1978年か1979年の日本語カタログの片隅に、基本セットの1種として小さめに掲載されていました(1977年にないのは確認済)。当時既にミニフィグ規格の3×4の窓が出回りだしていましたが、窓のデザインの違いには「?」と思ったものです。
(基本セットだから省略した形状なのだろうと考えてました)
また、1984年に友人宅で現物を触る機会もありました。つまりはペーパーウエアではなく、日本で現物が流通してたということ。

http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=2-11
該当するのは、おそらくこのセット「2」。bricklinkだと1976年とあるので時代が合わない? しかし。
http://www.bricklink.com/catalogItemInv.asp?S=2-11
パーツリストを見ると、「花」「茎」というパーツの存在が目につきます。しかし、これらは1976年にはありえない部品。定説では1978年、ミニフィグと一緒に登場したはずのものですから。
したがって、bricklinkの1976年というのが誤記に思えて仕方ありません。1978年の製品じゃないかと予想しますが……さて?
なお、このセットで「Minitalia」といえるのは窓とドアだけ。他の部品はすべて普通のレゴと共通です。1984年に触った際も、窓とドア以外は普通でした。
この流れから言えるのは、「Minitalia」は決してパチモノではない。何かの故あって1970−1973年頃にイタリア向けを別工場別ラインで製造されたものではないかと?
そして、シリーズ収束後の1978年、窓とドアの金型だけを再活用し、当時の基本セットに混ぜて出荷した……と。
この辺は飽く迄憶測です。やはりどこかでパチモノが混じっているのかもしれませんから。

http://www.bricklink.com/catalogItem.asp?S=2-8
(画像は上記より)
なんであれ、ミニフィグ規格の窓やドアが1970年に既に開発されていた謎は解けません。箱絵見るとレゴの旧ロゴとのミスマッチが非常に不気味ですし。箱デザイン自体が当時のレゴに対して、あまりに洗練されてないのも気になるところ(イラストがちょっと稚拙ですよね)。
この辺の謎、先の「Unofficial LEGO Collectors Guide」は解き明かしてくれるのでしょうか?
これは正式はレゴのものではないし、パチモノでもなく、
パッケージに嘘が有るわけでもない。
というものかなと思います。
平たく言うとイタリア玩具メーカーによるレゴの
OEM的な物かもしれません。
先行したパイロットモデルを他社に作らせる、そういう契約して、
一定の内容の元LEGOのブランドを試験的に与える試みとか…。
経緯は不明ですが、国柄や時代的に、
極狭い範囲ではあり得ると思いますね。
結局品質的にNGでこんなものブランドで売られては敵わん…と、
なかったことになったりしないこともなかったかもしれません。
勝手な想像ですが…。
>イタリア玩具メーカーによるレゴのOEM的な物
その発想は思いもよりませんでした。
確かに他業種とかなら有り得るというか、よくある話なんですよね。
レゴ純正ではあるけど、レゴ純血ではない製品、そう考えるとますますミステリアスです。