いまさらながら。
でも、Me-modelsが注目されている中でタイミングは間違ってはいないかと。
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ビジネスtoコンシューマ(BtoC)は一見理想的です。生産者が直接消費者と繋がれば無駄もなくなると。
しかし。
レゴのパーツを1個1個消費者に向けて売るということは、多分レゴ社の仕事ではありません。直営子会社作っても同様です。その種の細かい仕事は外部のパーツ屋さん(日本でも数件、世界に数百件!)の方が絶対に適任でしょう。幸いにもパーツ屋さんのネットワーク(peeronにbricklink)は存在し、十分に機能しています。
だから。
レゴ社に力を入れていただきたいのは、レゴを使ってなにかビジネスを起こす人・組織と取引してくれることじゃないかと思います。ビジネスtoビジネス。
パーツを消費者に直接売る必要はぜんぜんない。でも、パーツ屋さんに数千単位で卸す仕事はあってもいい。消費者一人ひとりにBTO的オリジナルセットを供給する必要はない(現状そうしたサービスは存在しますが、予想されたとおり割高。またビジネスにならず個人の趣味レベルに留まる)。でも、カスタムセット業者に数千単位でセットを供給してくれてもいい。
前者が叶うなら、新規に金型起こすのは無理でも、既存金型で特注部品を造ることも夢じゃなくなります。また供給の良くない部品や色を安定して流通させることだってできるでしょう。
後者が叶うなら、「こんなセットやシリーズが欲しい」という夢を、或る程度の出資と責任において個人起業家レベルで実現することができます。もちろん、起業家はデザイナーである必要はない! デザイナーが出資を募ってもいいし、出資者がデザイナー雇っても良いわけです。
レゴ社は世界企業でとても大きい。働いている人もエリート(揶揄するわけじゃなくて)。
その種の大組織に小回りを期待するのは間違っていましょう。また、そこで働く人は相応の人材であるべきです。でも、外部業者なら己のリスクで様々なスケールで事業の展開ができます。それから、レゴで何か仕事をしたいという人にチャンスを与えることも。
(フリーランスのプロダクツデザイナーなんて素敵な仕事じゃありませんか!)
レゴ社は総合的に販売の機会が増える。消費者の潜在的不満も或る程度解消できる。
消費者は小回りの効く外部業者の製品で、選択の幅が広がる。
間の者は、ビジネスチャンス。或いは好きを仕事にする機会が生まれる。
全てに利があると思うのです。
ところで。
レゴ社でもレゴジャパンでも消費者部門ではなくて営業部門に
「オリジナルのセットを数千単位で作って欲しい……数万でも構わない。もちろん、全量買取の契約で構わない」
という相談をしたらどんな返事が来るんでしょうか? 軽い気持ちでできる質問じゃないので考えあぐねているのですが。
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2011年4月地点での付記。
bricklinkの大手セラーさんの中には「これ、明らかにレゴ社から直接仕入れできているんじゃないのかな?」と思わせるところがあります。また、引き合いにだすMe-modelsさんですが、ここもパーツの仕入れはどうしているのでしょうか? 低価格はbricklinkなどからの仕入れで可能には見えないのです。
(ここらは飽くまで憶測のレベルです)
なお。
ここに記した話は運転会とか飲み会とか長電話でさんざ仲間内にも話したのですが、そこで上がる懸念が
「レゴ社はともかく、消費者(AFOL)がそうした外部メーカー製品を受け入れるのか?」
という問題でした。
ひょっとすると、こちらの方がずっと難しい問題なのかもしれません。
不満抱えて純正品を愛用するか、はたまた純正品以外の世界に手を出すか。
ここの選択に、ホビーとしてのレゴの可能性がかかっているのでは? というのは先日のエントリ
【考察】Me-modelsの「革命」。レゴトレインは「鉄道模型」になれるのか?
に記したとおりです。